第16話
龍の渓谷の奥地
ドラゴンと龍人族の国は
龍王国と呼ばれその中央に
龍の巣と呼ばれる城がある
その王の間で1頭の龍が治療を受けていたが
「...もうよいぞ」
ドラゴンが治療をやめる様に
龍人族の長である
大神官に伝えるが
それでも大神官は諦めておらず
「いえ女王様、必ず治してみせます」
女王と呼ばれたドラゴンは
龍王グレイシアである
獣王ブルガとの戦闘が原因で
毒に蝕まれているのか呼吸が浅く
憔悴している様子だった
全盛期のグレイシアではれば
こんな事にはならず逆に一方的に事が済むのだが
グレイシアも高齢であり代替わりの時期での
出来事であったこのままでは
次の龍王を急ぎ決めなくてはならない
そんな状態だった
「急ぎ、後継者を決めなくては
あとどれくらい生きていれるか」
グレイシアの弱気な発言に
大神官が魔力を高め治療を進めていく
「私の見解ですが
このまま治療を続けていけば
もって後、5日程度です」
そうか、とグレイシアは覚悟を決めたような
表情をしたように大神官からは見えた
龍王の間に入ってくる存在が2つ
ギィー....
「母上!マンドラゴラの根から作られた薬です
これが効けばいいのですが
ダメだった場合、後は秘薬エリクサーしか」
そう言うのは次男のフィート
彼の心配や焦りから母への愛情が感じ取れる
ギィー...
「まあ、仕方ないだろう何してもダメな時は
ダメなんだから」
と、長男のロストがヘラヘラとした表情で
入ってきた
大神官がその態度に不満を唱えるが
ロストはのらりくらりと気の抜けた返事をし
フィートは病気の母の側により
薬を飲ませ様子を見る
結果は...
「元はといえばロスト殿がブルガなんぞを
刺激しなければこんな事には!」
「んだよ?俺のせいだってか!?」
大神官とロストとの口論が
ヒートアップし始めた所で
「もうよい!大神官とロストは下がれ
気が滅入る...」
グレイシアの一言で2人は
下がるしかなかった
「母上、大丈夫ですか
マンドラゴラは...効き目がなさそうですね
後はエリクサーしか...必ず手に入れてみせます」
そんな息子の頭を撫でるように
「私の事はもういいのだ
それよりフィートお前の事が心配だ」
グレイシアが亡くなった場合
自動的に長男であるロストに龍王の座が与えられる
次男であるフィートはラストの気分次第で
追い出される可能性が高い
群れから外れるとはぐれの竜になる
はぐれの竜はギルドの討伐対象になる
助かるには逃が続けるか強くなるかの二択
フィートは決して強くないし
逃げるような性格でもない
それを踏まえると
このまま死ねないグレイシアであったが
残りの寿命はあと僅か
「さて、どうしたものか...」




