ダデム 町の用心棒 前編
長編のフォース=エセラーの短編です。 読みやすいです。 凸凹コンビ。カールとソフィアとアラゴーの旅。 今度の冒険の舞台は、冒険者の町ダデムだ。
口ダデム 町の用心棒 前編
馬車を走らせて、一行は行く。ソルメーヌから、ダデムまで4000キロ。
日にして20日間。かろうじて鋪装された道路をひた走る。
ときおり、ものすごいスピードで走りぬけている、ハイヤーの脇を走って。
国境線沿いの検問ゲートで通行パスをみせた。
ルート沿いのモーテルを抜けて、ひた走る。
ひさかたの眠りと休息を夢見て。
あこがれの町に近づくに連れ、行商人や、道化師、ペルキエロ、子連れの家族が増えていく。
巨大な城門を通ると、バルーンが見えてきた。そこは、夢見る冒険者の国、ダデム。
天空都市が落ちた跡が有名で、冒険者が闊歩する、冒険者達のための国だ。
通行人達は、薄麻色の、綿と麻を素材とした、質素な服にザイザル麻のバックパックといった風情をよく見かける。
露天商の、商人達は、橙色の着物地のプルパーカに緑色の帯。金の紋様が入ったという風情だ。
通りには、冒険者の好奇心をくすぐるだけの商品が並べられている。
通りからは、目に入るだけで、2、3件の宿屋がみえる。
町は活気にあふれている。
「さあて、ダデムに着いたぞ。何をするかな?」
露天商には、色とりどりの品物が、所狭しと並べられている。
ざっと見ただけでも。
ハーブ、スモークドラムチョップ、ポパイ、ビタミンリーフ、スモークドベアー、ボアーミート、吊るされたラム肉といった風情だ。
「うぅ、久々に舌がなるわい」
人間も、露天商に目をとおす。
サーベル、シミター、バックラー、カイトシールド、刀類。
衣服、碧青の衣服、紅の衣服。銀のターバン。
「予算にあうかな」
エルフも立ち止まって物色している。
食器類、ソーサー、ナイフ、フォーク、スクロール、サークレット、アミュレット、銀細工などだ。
「いいわね」
チケットマンがドワーフと話している。
ドワーフが皆に声をかけてくる。
「わしゃー腹がへった。宿屋で一杯。たらふく食べたい」
「ええ、うちの店は料理が美味しいので、評判ですから」
「えっ? どんな宿屋?」
マスター曰く、白金の渚亭というらしい
一晩、1000Gらしい
「ええーーっ!」
「高いわね」
「とほほ、予算あうかにゃ」
朱夏のギラギラと照りつける太陽のもと、先導され、あるく3人。
立ちくらみしそうな、陽光のもと。
動くのど仏。
人間「のどが渇いたぁ」
路地という路地を、しばらく、歩く三人
突風が吹く。
白の大通り。
大通りの白亜の建物群が立ち並ぶ中、脇に、祖末な建物が。
建物は、2階建ての祖末な木造建築で、白金の渚亭と大きな看板が出ている。
「ええーーっここが!」
どこからともなく、食事の美味しいにおいが流れてくる。
「ふむぅー、思ったより、頼りない建物だな、まあ、入ってみるか」
3人は、バンガードアをくぐっていく。
真昼だと言うのに、薄暗い店内は、スモークをたいたように、タバコの煙が満ちている。
客は大勢いるようだ。
技能(聞き耳)
エルフ「マスター、聞き耳の技能使います」
エルフは聞き耳をたてる。ロール成功。
すると、「広大な土地に根が張って、固くて、つるはしでも歯がたたねえ」「果樹も、2年どまりだなァ」と聞こえてくる。
ファーマーかな?
カウンターのドアが開く。
カラン、カランと、錆びた音と、ともに、威勢のよい声がかかってくる。
「よお、いらっしゃい!」
声の主を見ると、体長2m20。アフロソバージュをまとめた鬼のような巨漢だ。
笑うと、歯はまぶしい。
「おれの名前はダッド。エディブ=ダッドだ。この店のマスターだ」
「通り名は、マスターダッドで通っている。以後おみしりおきを」
「うーん。そんなことより、飯じゃ、飯にしよう」
「了解!」
「ひとまず、席に」
料理長が顔をだす。
「今晩のメニューは、ローストポーク、クネドーリキ、ザウアークラウトとブロデット、グヤージュとワインになります。
「なんだ、ポークの匂いか、そんな素朴な、上品なのしかないのか」
「もっとアレ、露商に売っている肉」
「はい、お好みにあえば、調理しますが」
「もう、しんぼうたまらん、でていく!」
バンガードアを突き破ってでていくドワーフ。
呆れてみている二人。
静かになる、レストルーム。
「ぼくは、お腹が空いたので、さっきのメニューで」
あたりを見回してみる人間。
冒険者に見受けられる、人々は、タバコを吹かしながら厳かに食事をとっている。一部にファーマーらしい、一団もみうけられる。
角に宝玉をテーブルにおいた、ひときわ異様な人物がフードを目深にかぶり人物と体面している。
「あっ!情報屋だ」
「ホント」
「小銭あったかな?」
ガセもありますが、ほんとにいいんですかね、ヒヒヒ。
今日、仕入れている新鮮な情報は10。
一回20Gで、盤石棒をひいてくだされ。
懐具合は大丈夫だな。
「よし、やってみよう」
「&$#&(ウジュラ)と、はい、2」
唾を飲み込む、人間。
「羊の値段が、現在、高騰している」
「?!」
「ふぅー。もう一回」
「&$#&と、はい、○」
「マスターダッドの持ち馬、スターソルジャーはよく勝つらしい」
メモを取る、人間。
「なになに、スターソルジャー!? 競馬じゃん」
「今度は、どうかな?」
「はいな、ヒヒヒ。&$#&とはい、+」
「デビルズヒル=ヤパベルのドゲッテ山に、落ちたロケットの跡があるという噂が」
「なになに、ヤパベル。ドゲッテ」
メモを取る、人間。
エルフ
「じゃあ、わたしが」
「&$#&と、はい、△」
「ルクス王が、近々、各国から貴賓席の方を招き、舞踏会を催すもよう」
「まあまあね」
「じゃあ、もう一回」
「&$#&と、はい、口」
「いいのを、お引きになったね。はい。これは、この白金の渚亭に集まる冒険者からよく耳にすることなんじゃが。」
唾を飲み込む人間とエルフ。
「世界に変動の予兆がきている。各地で、鉱泉の噴出や、火山活動、地震などが奮発している」
「ええーーガセだぁー」
「ウヒヒヒヒッ」
勢いよく、バンガードアが開く。
「帰ってきたぞい」
たくさんの肉を抱えて帰って来たドワーフ。
机の上のドサリ、ドサリと肉を置く。
スモークドラムチョップ。縛られたラム肉。スモークドベアー。ボアーミートといった風情だ。
「こんなに、たくさん」
「わしが、一人で、ひとりで食べるんじゃい」
笑う、二人。
料理長「良いお買い物を。さっそく調理しましょう!」
歌とおどり、楽しいゆうげは過ぎて行く。
冒険者は、しばしの憩いで、その疲れを癒す。




