第76話
ノワはワイトに1度も怒られた事はなかった
「ノワ...お前は生きなさい」
ワイトはノワに認識阻害魔法をかけ
ノワのペンダントを外し
自身のペンダントをノワに着ける
泣きじゃくるノワを風魔法で包み
ルア王国の方角へと魔法を放った
「見つけたぞ!魔王ワイトだ!」
もう見つかったかとワイトは急いで
煙幕魔法を展開して逃げ出す
(ノワ、君は強い
私より誰よりも
そんな君だけど甘えん坊で泣き虫で
これからの成長が楽しみで
でもそれを見れないのが残念だ
魔力はほぼ認識阻害で使ってしまった
どうしたものか)
複数に囲まれてしまったワイト
「...ノワ、愛しているよ」
ドカーン....
それ以降魔法が使われた形跡はなく
辺りも静かになってしまった
「父様...」
泣きじゃくり疲れてしまったノワを
風魔法が運んでいく
(初めて怒られた、私のこと嫌いになったのかな)
認識阻害魔法のお陰で周りからは
ただの突風くらいにしか認識されなかった
翌朝になるまでノワは眠ってしまっていた
「...ここは?」
魔の森
魔王領に属する土地で
他の国との国境にもなっており
ここを越えれば追手もあまり手を出せなくなる
「もうちょっとで」
だがそれは阻まれる
「見つけたぞ!この娘だな?」
追手の手には現魔王ワイトのローブが
「...それ、どこで?」
震えた声でノワが質問をした
「あ?見てわかんねぇか?」
ワイトのローブがあるという事は
そういう事だ
「...いや、いやぁぁあ!!!!」
ノワは現実を受け止められない
追手はそれをわかった上で
このローブを持って来たのだ
ただ誤算だった
ノワが歴代のどの魔王より
強い魔力を有する事に
「うがぁぁぁぁあ!!!!!」
「なっ!?なんだコイツは!?」
魔力の暴走により追手は悉く吹き飛ばされ
魔力の暴走により周りの魔物も活性化し
ノワに襲いかかるが
ノワの魔力により圧死したり
切り裂かれたり破裂させられた
(いや、いやだ
父様...どこ?
独りはいや!!!)
反乱軍が反旗を翻した数時間後に
魔王ワイトを討ち取ったとの報告があり
反乱軍は夜通し宴をひらくが
その翌日反乱軍は壊滅
たった1人の少女に何万といた
反乱軍は敗れた
そしてノワの心には大きな穴が空き
誰の声も届かなくなった
「トウサマ...ドコ?」
破壊の限りを尽くす新たな魔王が
悲しくも生まれてしまった
「やっとか...
この時をどれだけ待った事か
父も母も我を邪魔者扱いしおってからに
あと数年でこの素敵な空間から出られる」
混沌の邪神は独り復活の機を伺い続けていたが
もう直ぐ復活の準備が整うのが待ちどうしく
不敵な笑みを浮かべていた




