第3話
「アッツイ...」
カルラと別れてから1週間が過ぎた頃
少年は足を引きずり歩いていた
その足に靴はもう無く
右足は傷が腫れ上がり化膿し
血と膿が混ざった液体を垂れ流している
歩くたびに少年は痛み
そして空腹に耐え
歩き続けなければならない
夜になればモンスターが動きが活発になる
日中は高すぎる気温が体力を奪い
照りかえす太陽は喉を渇かす
竜巻や突風に吹き飛ばされない様に
周りを確認し前へ進む
「...お腹すいたし..喉も渇いた」
渇き切った喉から掠れ声で呟く
数十分歩き続けた少年は
カルラが言っていた村を見つけた
「あそこまで...行ければ」
僅かな希望が少年を動かす
村まで大岩が五つあるのを確認し
歩を進める、一つ、二つと
三つ目に差し掛かった所で風が吹き荒れ
その突風に紛れてモンスターが吹き飛ばされている
突風のおかげで逃げ回らずに済んだが
なかなか風が止まない
10分くらい経過した頃
風が止んで更に歩を進める
四つ、五つ
「...もう少し」
その時、背中に何かを感じた
先程吹き飛ばされたモンスターが咆哮と共に
襲いかかってくる
少年は膿んだ足を動かし走った
あと少しで村に入れる
門番も見える距離にまで近づいた
その時...
『門を閉めろ!!!』
ギィー
ガタガタガタ
歯車の回る音からかなり重い扉なのがわかる
門番は少年を待つ気はない様子で
後ろのモンスターを街に入れない様にするので
必死に見える
「くそっ...」
あと少しの所で門は完全に閉まった
門に背中をもたれ、正面のモンスターと
鉢合わせる状態になってしまった
サソリのような
大型モンスターが目の前まで近づく
モンスターのハサミは少年より大きく
毒針から滴る毒は地面を溶かし
口をカチカチと鳴らして
獲物である少年を見据えている
「...ここまでか、ごめん母さん」
少年は目を閉じ諦めかけたその時
グチャ
鈍い音と共にモンスターが悲鳴を上げる
そこには鎧を身につけ
モンスターのハサミを切り落とした
女騎士が少年の前に立っていた
「少年!大丈夫か!?」
銀の髪を靡かせ彼女は少年に声をかける
背中のマントに刻まれた獅子の紋章は
ルア王国の近衛騎士団のものだ
「待ってー!ヴィクトリアー!」
「相変わらず、無茶をするなぁ」
モンスターの後ろから
2人追いかけてきた
片方はローブに纏い杖を持つ魔法使い
絨毯に乗っていた
ブロンドの髪は獅子を思わせるが
少し眠そうなタレ目で優しそうな顔の男だった
もう一方は、赤茶の髪に猫の様な吊り目で
短剣にバックラーを身に付けている
おそらく斥候系の女冒険者である
「相手は毒持ち
おそらく尻尾の毒針を切り落とせば
ハサミだけ片方は今切り落とした
あとは、いつも通り片付ける」
魔法使いの魔法でモンスターの視界を奪い
冒険者がナイフや爆薬を投げ動きを止める
「よし、動きが止まった」
女騎士のヴィクトリアはモンスターが
動かないのを確認して剣を鞘から抜く
剣の握りには緋い装飾がされており
柄頭には瑠璃色の宝石が嵌め込まれている
「...綺麗」
自然と溢れた少年の言葉にヴィクトリアは
笑みを返し駆け出した
モンスターの懐に入り切り上げる
彼女の剣は綺麗で鮮やかで
誰もが見惚れる剣捌き
腹を裂き毒針とハサミを落とし
とどめを指す
「...ふぅ、これでよし
あとはあの少年か」




