第15話 前編 悟ったことと計画変更 ②
「暁さん!」
僕に声をかけられるとは思っていなかったから彼は驚いて振り返った。
「え、真一くんか。呼び捨てでいいぞ?」
「わかった、京介さん。向日葵さんのことなんだけど。」
「やっぱり…」
「この前、デートしていなかった。付き合ってもいない。自転車で通りかかっただけで、向日葵さんが心配そうだったから止まったんだ。遅れそうだって聞いたから、早く君に会えるように乗せてあげただけ。」
「嘘つかなくてもいい。」
こんなことをするのは本意ではなかったけど......
深く息を吸って、言おうとしていることに備えた。
自分が言うべきことではないのは分かっていたけど、これが一番効果的な方法で、思いつく唯一の解決策だった。
「京介さん、実は…向日葵さんが好きなのは…君のことだ。」と、僕は彼の目をまっすぐ見つめながら告げた。
短い沈黙のあと、彼はため息をこぼした。
「お前もか。ただの幼馴染としてしか俺を見ていないんだ。」
「違う、聞いてくれ!事実だ!」
「お前、聞けよ!そんな噂は向日葵に迷惑をかけるだけだ。好きなのはお前だから、もっと真剣に考えろ。」と、暗い表情で彼が答えて、背を向けてそのまま歩き去った。
またしても、完全に失敗した。
向日葵自身が言わない限り、彼は信じないだろう。
その心境では、仮に本人から聞いたとしても信じそうになかった。
どうすればいいんだろう......
一日が終わろうとしても、解決策は見つからなかった。
教室には僕と向日葵、そして桐乃だけが残っていた。
「向日葵さん…ごめん。今日の昼休み、君の幼馴染に話をして、誤解を解こうとしたんだ。彼のことが好きだと言っても、信じてもらえなかった。許可も取らずに言ってしまって本当にごめん。」
罪悪感のせいで彼女の目に直接に見られなかったから、机に視線を落とした。
自分の行動と失敗が、本当に恥ずかしかった。
「なるほど……」
昼からずっと聞きたかった質問にようやく答えをもらった桐乃が低くつぶやいた。
きっと、気まずくさせたくないので、ずっと聞けなかったのだろう。
「心配しないで、真一くん。私を手伝うようとしてくれたためだったんでしょ。」
「もしかしたら、自分でちゃんと伝えれば、彼も考えを変えるかもしれない。」
しかし彼女は僕の提案に同意しなかった。
「大丈夫。真一くんと桐乃には手伝ってもらったし。うまくいかないって、もう分かってるから前に進まなきゃ、はは。」
君は笑っているけど、なんでそんなに悲しそうに見えるなのか?
諦めるって言ったけど、なんで手が震えてるのか?
「行くの?」
桐乃が教室の扉のそばで、向日葵について行こうとしているところで僕に聞いた。
「いや、もう少し残りたい。」
「分かったわ。でもあんまり遅くまで残らないでね。」
「心配しないで。」
「あんたのせいじゃなかった。ちゃんと頑張ったんだし」
頑張ったって、本当にそうだろうか?
ここまでの誤解は全部僕のせいだった。
僕はただ状況を悪化させただけだった。
あの日以来、二人は一度も話してなかった。
僕は、何か他のことができるはず。
もっと、できるはず。
でも、どんなに考えても何も浮かばなかった。
もっと用心していれば、違った展開になったはず。
僕は、まだまだ足りないんだ。
僕は両手で頭を抱えた。
息は荒く、息苦しさで胸が締め付けられるようだった。
呼吸するのは辛くて頭が万力で挟まれているような感覚だった。
悔しさの涙が目の端ににじみ始めた。
「小西くん、まだいたの!?そろそろ教室閉めるから、荷物片付けてくれるの?」
少しの間僕をじっと見た後、教室に現れた香苗先生はゆっくり僕の方へ歩み寄った。
「小西くん、ちょっと話しましょうか?」




