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ねこのはなし(仮)  作者: 黒蜜ハルカ
12/18

ねこのはなし(11)the cat's side

 僕の一日のスケジュールを教えよう。


 太陽が昇るか昇らない時刻に、誰よりも早く目を覚まして「おばちゃん」を起こすためひと声鳴く。まだ眠そうな「おばちゃん」に「まだ朝じゃないでしょ、テレビが点くまで待ってなさい」と言われ、自分のベッド(僕は「おばちゃん」の隣で寝るための専用のベッドをしつらえてもらっているのだ。寝室の床にはお気に入りの円い猫ベッドもあるし、階下には「桶」も、ソファもある。僕は寝場所をたくさん持っている)に戻ってテレビを睨みつける。

 六時ぴったりにテレビが点くか、その前に横で僕が凝視してかけ続ける圧に負けるかして「おばちゃん」が起きてくると、まずトイレに直行して用を足す。それから、みんなが朝食を済ませるまで細切れに、少しずつごはんをお皿によそってもらい、お腹がいっぱいになって満足したら窓からちょっと外を点検して、好きなところで昼まで眠る。

 

 たいてい台所から水を使う音が聞こえてきて、昼ごはんの準備をするのだな、と気づいた僕は床に伏せてスタンバイする。もちろん僕も三食きちんと食べるのだ。これは健康の秘訣である。抜いたりしたら身体に良くない。

 お昼が終わると「おじちゃん」の羽毛布団が折り畳まれて積んであるベッドに移動し、丸くなって日光浴がてらのシエスタ。


 陽がかげってくる時間に「おばちゃん」がトイレ掃除をする。初めは二階のトイレ、続いて一階のトイレ掃除が完了すれば、さぁ僕の晩ごはんだ。その時分で「おじちゃん」が帰ってきて安楽椅子に腰かけるので、たまに先回りして椅子を占領しておく。僕は「おばちゃん」と「はるちゃん」が晩ごはんの支度をしているあいだから、食卓に並んだごはんをみんなが食べ終えるまで、また何度にも分けてゆっくりとごはんをもらう。待ちきれない間をもたせるために、日の暮れた外の風景を眺めるのも毎日の習慣のひとつだ。

 晩ごはんが済んだら「おじちゃん」が僕の「毛取り」をする。初めのころは暴れてブラシを持つ手を噛んだりしていたら、頭におかしな帽子をかぶせられるようになり、あれをかぶると目の前が白くぼやけるが、そのうちそう嫌ではなくなった。ブラッシングはまんざら悪いものでもないことが分かってきたのだ。


 そして「おじちゃん」の次に「おばちゃん」がお風呂から出てくるのを待って、お夜食をもらう。洗面所の引き戸の前で、「おばちゃん」が脱いだズボンの上に座ってお行儀よくしている。

 お夜食を食べてしまったあとは、急いで二階に上り「おばちゃん」の枕を占拠するか、お気に入りのベッドにもぐり込んで、誰よりも早く就寝する。早寝早起き三食しっかり。これが僕のモットーだ。


 この一連のリズムが崩れると、僕は一気にパニックに陥る。とまではいかなくても、途惑い、調子が狂い、情緒不安定になる。毎日、判で押したように決まったことが起こって、平穏な日常が保たれていることが、猫にとってはとても、とても大事なことなのである。


 ところが「はるちゃん」にとっては、そうでもないらしい。ここ何ヶ月かしょっちゅう家を空けていた「はるちゃん」は、このごろ、午前中にどこかへ出かけていき、夕方帰宅するようになった。

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