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Ⅴ , 目覚め

ジリリリリリリリ!


 けたたましい音が,俺の意識を引きずり戻した。


 ガチガチと2つのベルを叩く目覚まし時計を黙らせると,俺は身体を起こし辺りを見回した。


 そこは荒れた部屋だった。俺は布団の上で薄いタオルケットをかけて寝ていた。床には本やカバン,靴下などいろんなものが散らばっている。


 しばらくそのままぼんやりとしていたが,頭がはっきりするにつれてある思い出した。


 俺と同じ姿をした男のことだ。

 奴が言ったことも思い出した。俺は記憶を失っていて,すべて自分で探さなくてはならないこと。そして,ある女とは接触してはいけないこと。


 あれは夢だったのだろうか。

 しかし,名前や年齢,出身,今自分がどんな暮らしをしているのか,この部屋の間取りなど,何も思い出せないことに気づいた俺はあの男を信じるしかなかった。


 幸い,言葉はわかる。

 壁に紐で掛けてある大きめのホワイトボードの内容が読めたのだ。そこには,


〈5/13 M 連絡〉


とだけ書いてあった。アルファベットが指し示す意味はわからなかったが,数字はおそらく日付だろう。


 枕元にはスマートフォンが置いてあった。

 どうやら俺には物の記憶も残されているようだ。


 スマートフォンの電源ボタンを押し,日付と時間を確認した。5月9日金曜日,11時29分。ホワイトボードの日付よりもまだ少しある。

 画面には,他のことも書いてあった。


〈スライドでロック解除〉


 スライドさせればロックが解除される。そう思い俺は指を矢印の指すほうへ動かす。しかし,そうではなかった。

 ロック解除のためには暗証番号が必要であった。


 そして,俺の記憶にはその4桁は残っていなかった。

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