第52話 後編 神々の王様 ①
彼は僕の言葉に眉をひそめて、無言のままじっと僕を見つめた。
「僕は真一。愛子を迎えに来た。」
「言い返さなくてもいい。最初に聞いたときから理解した。」
「でも何の反応もしなかった。」
彼は神らしくもなく、絶望的に吐息を漏らした。
神々は言われてるほど高貴な存在ではない気がし始めた。
「それで、そのアイコは何方ですか。?」
「えっと…愛子はラブコメの女神である。心当たりはある?」
左右に頭を振って、知らないのをわからせた。
「どうやら彼女は力を使い果たして、神々の移行中の世界へ戻ったみたい。彼女をもう一度会いたいんだ。」
「人間、我の役目は、死者の転生を取り扱うことだ。だから、君が行きたい世界の特徴を教えてくれないか。」
仕事にしか集中していなかった。
「君の上司は誰?」
「上司はいない。この役目を行うのは、我一人だ。」
その最後の言葉を口にする際、彼はまるで本物の社畜のように陰鬱な表情でため息をついた。
「なるほど......ではボスに会わせてくれる?神々の王様とか、なんとかいう存在に。」
「言った通り、我の役目は転生の管理だから、それはできない。しかも、陛下は非常に多忙だ。さっさと君が行きたい世界のジャンルを教えてくれ。」
彼は少し苛立っているようだった。
「転生する予定がなかったから、僕がここにいるのは異常って言っただろう。」
「はい、そうだけど?」
「これって、上司に報告すべきことじゃないのか?」
彼は考え込むような顔で僕を見つめていた。
まさか僕のことを、問題として思っているのかもしれないが、どうやら迷っているから、今しかない。
この躊躇いを僕の有利に傾けなければ。
「それに、僕は元の世界にいなかったから、神々の王様が僕に問いただす必要もないと思わない?」
返答する代わりに彼は手のひらに携帯電話を出すと、番号を押して耳に当てた。
スピーカーから、ゆったりとした反復する音楽が流れ出した。
彼はじっと待っている。数分が経っても、その音楽は耳鳴りがしそうなほど僕たちの耳に響き続けた。
彼が僕を見つめて、僕も視線を返した。
彼は大きなため息をこぼした。
保険会社に電話するみたい!?
ようやく、この拷問が終わった。
「はい、陛下にお会いすることは可能でしょうか……特別な案件がありまして……はい、非常にお忙しいことは承知していますが、どうやら我の承諾なしに転生された魂がいるようで……それに、ある“アイコ”という女神の話も出てきました......」
彼の表情が固まった。
「かしこわかりました。今すぐに連れて行こう。」
彼は電話を現れさせたときと同じように消すと、舌打ちしながら僕の前に立った。
「チッ」
どうやら、僕を神々の王様に会わせるという考えが、彼には気に入らなかった。
「君は非常に運がいい。陛下が、君のようなただの人間に会うことを受け入れるのは初めてのことだ。だが、君が話した神の名前を聞いたことで、決心したようだ。」
彼が指をカチッと鳴らすと、その音は反響して響いた。
すると、床に対して垂直に光の円が現れ、次第に直径二メートルほどまで広がり、周囲に柔らかな懐かしい暖かさを放った。
愛子との再会に向けた大きな一歩だった。
転生と世界移動の担当は彼だから、もしかすると愛子の行為は違法だったのかもしれない。
何で愛子は神々の法を破ったのか?
なぜ僕をこの世界に送ったのだろう?




