第2話 前編 案の定、転校生がいた。②
教室のドアがバンッと勢いよく開かれた。
「おっはよー!!みんな、元気?」
明るい茶髪のボブカットの女の子が、元気いっぱいに教室に入ってきた。
「おはよう向日葵ちゃん」
クラスの女子たちが声をそろえて返事をした。
向日葵という女子の後ろには、彼女より背の高い男子が立っていた。
どうやら同時に教室に入ってきたらしい。
二人は恐らく幼馴染同士と思う。
「相変わらず二人ともいつも一緒だなあ。」と、ドアの近くにいる男子が言った。
「朝から彼女とクラスに来るなんて、マジ羨ましい!」と、別の男子が続けた
「それは言わないでよ〜。付き合ってないってば〜!」
幼馴染ちゃんは頬を赤らめながら、慌てて否定した。
「だよねーきょうくん!?」
「何回も言ったけど、俺たちは付き合っていない。これからも付き合うことなんてありえね!」
幼馴染くんがそれを言い終えたとたん、幼馴染ちゃんは振り返って、がっかりした表情で彼を見つめた。
一瞥もせず、すねたまま立ち去った。
「俺、何かした?」
「諦めろう京介…」
「大きくなったら、父さんはちゃんと説明するぞ。」
同級生の男子たちは親切な視線を送りながら、幼馴染くんを慰めていた。
もし推測が正しかったら、鈍感でベタな主人公が恋するツンデレな幼馴染ちゃんだった。
非常に面倒くさいキャラだから本当に最悪だった。
幸いにも、金髪とツインテールはなかった。
不意に、幼馴染ちゃんは僕の方へ視線を向けた。
しばらくの間、息を止めた。
ただの偶然だったのかも?
でも、こちらに歩いて来ていたんだ。
彼女が近寄るにつれて、悪寒が段々強くなった。
この世界では最悪を覚悟しておいた。
「おはよーきりちゃん!」
良かった。僕ではなく、隣のギャルに会いに来た。
っていうか、隣のギャルってなんかラブコメのタイトルっぽくない!?
「向日葵ちゃん、何度もその呼び方をやめてって言ったじゃん!『桐乃』って言うのは難しくないよ!ほら、言ってみて、キ・リ・ノ。」
「キ・リ・ノ。」
「難しくないよね。」
「きりちゃんの名前は可愛いけど愛称は親しさの証だもん。」
桐乃と呼ばれるギャルは大きなため息をこぼした。
このやり取りは初めてではなくて、きっと最後でもない気がした。
「きりちゃん、何かあったの?」
「ん?」
「なんか、いつもよりもっとイライラしてる感じがする。」
「変な趣味の人と関わってしちゃった。」
「変な趣味ってどゆこと?」
幼馴染ちゃんは首を傾げて、眉をひそめていた。
全然わからないみたい。
さすがラブコメの幼馴染。ピュアすぎ。
「ある人はさ…なんか…罵られるのが好きてゆーか…」
ギャルはちゃんと言葉を選んだ。
「マジ!そんな人がいるの!大丈夫?」
幼馴染ちゃんは本当に心配しているようだった。
「この人って誰なの?」
今は怒っているようだった。
作者たちが「可愛い」と写すものだった。
全然怖くないから、なんとなくわかる気がした。
彼女を全然真面目に受け止められない。
それにしても感情の変化がすごい。
まるで感情のメリーゴーランドみたいだな、こいつ。
答える代わりに、ギャルは幼馴染ちゃんから視線を外さないまま、左の親指で僕を指した。
少し前に怒っていたのに、犯人がそんなに近くにいるとは思っていなかったので、無言で僕を眺めた。
「こんにちは、罵倒されるのが好きな人は僕だよ。よろしく!」
満面の笑みで彼女に挨拶した。
幼馴染ちゃんはまるで潰れたゴキブリを見たかのように、嫌悪感いっぱいの視線を僕に向けた。
そのまま続けたら、嫌われて穏やかに生活ができる。




