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6.白いうなじと黒子

本日二話同時更新です。

「5.見合い話」をお読みでない場合はそちらからお読みください。

 山陰地方というからあまり大きな町をイメージしていなかったが、駅前は高層ビルで埋め尽くされていた。そのうちの一つが指定されたホテルだ。

 こんなことでもなきゃ来ない場所でもある。

 まだ陽の高いうちに到着できたおかげで、早々にチェックインしたあとぶらぶらと町を歩くことにした。

 本当は都会よりも緑豊かだった途中の小さな村のほうが好みだ。……田舎のイメージにもダブるし。

 雛原の一族は、ここからもっと山奥に行ったあたりに住んでいる。見合いの相手についてはまだ何も聞いてないそうだが、婚約者は同族の幼馴染だったそうだから、今回の見合いもそうなのだろう。

 それなら村でやるんじゃないかと聞いたら、日曜日日帰りでないと雛原自身が帰らないと言ったそうで、日帰り可能な場所としてこの町が選ばれたらしい。

 行き来している人の数は大阪に比べるとはるかに少ない。土曜日の午後としても、これは少なすぎる。その代わりに車が多い。

 田舎になればなるほど、移動には車が欠かせなくなるのはやはりどこでもいっしょらしい。


「車かぁ」


 大阪にいる限りは無用の長物だろう。最近は自転車であちこち動くのも楽しくなってきたところだ。

 アパートから会社まで自転車で一度通ってみようと思ってはいるが、汗だくになってもシャワーを浴びる場所がないから今のところは断念している。そのうちバイクでも買うかな。

 せっかくここまで足を延ばしたんだから、何か土産でも買おうと駅前の土産物屋に入ってみた。明日の帰りは何時になるかわからないし、買うタイミングがあるかもわからない。

 妹にはご当地キャラのボールペンとタオル、さちにはそろいの色違いを買う。

 そういえば、妹の世話になってる寮と教育係に挨拶に行くいい口実になるかもしれない、と甘いものを探し始めた。

 土産物屋は多少は人が入っていた。まあそれでも少ないっちゃ少ないが。店員のほうが多いくらいかもしれない。

 ふと流れる黒髪が目に入って顔を上げると、すぐ近くに青色のニットボレロを羽織った女性が土産物を吟味していた。

 さらりと流れた髪の毛の隙間から白いうなじに小さなほくろが見えた。どきりと胸が高鳴る。

 慌てて視線を外してその場から逃げるように立ち去る。

 そんな性癖は自覚してなかったのに、なぜか白くまぶしいほどの白い肌にくっきり浮かんだほくろが脳裏から消えなかった。

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