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とある異能者、思考

 クラスメイトの影くんこと、影宮直刀と別れたあとも、僕──久雪詩は桐生司苑と遊び歩いた。

 僕がきゅぷるるーん星人人形をワンコイン(大きいやつ)で大量に取ったゲーセンとは別の店舗をはしごした。行くところ行くところの店員を泣かせ続けたため、流石に心が痛くなった桐生に「久雪、流石にやめよう。な?な?」止められたが。


⋯ま、当然だよね。僕は──だから。


 それから期間限定スイーツ食べ放題の店に行った。

 男子高校生とはいえお互い超のつく甘党だ。僕はコーヒーとか紅茶とか砂糖無しでも一応大丈夫だが、あいつは雪結晶印のコーヒー牛乳すら「に、苦い⋯」と言うのだ。

 初めは肩身の狭かったが、最近は普通に女子高生、女子大生ばかりの列に並べるようになった。

 大変な進歩である。


 僕達はお互いに一人暮らしだから遅くまで遊んでも誰にもなんにも言われない。本当に楽だ。

 桐生は実家から少し学園まで距離があるから、丁度いい機会だからって一人暮らしを始めたらしい。

 時々飯を作ってくれるからありがたい。

 何度か僕も作るよ!と言ったことがあったのだが、最初の一回以降全く作らせてもらえてない。

 やはり砂糖と醤油の量が多かったのかなぁ⋯

 いや、やはり歯ごたえを出すために煎餅を入れた方が良かったのかなぁ⋯

 カレーはもしかしたらアイツには辛すぎたのかなぁ⋯?

 後に、

「桐生はカレー嫌いだったのー?」

 と、聞いたら

「え。いや、別に好き、だけど、いや⋯うん」

 と、何とも歯に衣着せぬ言い方をされてしまった。


 さて、スイーツ食べ放題に行った僕達だったが、そこで夕飯まで済ませてしまい金の使いすぎも良くないなとなった。店の前で満足そうな桐生とも別れ、いつもより重い腹を抱え僕も帰ることにした。




 帰り道、とはいえ家に帰ってもすることはないから公園でブランコに座り少し揺らしていた。

 こんなところ、「アイツ」にみられたら勉強しろー!!って辞書と教科書を両手に持って追いかけてくるのだろうなぁ。いや、追いかけて、きたのだろうなぁ。


 キーコキーコと変な音を立てて揺れる。

──施設のブランコはよく取り合いになってたなぁ⋯


 それにしても影くん、影宮。あいつは、もしかしたら噂のことを⋯


 変な詮索はよそう。それに最初は上のクラスから急降下した生徒っていうから、どんな不良かと、もしかして学校側から差し向けられた奴かと思ったが、杞憂だったみたいだなぁ。そういう、僕にとって敵側の人間じゃない、とおもう。普通にいい奴だ。

 完全に僕のこと変態、というかゴミを見るような目で見られてるけど。


ま、そんなこと気にしないけどね。



 ブランコを大きく揺らして、飛び降りる。

 それから大きく伸びをした。

「うーーん。⋯ぷふぁ。これから楽しくなりそう♪」


 満月が不気味に輝いて僕の座っていたブランコを照らした。


──感傷に浸ってる暇はないよ、僕。





  *


 家に帰り、カレンダーを見る。

 明日の日付に赤くグリグリと丸印が付いていることに気が付いた。

「?なんだろう。何か用事でもあったかなぁ⋯。まっさかぁ!お友達のいない僕だよぉ?あーるわけないじゃーん」

 と、一人部屋ではしゃいで、哀しくなった。

 それはさておき、赤いグリグリところを見ると、同じく真っ赤な字で、でかでかと

『テスト!!』

 と、書いてあった。


がつーん

と。まるで、コンクリートの塊で頭を殴られたかのような衝撃。


「ひっぎゃぁぁぁぁぁぁあ!!忘れてたぁぁぁあ!!死んじゃうぅぅぅぅう!!!」


 一人暮らしのアパートに悲痛の叫びがこだました。

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