第48話 前編 絶望③
生気なくのろのろと通学路を通った。
僕の意識が別のところにあったので、自動人形のように歩き続けていた。
しかし、高校の玄関ホールに入ったところですっかり日常化していたトランス状態から引き戻された。
「小西シン・イ・チ、大切なものを失うってどうかしら?辛いでしょう。」
その言葉を聞いて血の気が引く思いをしながら、浮き立った声でそれを言った人物を探して振り返った。
満足そうな目で僕をじっと見つめていて、下駄箱にたれかかっていた転校生だった。
「何言ったのか?」
聞いたことが信じられなかった。
「っで…どんな気持ち?」
愛子のことを覚えているの!?
でもなぜ彼女は楽しんでいるように見えるのか?
「愛子がどこにいるのか知ってる!?教えてよ!愛子はどこにいる?」
勢いよく転校生の方へ駆け寄った。
「…」
しかし、彼女の口からは一言も出なかった。
僕の苦悶にゆがんだ顔を見つめながら、次第に喜びに輝く目で僕を見つめているだけだった。
転校生の表情はまるで捕まえたばかりのネズミで遊ぶ猫のようだった。
「答えろ!!」
僕の待つ苦しみを十分に楽しんだ後、彼女は話し始めた。
全く予想外の露顕だった。
この世界に来て以来経験してきたすべてのことがついに最も恐ろしい形で意味を持ったのだ。




