第38話 前編 楽しいことさえも、いつかは終わりを迎える ②
「暑いなぁ!」
紙を扇子にして、ぱたぱたと仰ぎながらぼやいた。
その言葉を証明するかのように、教室を見渡せば状況は明らかだった。
太陽は眩しく輝いているのに、みんなは外に出て日差しを浴びるよりも、教室の中に留まることを選んだ。
日陰にいてさえ、気温はまるで灼熱地獄のようだった。
「愛子、そんなにくっつくな!このまま本当に死んでしまう!」
彼女は僕の膝の上にちゃっかり座っていた。
ここ数日で完全に癖になってしまったらしく、クラスのみんなももう驚くことなく、当たり前みたいに納得していた。
最初は、もちろん強く反対したが、この女神がいつも自分の好きなようにするので僕は諦めた。
この蒸し暑さのせいで、もう我慢できなくなった。
額と項には汗がにじんでいた。
椅子の背もたれに背中を押し付ける制服の湿った感触はとても不快だったが、避けられないものだった。
彼女は僕の膝を降りる代わりに、目を閉じて、無言のままに僕のほうへ頭を向けた。
僕は扇子を愛子の方に振り始めた。
どうやら、僕は彼女の無言のリクエストを正しく読み取ったらしい。
軽く髪を揺らす涼しい風を、満足そうな笑顔で受け取る彼女を見て、僕は完全に彼女の奴隷になったと悟った。
僕はまるで古代の使用人のように、ヤシの葉を扇ぐかのごとく扇子を振っていた。
絶望の中で、桐乃が立ち上がるのが見えた。
「自販機に行って。なんか冷たい飲み物買ってくる~。マジで暑すぎ。」
その言葉を聞いて、僕は逃げ道を見つけた。
「僕も行く!」と慌てて声を上げた。
立ち上がると、愛子は僕の膝から降りざるを得なかった。
彼女は不満げな顔をして僕の席に座った。
僕が扇子を差し出すと、嬉しそうに受け取った。
僕が席を立つからではなく、僕がもう涼しい風を送らないから、この顔をしていたんだ!?




