第47話 前編 絶望②
落ち着いて愛子はかなり力を使ったので移行中の現実にしばらく戻ったかもしれない。
それでも何故誰もが彼女のことを覚えていないのかは説明できなかった。
結局、唯一できたのは待つことだけだった。
日々はやがて週となり、週は月へと変わっていった。
気がつけば、紅葉の葉はすでに血のように赤く染まり、僕の顔に宿った陰鬱な表情を映し出すかのように秋の雨が空を少しずつ曇らせていった。
愛子の帰りを待ち焦がれていた。
だが、まだ戻ってこなかった。
ある朝、肩を優しく揺さぶる手に起こされた。
そんなふうに起こされたのがいつ以来だったのか、思い出せなかった。
愛子が帰ってきた!
掛け布団をはねのけて、一気に起き上がった。
彼女はおそらく「私がいなかったからこんなに寂しくなった。」とか、そんなことを言いかけたのだろう。
残念ながら、最近よく遅刻するから僕を起こしに来たのは母だけだった。
愛子がいなくなって以来すべてが空虚に思えた。
読書さえすれば幸せになると思い込んでいたが、それに対しても興味を失った。
そんな偽りの希望を抱いていたから、現実に落ち込むのはさらに苦痛だった。
読者のみんな様あけましておめでとうございます~!




