表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
113/366

16 勇者達との協調




 私は求められた通り、現在の計画について話しました。

 まずは工場を建設予定であること。そちらに本腰を入れて、大きな利益を上げるつもりであること。その為に、今日ちょうど名誉男爵を叙爵したこと。知られても問題のない情報です。

 逆に、私が工場を建て、名誉貴族にもなって何をしようとしているのか。そこについては説明しません。


 そういった内容を一つずつ話す毎に、皆さん驚いているようでした。


 全てを話し終えると、すぐに松里家君が口を開きます。


「なるほど、おおよそ状況は理解できました。やはり、乙木さんと組んだのは正解でしょうね」


 言いながら、悩むように頭を抑え、考えている様子の松里家君。何を言うつもりなのか、と少し待っていると、すぐに話が再開します。


「やはり、乙木さんと協力する体制が良いでしょう。が、商人あるいは工場主としての乙木さんに、こちらから支払えるものが無い。あまり不審に思われず、しっかりと協力体制を築くとなると、選択肢は少なくなります」

「少ねーっつうか、あんのかよ?」


 東堂君が文句をつけますが、松里家君は迷わず頷きます。


「戦力の提供、という形が一番だろうな。僕らは幸いにして勇者であり、チートスキルを持ち、ステータスも優れている。その強さは、この世界で非常に貴重な域にある」

「そんなもの、気軽にどこかへ好き勝手提供させてくれるかしら?」


 懸念を口にしたのは、元養護教諭の鈴原歩美さんです。


「ええ。普通ならば難しいでしょう。しかし、乙木さんの工場の場合は状況が異なります」


 松里家君が自分の見解を述べていきます。


「まず、乙木さんの工場は王都の外――つまり野生の魔物から身を護る為の外壁が存在しない場所に建設される予定です。となると、そもそも施設を維持する為に相応の戦力が必要と考えられるでしょう」


 正にその通り。工場の維持には、野生の魔物から施設を守る為の戦力が必要になります。

 ちなみに、私は自身のスキル『加齢臭』がスキルとして成長した『広域加齢臭』を使ってどうにかするつもりでしたが。それを駆使して、隙を見ては王都を守る外壁のようなものを建築する予定でした。


「そして、工場では今後の戦争で有利に働くような武器、兵器を生産する予定でしたね。となれば、国としても工場には存続してもらった方が良い。そして工場の防衛戦力に騎士を回すよりは、予備戦力として控えている僕たちのような勇者を利用するのが無駄が無くて良い」

「なるほど、国の需要と状況、人材が噛み合うわけね」


 鈴原さんは納得したように頷きます。

 私も、松里家君の意見には概ね賛成です。多分、王宮側の人間にも松里家君のような考えに至る人は多いでしょう。

 ただ、反対する勢力も当然居るでしょう。なので、実現するかどうかは松里家君や私のロビー活動次第、ということになります。


「どうでしょう、乙木さん。この案について」

「私も、大筋では賛成です。ただ、事前に反対意見を潰すか、賛成してくれる人を増やしておく必要がありますが」

「ええ。ですので、それについてはこの後ちょっと考えがあります。お付き合い頂けますか?」

「そういうことなら、もちろん」


 私の答えに、松里家君は安心したように頷きます。


「よし、これで決まりだ。勇者の中でも、僕ら金浜組は乙木さんの工場で防衛戦力として雇ってもらう。これを外部のコネクションとして、王宮内での僕らの地位を高める為に利用させてもらう。誰か、質問や意見があれば今のうちに教えてくれ」


 松里家君は一同に呼びかけました。が、誰も特に意見は無い様子。ひとまず、勇者金浜組の方針は決まったようです。


「では、今日はこれにて解散! 今後の動きが決まったら、また集まって詳細を詰めよう」


 最後に、松里家君が締めて会合は終わります。勇者達はそれぞれ席を立ったり、そのまま会話を始めたりします。

 そんな中、松里家君は僕の肩を叩き、話しかけてきます。


「乙木さん、今からお付き合い頂けますね?」

「はい。ちなみにどこへ?」

「僕の魔法の、いえ、色々な意味での師匠の居る場所です」


 そう言って、松里家君はニヤリと笑いました。

投稿に遅刻してしまいました。申し訳ありません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マンガよもんが様にてコミカライズ連載中!
6mhv82sb21f83lsdkkow3af4fucd_1bmn_28e_35p_nrgt.jpg

マンガよもんが様へのリンクはこちら

小説家になろう 勝手にランキング
ツギクルバナーcont_access.php?citi_cont_id=602222539&s


☆Narrative Worksの新連載!☆

異世界チーレム転生できたけど、ヒロインが全員ギャグ漫画の世界の登場人物なんだが?
著者:亦塗☆さくらんぼ



☆Narrative Worksの連載作品一覧☆

無能は不要と言われ『時計使い』の僕は職人ギルドから追い出されるも、ダンジョンの深部で真の力に覚醒する-仕事が回らないから戻れと言われても今更もう遅い、SSS級冒険者として自由に生きていきます-
著者:桜霧琥珀

クラス転移に巻き込まれたコンビニ店員のおっさん、勇者には必要なかった余り物スキルを駆使して最強となるようです。
著者:日浦あやせ

盾持ち令嬢の英雄譚
著者:雨降波近

蒼炎の英雄-異世界に勇者召喚された少年は、スキル『火傷耐性』を駆使して成り上がる-
著者:稲枝遊士

吸血鬼な悪役令嬢に転生した私がSSS級国際指名手配犯となり最強チートスキルで婚約破棄王子や元クラスメイトの勇者などを倒していくお話
著者:稲枝遊士

ツルギの剣
著者:稲枝遊士

ゴブリン・コンバット-異世界のゴブリンに転生したので、地上最強の生物を目指してみようと思う-
著者:殿海黎

池袋ボーイズ(大嘘)
著者:亦塗☆さくらんぼ
― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公よ、知らなかったか?ニューハーフからは逃げられない!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ