第54話
目を覚ますと、鳥の鳴き声が聞こえた。
カーテンの隙間から差し込む柔らかな日差しが、頬を優しく撫でているのを感じた。
「もう起きろ。」
耳元に囁いた温かな息を感じた瞬間、ようやく悟った。
頬に触れていたのは太陽の光ではなく、髪だったのだ。
もう慣れてきたことなので、驚かなかった。
「あと五分…」と、眠そうな声でつぶやいた。
従いたくない気持ちを示すために、ゆっくりと体をひっくり返し、毛布にくるまってまるで居心地のいい巣ごもりのように、顔を枕に埋めた。
少なくとも僕の枕だと思っていたものに顔を埋めた。
一見、ふわふわした感触は同じように思えたが、微妙に違っていた。
「おっと!朝からずいぶん大胆ね、シン。十秒以内ベットを10秒以内にベッドから出なかったら、腕を腕ひしぎしてやる。10秒…」
「何年経っても、キリちゃんは暴力系だな。乙女らしくないぞ。」
「腕をマジで折ってやるから日葵ちゃんと同じ呼び方をやめて。」
トラックに轢かれて入院してたとき、桐乃が毎日お見舞いに来てくれた。
この事故の数か月前をよく覚えていないけど、僕にとって非常につらい期間で桐乃の世話になったみたい。
驚くこともなくクリスマスの少し前に桐乃と付き合い始めた。
大学に入ったから、一緒に暮らすことにした。




