第十一話 第二次遠征
「これならどうだろう?」
数日後、俺は竹で編んだ簡易のテントを作っていた。
もちろん、表面には俺の血を塗りたくってある。血染めのテントだ。
どうやってたくさんの血を寫血したかは言わないでおこう。自分でも痛々しいから。
でも一晩寝たら治るからな…。
「よし、今晩はこれで寝てみよう!」
これなら竹林の聖域の外でも魔物は襲ってこれないだろう。
実践あるのみ。
俺は初めて干潟で一夜を過ごすことにした。
「ゲホゲホッ」
うまくいきませんでした。
竹で作ったすのこが全然機能しない。
満潮で水かさが高くなると溺れてしまうわ!
…仕方ない。
あんまり重くしたくないけど。
すのこを頑丈にしたら、なんとか一晩寝れるようになった。
しかし、朝起きた時の身体の回復具合が全然ダメだ。
聖域の外で寝たらなんか怠い。
切り株ねこ鍋で寝ると朝スッキリなんだよな。
なんとか切り株ごと持っていけないかな。
でも、あの寝床を破壊するのはやめとこう。
ということで、第二次遠征。
すのことテントを担いで、行けるとこまで行って一泊して帰ってくる。
お化けヤドカリもあれきりで、一匹だけだったのか、俺に恐れをなしたのか、襲ってくることはない。
でも警戒は怠らず、俺は重い荷物を背負って歩いた。
「おお!まだ棹が立ってた!」
道の彼方に俺の立てた竹竿を見つけると、とたんに元気が出た。
今日はここからさらに進出して、未知の地平を探す。
「よおし、四十キロぐらい進んでやんよ!」
竹竿地点をそのままスルーして、歩みを進める。
けれど、進めども進めども、干潟は果てなく続いていた。
「もう、歩けん!」
ついに先が見通せないまま、力尽きた俺はその場で野宿することにした。




