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ねこのはなし(仮)  作者: 黒蜜ハルカ
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ねこのはなし(intermission)

 気が滅入ってきたからちょっと楽しい話をしよう。猫を飼うということについて。まず猫は見た目が可愛い。誰が何と言おうと、とにかく完膚なきまでに姿形が可愛いので、靴の中にゲロを吐かれようと、クローゼットに引っかけておいたお気に入りの服をいつのまにか爪痕だらけのかぎ裂きにされていようと許せてしまうのである。可愛いは正義。OK?


 私がニーニを拾った町は、奇しくも「飼い主のいない動物に餌を与えて周辺住民に迷惑をかける行為を罰則付きで禁止する条例」が全国で初めて施行された区で、条文には「住民らが面倒を見る『地域猫』は条例の対象外としている。」 というややこしい但し書きがついていた。

 いっぽう実家のある区は、ここで示された「地域猫」発祥の地である。この違いがお分かりいただけただろうか。……分からない。そうですか。じつは書いている私にもよく分からない。政治の話はねこにはすこしむずかしい。ねこですよろしくおねがいします。ねこはいます。きいていますか。


【削除済】


 黒猫は縁起が悪いとか不吉だとか、写真写りが良くないとか(!)その手のくだらない理由で保護施設からの引き取り手が見つかりにくいと言われる。もし真実なら非常に遺憾なことだ。黒猫の可愛さを理解できないなんて人生の半分を損してると俺は思うね。写真写り? InstagramやPinterestをちょっと覗けばクソ可愛い黒猫の写真が山ほど出てくるのに。そんな不遜な奴は撮影技術を磨いてから出直してこい。


 しかし前にも書いたように、猫を飼うにはそれなりのお金がかかる。譲渡会で猫を引き取ろうにも条件が厳しくて、仕方なくペットショップで猫を買った、という知人もいる。気持ちは分かる。そして不幸にもその環境下に生まれてきて売られる羽目になってしまった猫が、いま幸せに生きているのならまぁ許せなくもないが、個人的見解を示せば、私は動物の生体販売そのものに反対である。


 命に値段をつけて売ることへの違和感。


 売れ残った子はいったいどうなるのだろうか? 月日が経つにつれてどんどん値下げされていくショーケースの中の動物たちは、自分には狭くなり過ぎた空間で寂しい無表情を見せ(てくれすらせず、大半がこちらに背中を向け)ている。

 血統書つきの猫しか飼いたくない、という意見に至っては愚の骨頂だ。どうしてもその品種じゃなきゃいけない、なんて猫種差別もいいところだ。大人気のスコティッシュ・フォールドが一匹残らず遺伝的疾患の因子を抱えていることは、もっと周知されていい。もっとも僕だって「ヒロワレッシュ・ミックス・ゴールドアイ」っていう立派な品種なんだぜ。雑草なんて草は存在しないって聞くけど、雑種の僕らはみんな「猫である」だけで声を大にして自己を誇るべき生き物なんだ!


 あんまり楽しくもない話になってきてしまった。最後に紹介しておくと、我が家のヒロワレッシュ・ミックス・ゴールドアイは、正確には完全な黒猫ではない。毛をめくると下毛は白く、おかげで抜け毛はどう見ても綿埃色で、白い靴下とよだれかけとパンツを身につけている。加えてひげも白い。背中には天使の羽と、一本まっすぐチャックがついている。この文章を書いている時点で十一歳、人間の歳に換算すると還暦を迎え、全身どことなく白っちゃけてきたとはいえ、後ろ姿はツヤツヤとしてよく熟れたアボカドにそっくりで、寝転がれば茄子、正面から見たらこれはもう完璧に理想的なスーパーウルトラスペシャル美形の猫なのだ。

 以上を踏まえて次章以降を読み進めていただきたい。いや本当、うちの子、宇宙一可愛いんだわ。一度でいいから岩合光昭氏に写真を撮ってもらいたい所存です。

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