第49話 中編 犯人の正体 ①
「先生と委員長のことを校長に知らせたのは、私だった。だって、あなたを手伝ったんでしょう。」
「何!?」
「催眠アプリをクソオタクにあげたのも、私だった。」
「なん…何で!?何でそんなことを......!?」
「本気に聞いてるの?簡単だよ。復讐のためだった。あなたのせいで求めたものを失われたから、苦しんで欲しかった。」
「何言ってるの?何もしなかっ......た。」
「やっと分かった?」
「まさか…!!?」
「そうよ。京介があの子と付き合ってるのはあなたのせい!邪魔しなければ、こんなことにはならなかった。向日葵があなたに惚れてるってわざと言ったのに、阻止し続けた!」
冷静さを失った。
積もった苛立ちと無力感のすべてが一気に爆発したのだ
「愛子はどこだ!?」
「…」
答える代わりに彼女は満足げな笑顔を浮かべていた。
「愛子に何したんだ!? 」
「安心して。やりたかったけど彼女に何もしなかった。でもこの子がいなくなってとーても嬉しい。」
僕の表情は怒りに歪んでいて、転校生の襟首をつかんで下駄箱に叩きつけた。
殴るつもりだったが、拳が彼女の鼻に当たる寸前に誰かが私の前腕を掴んだ。
誰が邪魔したのかの正体を確認するために振り返った。
悲しそうな表情を浮かべていた桐乃だった。
同情でも、僕の行動に対する失望ではなかった。
彼女は僕がそんなことをするほど苦しんでいるのを見て、心を痛めているようだった。
桐乃と向日葵は、時間が経つにつれて僕が壊れていくのを無力に見た。
状況を説明しても、彼女たちは理解できないと思う。
愛子の覚えていなかった。
「真一くん…もういい。何があったのかは知らないけど、何も変わりはしない。ただ状況を悪化させるだけ。」
のろのろと転校生を離した。
桐乃がまだつかんでいた腕の拳が、唇と同じようにわずかに震え始めた。
涙が溢れ始めた目を閉じました。
「わかってる…よくわかってる。何も変わらない。でも…気分は良くなる。」
それが非論理的で、彼女を戻せないことは誰よりも分かっていた。
心の奥底では、僕の憎しみが本当は誰に向けられているのも分かっていた。
それは、他でもない僕自身だった。
こんな状況になったのは、無力な僕のせいだった。
もし僕がもっと有能だったなら、愛子がようやく手にした自由を奪うことはなかった。
そして愛子に伝えるべきだったのは…
…「愛してる」。




