第2話 ~少年~
どうも、湯豆腐です。
あいかわらずの拙い文章ですが、大目にみてやってください。
でわ、どうぞ。
森の中に入ると、外とは違い陽の光がほとんど木々に遮られているらしく、薄暗くなっていた。二人は少し警戒をしながら進んでいた。
「結構暗いんだね。足元に注意してね、静瑠ちゃん」
少年は隣にいる少女に注意を促した。
「はぁはぁ・・・ぜっ、ぜっ、わ・わかってるわよ。でも少しきゅ・休憩が・・ほ・・しい」
静瑠は息も絶え絶えに答えた。
「えぇ・・・、早すぎるよ静瑠ちゃん。まだ登り始めて20分ほどしか経ってないよ!?それに日が暮れちゃうって言ったのは静瑠ちゃんでしょ」
少年は静瑠の体力のなさは知っていたが、思わずぼやいてしまった。
「う・・うる・さい・・・わね。私は・・ぜぇぜぇ・・あん・・たと違って・・頭脳労働専門な・・のよ。むしろ・・はぁはぁ・・私を背負う・・くらい・し・・しなさいよ!」
「はいはい、確かにもう死にそうって感じだね」
「ふぅー、しょうがないなぁ」
少年は静瑠の前に立つとその場でしゃがみこんだ。
「え?」
「え?ってことはないでしょ。ほら、早く乗って」
静瑠はしばらく放心すると、やがて意を決して少年の背におずおずと身を預けた。
「ちゃんとつかまった?じゃあ、行くよ」
「よいしょっと」
少年はすくっと静瑠を乗せ立ち上がり、また山道を登り始めた。
「ねぇ」
「ん?」
「私・・重くない?」
「全然。むしろ乗ってるのか心配なくらいだよ。だから気にしなくても大丈夫だよ」
少年は笑いながらそう言った。
「ん・・あ・・ありがと」
と静瑠はぼそぼそっと呟いた。
「ん?何か言った?」
少年は聞こえてなかったのか問い返した。
「なんでもないわよ・・・ばか」
「しっかし、ユウ、あんた以外に体力とかあるわね。見た感じは結構優男なのに」
その言葉にユウと呼ばれた少年悠輝は答えた。
「一応男だからね、これくらいは楽勝だよっと・・ん?」
「どうしたの、ユウ?」
「ねぇ静瑠ちゃん、遺跡がある洞窟ってあれのこと?」
と悠輝が指差した先にはぽっかりと大きな穴が開いていた。
「えぇ、おそらく間違いないわね。目的の場所はあの先ね」
静瑠は悠輝の肩に顎を乗せて、洞窟に指を向けた。
「でも気になってたんだけさぁ・・・。その情報どこから持ってきたの?」
「ん・・・、簡単よ。遺跡の発掘チームの報告書のデータなんかハッキングして、見つけたのよ。」
と静瑠はなんでもなさそうに答えた。
「はぁ・・・また危ないことして・・捕まったらどうするのさ」
「まぁ、静瑠ちゃんが失敗することなんてないだろうけどさ」
「当然でしょ。私にできないことなんてないのよ」
静瑠はふふんと鼻をならして得意気に答えた。背負われてなければ大いに胸を張っていただろう。自身を頭脳労働派というようにこの静瑠という少女はいわゆる天才といわれる人物であった。ハッキングやらはもちろんのこと、新しい発明や既存の機械をハイスペックに改良、はては古代文明の書物の翻訳まで体力がない事を除けばまさに完璧超人なのである。
「まぁ、そんなことより、ユウ早く行きましょう。ライトを出して」
「ん、わかったよ。えぇと・・あ、あったあった」
悠輝は腕に付いていた端末のようなもの操作すると、そこから強烈な光が放出された。光が治まると手には懐中電灯が握られていた。
「静瑠ちゃんも一応出しておいてくれる?結構暗いから一つじゃ心細いよ」
「OK、シル、ライトを出して」
静瑠は腕についた端末に操作するのではなく、声をかけた。
「かしこまりました。マスター」
と柔らかな女性の声が返ってきた。
女性が答えると同時にまたも強烈な光が放出され、光が治まると静瑠の手には悠輝と同じ懐中電灯が握られていた。
「ん、ありがとう、シル」
「いえ、それでは」
軽く言葉を交した後、再び端末は静かになった。
「さぁ、行きましょう。」
「うん」
「どきどきするわね」
懐中電灯を片手に悠輝と静瑠は洞窟の中へ歩を進めた。
「ねぇ・・静瑠ちゃん」
「なによ」
「もしかして、このまま背負わなくちゃいけないの?」
「当たり前でしょ。しっかり進みなさい」
「はぁ」
なかなか異世界に飛ばなくて申し訳ありません。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。