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ラブスレイヤー  作者: Raito11
第四章 ラブコメの勘違いは面倒すぎ
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第30話 中編 男たちの地獄 ②

残念ながら、僕の申し分は無視されて、行進はそのまま続いた。


幸いなことに、この現代の戦場にはテクノロジーが存在した。

エスカレーターという恩恵のおかげで、我々は上り下りの階段を強いられる苦行から解放された。

この重荷を背負ったまま階段を使わされていたら、それこそ極限の拷問だった。


頭上には常に換気口があって、そこから流れる冷たい風は一時的な清涼感を与えるだけだった。

しかし、それは周囲の空気との対比によって、かえって熱気を一層強く感じさせるのだった。


エスカレーターを降りた瞬間、思わずため息が漏れた。


愛子がその様子を見逃さなかった。


「ねえ、私の力を使ってこれを少しでも退屈じゃなくしてあげようか?」


力って?

そういえば女神だから力があった。

この世界の時間を一気に加速させることもできるので、そうすればこの地獄の苦行も一瞬で終わる。


でもその力を使うのは疲れる

まあ、彼女が自分で提案したから大丈夫。


僕はすぐに勢いよく頷いて、彼女の提案を受け入れた。

彼女は指を鳴らした。


しかし、何も起こらなかった。


まだショッピングモールの中にいた。

僕の暮れる顔を見て、愛子は無言のまま僕の後ろを指さした。


振り返ると、桐乃がまだエスカレーターの二メートル上にいるのを見えた。

すると突然、不自然な突風がショッピングモールを駆け抜けた。

そのせいで彼女の履いていたスカートがめくれ上がった。

桐乃は慌てて直して、僕が全部見ていたことに気づいて顔を赤らめた。


それは始まりに過ぎなかった。


彼女はバランスを崩して、スローモーションのように転んでいた。

僕は持っていた袋を放り投げて、彼女を受け止めようとして腕を伸ばした。

十分に素早く動けず、正しい体勢で受け止められなかったので、二人とも固い床に叩きつけられるようにドスンと倒れた。


背中から落ちた衝撃で、しばらくの間息が止まった。

正気を取り戻すと、僕は慌てて桐乃の様子を確認した。

彼女は完全に僕の上に横たわっていた。


少なくとも落下を和らげることはできた。

なのに、どうして桐乃は変な顔をしてるのか?


そのとき、今まで地獄だと思っていたことがこれから起こることに比べれば何でもないことだと気づいた。


右手のひらにがまず小さなクッションを思わせて柔らかくてふわふわした感触を感じた。

形とほんのりとした温かさから考えると、一番近い例えは肉まんだと結論づけた。


ラブコメのベタな展開だった。

いわゆる、ラッキースケスケベ。


まったく、こんなことは物語の進行には不要だ。


僕は頭の中で必死に考えを巡らせた。

選択肢はこんな感じだった:

選択肢1:逃げる

結果:追いかけられて殺される。

選択肢2:胸の感触を褒める

結果:即座に叩き潰される。

選択肢3:謝る

結果:やはり殺される。


まるでギャルゲーの選択肢みたいだった。

死亡フラグしかない。

どの選択肢を選んでも苦しいが、三番目の選択肢がまだマシだった。


二人とも立ち上がった後、僕はできるだけ平身低頭に土下座して謝った。

桐乃は微笑んでいたが、その目はシベリアのように冷たかった。


それで彼女はゆっくりと指の関節を鳴らした。


僕の審判が下された。


母さん、父さん、今日は君たちの息子が死んでしまいそう。


彼女は僕の前腕をつかんで床に引き倒した。

そして僕の腕を不自然な角度にねじり上げて、腕ひしぎをかけた。


ただの腕ひしぎだと思うかもしれないが、僕は肩甲骨が外れそうな感覚を覚えた。

まるで関節のあたりを焼かれて肩から腕にかけて鋭い痛みが走る。


彼女の前腕への握りはそれほどまでに強固で、骨がその握力で折れてしまうのではないかとさえ思った


僕にとって永遠にも思えた数瞬後で彼女は不意に僕を放して、何事もなかったかのように歩き去った。

地面に倒れたまま、死んだも同然で取り残された。


愛子は膝から崩れ落ちるように僕のそばに倒れ込んだ。

力を使い果たした彼女は荒い息をついて、額にはうっすらと汗がにじんでいた。

彼女はなんとかしゃがみ込んで、興奮気味に僕の耳元でささやいた。


「悪くなかったでしょ!?どう思った!?」

「力を使って早く終わらせてくれると思ったんだが......」

「やったんでしょう。楽しければ時間は早く過ぎる。」

「いつか後悔させてやる。」

「なるほど…」


彼女は苦労しながらゆっくりと立ち上がった。

何か悪いことを企んでいるような笑みを浮かべて僕を見つめた。

その後、彼女はふらつきながら桐乃の方へ歩いて、腕をつかんだ。


「桐乃ちゃん!しんくんは意地悪よ!!」


桐乃は僕を睨みつけた。


「アンタ、マジ女の敵ね。絶対にぶっ飛ばしてやる。」


これは多分、京介にしたことの天罰。


「なぁ、向日葵さん。いつも俺を殺そうとしているから桐乃ってヤクザなのか?」


僕は本人に聞こえないように、そっと耳打ちした。


「違うよ、祖父が道場があるだけ。」


なるほど、だからあの技があんなにきれいに決まる。


かくして、僕が導き出した唯一の結論は彼女が生まれつきの暴力体質だ。


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