第50話 中編 犯人の正体 ②
「桐乃、僕をついてくる必要はない。授業をサボったら面倒なことになる」
さっきの出来事で、もう学校にいたくなかったので、家に帰ることにした。
「あんたがサボっても大丈夫と思うの?」
「…」
彼女はただしかったが構わなかった。
訪れた重苦しい沈黙が昨夜の豪雨でまだ水たまりが残っている道路を走る車の耳をつんざく騒音しか破らなかった。
「真一くんいったいどうしたの?この数ヶ月、マジで変わったわ。前なら、さっきみたいに冷静さを失ったりしなかったはず。今までは、あんたからその話を切り出すのを待っていたんだけど…いったい何があったの?そして、愛子って誰なの?」
ようやく桐乃の方を向いた。
しばらくの間黙って彼女を見つめた。
「たとえ言っても信じてもらえない。」
「それでも、言ってみ。」
僕は、この世界によく似た別の世界から来たことや、愛子が女神であることも含めて、全部説明した。
話し終えたとき、彼女の目の中を見れば信じていないのがすぐに分かった。
桐乃に注意しておいたのに僕は正気を失ったと思っていた。
僕は何もできなくて誰にも手伝ってもらえなかった。
「えっと、その女神に…会えないの?もう一度会う方法とかないの?あんたの言う通りここがラブコメの世界なら、神様に会う方法のひとつくらいあるんじゃない?」
「普通のラブコメに女神なんて出てこない。神と出会うのは…別のジャンルで……」
そのとき、足を止めた。
愛子と交わした、取るに足らない会話を思い出した。
それが、彼女に再び会える唯一の手がかりだった。
僕がまだこの世界にいるということは、愛子がどこかで今もこの世界に力を注ぎ続けているということだ。
全知全能ではないにせよ、この世界とその仕組みを創り出したのは彼女なのだから。
だが、非常に危険な案だった。
もし間違っていれば、後戻りはできなかった。
この可能性にすべてを賭けるのか?




