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顔面詐欺かよ!  作者: 風羅 信乃
彼女との出会い
3/3

ファンクラブの定義ってなんだ


「なあ、西田。」

「なに?」


不意に顔を上げた俺に西田は頭に置いていた手をどかす。

おい、窓際女子さん。

今なんで舌打ちした?


「お前、ファンクラブの会長なんだろ。席が隣だから抹殺とかされないよな? 大丈夫だよな?」

「・・・一体、僕をなんだと思ってるの?」


俺は間髪入れずに答えた。


「ヤバい宗教団体。」

「失礼な・・・」


だって、だって。

この短い期間にも関わらず、耳に挟んだ荻野風吹のファンクラブに関する噂はちょっと異常だった。


例えば、荻野風吹の机の方向に1日一回祈る。


例えば、荻野風吹に会ったらわきにそれて地面に手をついてお辞儀。


目撃したことはないが、荻野さんからしたらちょっとしたホラーだろ、それ。


「それより、西田はなんで会長やってるんだ? 」


すると、隣から綺麗な透明感のある声が聞こえてきた。


「会長? 西田君、会長なんてやってるんですか? 」


荻野さんだ。

俺は反射的にファンクラブ会長である西田を見てしまった。

うわー、西田も地面に手をついてお辞儀するのかな。想像してドン引きした。


しかし、西田は普通によっ、と手をあげて、


「あ、おはよう。荻野さん」


え、土下座風お辞儀じゃないの?

しかもなんかフレンドリー・・・


「おはよう、西田君、湖賀君。」

「お、おはようございます。」


「それで、会長って?」


言ってもいいものかわからなくて、西田に視線を向けると、目を逸らされた。

俺に言えと? お前のことなのに?


だがそこで言ってしまうのが小心者の俺。


「えっと、西田はファンクラブの会長でですね。」


荻野さんが意外そうな顔をする。


「ファンクラブ? 何の?」

「それは・・・」

「ごめんなさい、言いたくなければ大丈夫。」


彼女が悲しそうな顔をすると同時に近くにいた野郎共に睨まれる。


頑張れ、俺。負けるな、俺。

・・・・視線が痛い!


すまない、友よ。裏切りは君の名前を知っていたんじゃないかな。諦めて死んでいけ。


「西田は、"女神荻野風吹様を愛でる会"の会長です。」


確か噂で聞いた名前はそんな感じだったはず。

すると、西田からダメ出しが入った。


「一樹君。違うよ、"荻野さんとその想い人をくっつける会"だよ?」


そう言って友人は、けらけら笑った。

あれ、さっき隠そうとした俺の友情と裏切りの葛藤の意味は?


「一応これもファンクラブの一種だよね。」


俺的にはそれはファンクラブとは言わない、と言うと、じゃあファンクラブの定義ってなに? と聞かれた。

ファンクラブの定義なんて知らない、知らないけどなんかちょっと違うんじゃないかと思ったんだよ、西田!


「・・・じゃあ、あの噂は?」

「あ、それ僕が流したやつ。」

「・・・ちなみに、なんで?」

「会員が1人で寂しかったんだもん!」


会員、1人なの!?

それは会でもないのでは。


にしても、"荻野さんとその想い人をくっつける"か・・・


「そういえば荻野さんって好きな人いたんだね。」

「ま、まあ。そのくらいいます。」


荻野さんの顔が赤くなる。

うわ、意外と可愛いなあ。


「俺も、会員じゃないけど応援してるよ。」


そう言って微笑むと、西田に苦笑いされ、荻野さんには引きつった笑いを向けられた。

・・・解せない。






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