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十二星座ノ姫君  作者: 麦猫
第一章
1/7

プロローグ

森の中を魔獣に乗り駆け回る姿があった。

 木々の間を上手くすり抜け、獲物を追っていた。追いかけれてる獲物は自分より格上である者達に追われ恐怖の目をしていた。

 上に乗っている者が下の魔獣に何か指示をしていた。それが、追われている獲物が最後に見た光景であった。


  無事に獲物が狩ることができ、尻尾を振って自分の主人に甘えていた。主人は頭を撫で魔獣を宥めた。

 それでも、魔獣の気持ちをは抑止出来ていなかった、先程からずっと顔を舐められていた。

 乗っかってきた魔獣を下ろし、倒した獣を家に持って帰ろうと魔獣に指示をした。


  家に着き咥えた獣を指示した場所に下ろしに行った。

 主人は家の中に入った、すると小型の妖精が駆け寄ってきた。


「ルカ様!! 見てください、この服!!」


  目をキラキラさせながら服を持っていた。

 それを、主人ーールカは微笑みながらそれを受け取る。


「この服自信作なんです!! いつもより少しだけデザインを変えてみました。どうです?」


「そうだな。いいと思うぞ」


  賛辞を受け先程よりテンションが上がっている気がした。

 この答えでよかったのか、と心を撫で下ろした。

 そういえばと小型の妖精に声をかける。



「エノカを狩ってきた。後で解体しといてくれ、俺達が食べれる部位は調理して、残りはカリンに挙げといてくれ」


  カリンとは先程一緒に狩りを行った魔獣である。

 この森を支配している森の王である。

 ルカは表情をあまり表に出さず、常に落ち着いてる印象を持たれる。だが、一年近く一緒にいるカリンや小型の妖精ブラウニーは些細な表情でも気持ちを読み取れるようになっていた。


「ルカ様、今日機嫌いいですね。何かあったんですか?」


「そうか?いつも通りだと思うが」


「そんな事ないですよ、一年近く一緒にいるんですからすぐ分かりますよ。一年前ここに来た時より見違えるように変わった気がしますよ」


  ルカは一年前にこの森に異世界召喚されたのだ。

 だが、ルカ何の目的で異世界召喚され理由は未だにわかっていない。

  元の世界に戻るつもりは毛頭ない。なぜなら、今の生活の方が充実感を強く感じていたからだ。

 ――――――――――――――――――――――――――――――

  元の世界のルカ(中島拓也なかじまたくや)は社会人2年目のまだまだ新米だった。2年目にして社会への不満が溜まっていた。彼は幼い時から冷静であり、特段人と接するのは苦手ではないがその大人びた冷静により彼に好意的に話しかけようとする人はゼロに近かった。

  そんな、彼にとってつまらない日々は一瞬にして変わった。

 会社が終わり、バスに乗り家に帰るが日課であったが、その日はなんとなく普段降りるバス停より、一個前で降りた。

 バス停に降り、一歩前に歩き出した瞬間、強い光が彼を襲った。


  光が明け、周りを見てみると見たことのない景色が広がっていた。耳に少し違和感を感じた、耳を触ってみるといつもより長かった。人ではないことがわかった。だが、自分の姿を見る事は出来なかった。鏡、この世界にあるのかが疑問であった

 何かの視線を感じた。誰かが彼を見ている。

 誰だと思い、視線先を見る。そこには、二つの異なった視線がそこにはあった。

 一つは鋭く、二つは丸い目であった。だが、敵対している感じではないと見て取れた。すると、丸い目をした小型の妖精は話しかけてきた。


「誰だお前は!? 見た感じ半魔族ハーフエルフだと思うが」


 半魔族ハーフエルフとは、人間と魔族であるエルフと言われる種族の間に出来た子供である。

 だが、彼の親は両方とも人間であるが、先程の耳の長さから

 半魔族ハーフエルフである事が理解出来た。

 だが、名前か。中島拓也であるとこの世界では少し変な感じがするな。


「ルカだ。お前達に敵対意識はない、さっきここに来たばかりだ」


「来た? こんな奥深い森にか?半魔族ハーフエルフの街は逆方向だろう。何が目的なんだ」


  来たと言うより召喚されたの方が良いだろうが、召喚と言っても通じないので許して欲しい。

 小型の妖精は普通に話せるようだが、もう1匹の大きい狼は話せないのだろうか、と思っていた。

 そんなことを考えていると。


「まさか、我々を滅ぼすつもりじゃ」


  小型の妖精は手に持っている短剣の剣先をこちらに向けてきた。

 ルカは何も武器を持ってない。このままでは確実に死ぬであろう。せっかく不満は溜まりに溜まり居心地が悪い社会から抜け出すことが出来たというのにここで死ぬのは勿体ない気がした。


「さっきも言ったが、敵対するつもりは無い。その証拠に武器も持っていない」


「何か武器を隠し持っているかもしれないだろ」


  2人が話していると小型の妖精の隣にいた大型のオオカミがその場に倒れ込んだ。

 小型の妖精は大型のオオカミに近寄りルカを睨んだ。


「お前!! 何をした!!」


  声を荒らげた。だが、ルカは何もしていない。

 というか、何も出来ないのが正しいのだろう。逃げるのなら今、この瞬間だ。だが、ルカは逃げなかった。むしろ、その逆。

 倒れ込んでいる大型のオオカミに近寄っていった。


「なぜ近くにくる!!」


  またもや、剣先をこちらに向けてきた。

 今のルカにとってはそんな事はどうでもよかった。

 彼は冷静で一見、無慈悲で冷淡な奴と思われがちだが。それは違う。内心はとても慈悲深く優しいのである。

 今もどうやったら大型のオオカミは助かるかと思考を巡らせている。すると、ふと頭に思い浮かんできた言葉を口にする。


『治癒の効果ポーション』


  ルカが発した瞬間、大型のオオカミは元気を取り戻していったのである。


「おまえ、魔法使いか。半魔族ハーフエルフは魔法が使えないと聞くが何者なんだ」


  それはルカに聞かれても困ることだ。

 ただ、頭に浮かんだ言葉を発っしただけだったのだから。それで大型のオオカミが助かったのだからよかったのであろう。

 大型のオオカミは助けてくれた恩人に最上級の忠誠を尽くしたポーズであろうものをした。

 見た感じ犬で言う伏せである。


「な!?こいつが忠誠尽くすなどありえない」


  小型の妖精は驚きの目でこちらを見てきた。

 驚くのも当然である。大型のオオカミーーハイウルフ種は気性が荒く決して懐かないと言われている者が最上級の忠誠を目の前で尽くしているからである。


「よく見れば、こいつ可愛いな」


  ハイウルフの頭を撫でると、目を細めて気持ち良さそうにしていた。これは傍から見たら犬と主人である。

 その姿にまた小型の妖精は驚いていた。

 ハイウルフを見たものは恐怖でその場に立ちすくんだりと自ら触ろうとする者はいないと言うが、この者は自ら触りに行っている。

 小型の妖精達はこの森、いや、この世界でも上位の方に君臨する者達である。だが、それをも凌駕する者が目の前に現れたのである。


「ルカさん。いや、ルカ様」


  聞きなれない呼び名に一瞬誰を呼んだかわからなかった。

 当然だ。先程まで、お前呼びだったのがいきなりの敬称である。

 妙にかしこまった様子でこちらを見ていた。


「我々の主人となってくれませんか?」


  この一言から、今現在の関係に至る。

 ルカは頼まれたら断れない体質なのだ。この体質のせいかことある後に現実の世界では仕事を押し付けられていた。


 ――――――――――――――――――――――――――――――

  グツグツと鍋に具材を入れて小型の妖精ーーブニはせっせと調理をしていた。

 すると、寒気がした。誰か来たのであろう。

 こんな深い森、ましてやこのルカが作ったら家に来るなど1回も無かったのだ。襲撃かと思ったが、自分よりも探知が出来るルカが落ち着いている(いつもだが)。

 報告した方が良いかと思い、一応ルカに言ってみた。


「ルカ様。誰か来たようです」


  深い森の中に人影があった。ルカ達にとっては知らない人であった。

 ルカは家を出て、周りを確認すると、純白の鎧を着ている戦士が1人立っていた。その、純白の鎧はこの森にはとても似合わない。


「ルカ様はここに居られますか?」


 要件はルカだ。だが、ルカはこんなにも強そうな鎧の騎士に呼ばれる理由が見当たらなかった。


「何用ですか?」


 初対面にはやはり冷淡に見られるだろうかと思ったが、そうは見られていない様子だ。

 鎧の騎士の対応に驚いていると、鎧の騎士はルカの近くに来て膝まづいた。


「ルカ様、いきなりですが。十二星座ノ姫君と契約をしてくれないでしょうか」


 何を言っているか理解ができなかった。

 十二星座ノ姫君という聞いたこともない言葉が出てきたらそりゃあ当然である。


「理解が出来ないのですが、家の中でお話を聞きましょう」


 そう言って彼らは家の中へと入っていった。

 鎧の騎士は小型の妖精を見て驚いた。なぜなら、噂には聞く程度の妖精が目の前にいるのだから。


「まさか、ブラウニーではないですか!?あの伝説の妖精」


 ブラウニーと言うのかこの小型の妖精は。

 ブニといつも呼んでいたので変な感じであった。


「まさか、外にいたのはこの森を統べているハイウルフではないか!?」


 またもや鎧の騎士は驚いていた。

 最初見た時よりコロコロとよく表情を変えるなとルカは思っていた。


「そうですが、いかがなさいましたか?」


「やはり貴方は只者ではないですね」


 なんでか知らないがルカの評価は上がっていた。

 だが、このような状態では話が進まないと思いルカは話を切り出した。


「それで、十二星座ノ姫君というのと俺は何か関係あるんでしょうか?」


 はっと我に返った鎧の騎士。

 ううんっと喉を鳴らした。


「そうだな、すまない。話に入らせてもらう。私は王都の騎士団長を務めているアンザルと言う者だ。十二星座ノ姫君だったな、王都を囲んで12の国がある。その、国には1人ずつ姫が存在する。そのもの達と契約してほしいんだ」


「契約するのは俺じゃなくてもいいのでは」


 それも当然である。

 ただ契約するのならルカ以外でも大丈夫であろう。なのに、わざわざこんな奥深い森まで来て自分を選んだか気になるのは必然である。


「蠍座の姫である、ルーウェン=フィリア様が予知を出来るのですが、私達と契約出来るのはこの者しかいないと断言しましたので。それに、全員と契約する訳では無いのです。姫様達とお会いしてみて1人の姫様と契約して貰いたいと思います」


「契約する必要は?」


 先程から質問ばかりで悪いと思っているが、このまま何も考えずに承諾してしまうと不安になってしまうので許して欲しい。


「先月、王都の王がお亡くなりになりました。その後継者である者が見つからず。貴方様と契約すれば姫様が次期の王になれるのです。

 貴方様も王族となり今よりも有意義な生活を出来るかと」


「そうですか。結構責任重大ですね。承諾してもよろしいですが、俺は王都に家を移すつもりはありません。ここで彼らを置いてはいけないので」


 彼らは置いてはいけない。

 ルカが何も分からないことも彼らが居たからなんとかやっていけた。魔法や武力など様々な事も教えて貰った。

 彼らを保護してくれるならこのお願いは受けるべきであろう。


「わかりました。それでいいのなら物資もこちらへちゃんと輸送いたします。」


「はい。それでお願いします。ブニもそれでいいよな?」


 さっきからずっと隣にいたブニが軽く微笑んで言った。


「ルカ様がそういうなら何も言いません。それに、十二星座ノ姫君達と結ばれ、子宝に恵まれれば私とカリンは大変嬉しい事です」


 なんといい家族を持ったのであろうと思った。

 結ばれるかどうかはわからないが、彼らのためにも頑張ろうと思った。軽く拳を握った。


「それでは、行きましょう。姫君様達が王都であなたを待っています」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 馬車に揺られながらも窓の外を見ていた。

 この世界に来て初めての森以外を見る。不安だがここまで自分と居てくれたカリンやブニにいい報告が出来るようにと思いを馳せていた。


「アンザルさん。馬車から降りていいですか」


 馬車を引いていた馬がブルルっと軽く唸る。

 馬車を降り馬を撫でた。馬も可愛いがうちのカリンの方が可愛いなと親バカが発生してしまい、頭を軽く掻いた。


 周りを見てみると見た事のない建造物がいくつかあった。森では取れないであろう食べ物もいくつかあり、それらを買っている様々な種族の人達が王都にはいた。


 色々なことを考えていると、王宮に着いた。

 王宮には沢山の馬車が行き来していた。


「ルカ様、王宮に着きました。」


「ありがとうございます。アンザルさん」


 ペコリと頭を下げる。

 その姿に驚いたのか、ワタワタと手を動かしてアンザルは言った。


「そ、そんな滅相も無い。私方が勝手に頼んでしまったのですから。さん付けもよしてください」


「いや、そんな俺なんて」


 このまま互いに謙遜し続けていると王宮に入れないと思ったのか、そろそろと話を切り出す。


「私はこれから先はついて行けないので、ルカ様お1人でお願いします」


 1人では少し不安だったが、彼が行けないと言っているのだから仕方ないのであろう。

 一呼吸置いてから王宮の中でも特に大きい扉を開ける。すると、そこには12人の可愛くて綺麗な姫君達の姿がそこにあった。


「こいつが私の契約者!?もっとカッコイイ人は居なかったの?リューズ」


 青と黒のメッシュの髪を後ろで結んでいる女性が紫掛かったショートの髪の女性に声を張っている。

 確かにルカはカッコよくは無いが、ブサイクでもない。いわゆる平凡な顔立ちだった。


「まぁ、いいではありませんか。それより、彼は私達を知らないので、ここで、自己紹介としませんか?」


 金髪ロングの女性がざわついている姫君達に話を振る。すると、周りが静かになった。


「うん。皆有難う。それでは、まず私から」


 コホンと可愛い咳払いをして、口を開いた。


「私は天秤座のアリューシャン=ウルカ。気楽にウルカと呼んでくださる嬉しいですわ」


 天秤座のアリューシャン=ウルカ。

 見た目は金髪ロングの美少女である。先程の、周りを静かにさせたという事でリーダー力があるのだろうと見て取れた。


「次はウチだな。獅子座のライオネス=アリュレ。アリュレでいいよ」


 獅子座のライオネス=アリュレ。

 オレンジ掛かった髪を短く切りそろえらていたが、身長が低く可愛らしい見た目をしていた。


「次は..私?私は...水瓶座の..ウールネット=フィリア」


 水瓶座のウールネット=フィリア。

 水色の長い前髪で片目が隠れていたが、美少女である事がわかる。言葉は途切れで聞こえるが話すのが苦手なのであろう。


「さっきは変な事言ってごめんね?あ、私は魚座のクァルテ=ハクア」


 魚座のクァルテ=ハクア。

 青と黒のメッシュの髪を後ろで結んでおり、口調は見た目に寄らず明るかった。


「む、もう俺の出番か。俺は乙女座のリベラル=ベルセ」


 乙女座のリベラル=ベルセ。

 黒色の髪は長く、前髪はまっすぐ切りそろえられていた。乙女座と言うのに一人称は俺であった。


ベルセは円状のテーブルの構造状隣に位置する女性の肩を叩いた。

 彼女はふぁっと欠伸を噛み殺していた。


「牡牛座のユスティニア=リモラルト。ユスティニアでいい」


 牡牛座のユスティニア=リモラルト。

 白銀の髪を撫で下ろしながら、持参したのであろう枕に顔を埋めた。口調はゆっくりとしており聞いてるこっちは眠気が襲ってくる。


「ウチは牡羊座のウルフェン=ネイ」


 牡羊座のウルフェン=ネイ。

 少し赤みがかった髪がモコモコした帽子の間から見えていた。顔立ちは女性と言うより少女の様であった。


「このような男に名乗りたくないが、仕方ない。蠍座のクリアネル=リューズ」


 蠍座のクリアネル=リューズ。

 薄ら緑色のショート髪であり、ルカを睨んでいるため、こちらをそんなによく思っていないのであろうと思った。


「そんな、邪険にしなくてよくない?リューズちゃん。あ、私は射手座のアリファード=リン」


 射手座のアリファード=リン。

 肌色っぽい髪色で毛先がクルクルと巻かれている。さっきの発言でルカにはそんな敵対していない事がわかった。


「蟹座のジルニア=クリア」


 蟹座のジルニア=クリア。

 短くもなく、長くもない黒髪の少女である。黒いマフラーを巻いており、必要最低限の事しか言わなかった。


「次は私ね。山羊座のステビア=シャーロット」


 山羊座のステビア=シャーロット。

 綺麗な白色の髪であり。この中でも唯一のお嬢様な感じがした。


「お、最後が私達ね。私達はね双子座のコノハとシズク。よろしくね」


 双子座のコノハ・シズク。

 2人とも同じ茶髪っぽい髪色をし、ツインテールだった。明るい口調であり、人と接するのが慣れている感じだった。


 全員の自己紹介が終わった。

 皆、個性があり。そして、なにより皆美人である。

 ルカは自己紹介をするかと息を吸ったところ横から声を入れられた。


「あ、自己紹介はいいですわ。あらかたリューズから聞きましたので」


 ウルカはニッコリとこちらに向けて微笑んでいた。


「ねぇ、もう解散でよくない?顔合わせだけでしょ」


 ハクアはちらっとこちらを見てからウルカに話しかけた。顔合わせだけだったらこのへんで終わるのは妥当だろうとルカは思っていた。

 それに、こんなに沢山の女性がいると部屋にいるのは少し気まづいと思い軽く頭をかいた。


「そうですね。今日の所は解散しましょうか」


 ウルカが言うと、次々とその場から立ち去った。

 そして、でかい円状のテーブルが配置されている部屋にはルカ1人が残されていた。

 しばらくしてから、アンザルが部屋に入ってきた。


「ルカ様。いかがなさいましたか?」


「アンザルさん、契約って早めに決めなくてはいけないのでしょうか」


 そうですねとアンザルは間を置いたあと。

 口を開いた。


「出来れば早めの方が助かります。王がいない状態が続いては国民も困りますが、帝国の者達が攻めてくる恐れがあります」


「帝国ですか」


「はい。帝国とはかれこれ200年以上敵対しているので。王がいない今だといつ襲われてもおかしくはありません」


 そうですか。とルカは言った。

 王の変わりは今アンゼルが行っているとの事だ。だが、十二星座ノ姫君は今日初めてあったが全員の個性が強いことがわかった。


 だが、個性は強いがそれはとても良いことだ。

 なぜなら、全員それだけの良さがあるというこであるからだ。

 彼は決断しなければならない。


「王が決まれば帝国と戦いは勝てるのですか?」


「どうでしょうか。それはまだ難しいかと」


 ここで王都が潰れてしまっては困る。自分の家族のためにも王都には勝ってもらわなければ。

 そう、思いルカは最後の質問をする。


「もし、十二星座ノ姫君が力を合わせたら帝国に勝てると思いますか?」


「勝てると思います。十二星座ノ姫君、そしてルカ様の力があれば必ず勝てると断言できます。ですが、あの御方達が力を合わせるなど皆無でしょう」


 どうしてそんな事を聞くのかと疑問を思っているアンゼルだが、今のでルカの答えは決まった。

 十二星座ノ姫君の個性を活かしつつ、尚且つ王都を守れる方法を。


 ルカは決断した。


「俺は十二星座ノ姫君全員と契約する」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「うむ、どうしたものか」


 自慢の髭を撫でながら玉座へと腰を掛ける。

 彼は帝国の皇帝である、シューレン=レーバッグ。王都との睨み合いが続きそろそろ王都を潰し、王都領土を自分のモノにしたいと考えていた。


 この世界の領土は帝国と王都の半々である。

 その半分が自分の領土となれば世界を牛耳ったと言っても過言ではない。

 だが、一つ問題がある。

 王都近辺には十二星座ノ姫君がいることが問題だ。王都を囲んでいるように12の国があるが、国と国の間には約350kmもあり、国を行き来するのにも2,3日掛かるのだ。


 その、十二星座ノ姫君がとても厄介だ。

 一人一人の個性が強く、何より力を持っている。帝国の兵士達をを集めても一つの国を落とせるかどうかも怪しい。そのような国が12もあるのだからたまったもんじゃない。

 そろそろ、王都の王も力尽きる事だろうからそれを見計らって慎重に行動しなければと溜息をつきながら彼は思った。


「レーバッグ様。」


 一人の兵士がレーバッグを訪れてきた。

 何事かと少し眉を顰めた。


「十二支の御方がお見えになりました」


 十二支という言葉で彼はさっきから考えていた事が吹っ飛んだようだった。

 それぐらいその言葉を期待したことかと。


「そうか!!すぐに連れてこい」


 はっと軽く兵士は返事をし急いで重くてでかい扉を開ける。

 するとそこには、男8名、女4名の集団が扉を潜ってきた。そう、彼らが実力派暗殺集団"十二支"である。


「おい、ここなんか臭うぞ!!」


「仕方ないであろう。我々が来たとことは全く別の空気なのだから」


「それよりもさーお腹っ減ったー」


「五月蝿い。黙れ、メスネコ」


「誰がメスネコだって!!アタイは虎だ!!」


 落ち着きがない集団であった。本当にこの者達があの有名な十二支なのだろうかと不思議に思ってしまうが、彼らの身体の一箇所に自分の干支となる動物を刺繍していた。それを見ただけでも彼らが十二支であると誰でもわかる。


「黙れ、お前ら」


 一人の男の声で彼らは静まり返った。


「失礼致しました。レーバッグ殿」


「うむ、構わない」


「それで、我々に依頼とはなんでしょうか」


 レーバッグは不安や緊張をすると髭を撫でるくせがある。髭を軽く撫でていると白銀で短くも無く長くもない髪の青年が声をかけてくる。


「私達一人ならまだしも、全員に依頼となるとそれは期待できる依頼なんですよね」


 彼はニコッと微笑みながら言った。

 レーバッグの背中には寒気が走った。彼の笑顔は空気をも凍らすように感じた。


「そ、そうだな。十二支の貴方達には十二星座ノ姫君達と戦って頂きたいのです」


 レーバッグは十二星座ノ姫君を倒すために彼らを呼んだのである。


「そうですか。構いませんが十二星座ノ姫君となると少しこちらも骨が折れます。ですので、報酬は後程こちらから申請いたします」


「それは構わないが」


 と言うか彼の意見を肯定しか出来なかった。

 彼の目線だけで人を殺せそうな者に何も言えなかったのは許して欲しい。


「では、私達はこれで」と彼を先頭に後ろを他の干支の者達が騒ぎながらついていった。

 その部屋には皇帝ただ1人が取り残されていた。


「本当に良いのだろうか」


 十二支ーー

 実力派暗殺集団。頼まれたら報酬さえ貰えれば何でもこなす。彼らは十二星座ノ姫君達と唯一対等に戦えるであろう実力を持っている。

 彼らの仕事後は血や死体すら残さないという。

 彼らは各々好きなところに自分の干支の刺繍が掘ってある。


 彼らに頼んだことはただ一つだけ。


ーー十二星座ノ姫君を殺してくれ。



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