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第二話 第二野球部

修正しました。


俺は田中先輩に既に大和第六高校では使われてない旧校舎の方に案内された。


なんでもココは新校舎建てられ事を機に破棄されたが全てを解体するにも金がかかりすぎる事もあっていざと言う時の為に残してる名目で解体は免れてるらしい、その旧校舎の裏側には以前野球部が使用していたグラウンドがあり、現在は学校の許可を貰って第二野球部のグラウンドとして使用してるとの事だ。


そこにはボロボロのユニフォームに身に纏って練習している15名の野球部員と、その部員達に指示して一人の女子マネージャがいた。


「皆さん集まって下さい」


田中先生の声に反応して練習を中断して田中先生の方に集まってきた。


「今日から新たに我が第二野球部の部員となる佐久間筑波君です」


「佐久間です。ポジションは捕手ですよろしくお願いします」


俺の紹介に周りがザワザワと騒ぎだした。


「佐久間ってあのシニアで関東No. 1捕手って言われた?」


「そんなエリートが何で第二野球部に?」


と、言われた。


まあ、俺は異世界で野球をやる暇もなかった事もあってこの世界に来てからは新たな生活に慣れようと頑張ってきたが、それ以上に勇者召喚される前以上に野球に没頭する様になった。


異世界での冒険者で得たカンストしたレベル100のステータス・武技・魔法・スキル殆ど損失したが、それでも一部は使用可能となり、ステータスの恩恵を受けれた事もあって小学・中学生の中では抜群の身体能力もあってリトル・シニアは好成績を収める事に成功した。


それもあって俺は関東No. 1捕手という野球を齧る人間にはそこそこ名を知られてる。


「早速ですが佐久間君。君の捕手としての実力を皆さんに見せてくれませんか」


「捕手の実力ですか?」


「簡単です。君と同様に一年生で才能に満ちた我が第二野球部のエースの球を受けて貰うだけですよ」


田中先生の言葉にまた部員達がザワザワと騒ぎ出した。


「か、監督いくら佐久間が関東No. 1捕手って言っても一年生ですよ。いきなり和田わだの球を受けるのはまずいですって」


「そうですよ」


「大丈夫ですよ佐久間君なら和田君のボールも問題なく捕れますよ」


「で、ですが」


と、戸惑いを隠せない第二野球部員達。


だけど、コレは異世界でも経験したが手っ取り早く仲間と認めて貰うには実力を示すの一番なのが一番なのが俺が経験した事だ。


いくら肩書き立派でも実際に実力を周りに示さないと認めてくれない。


田中先生は第二野球部の部員達に俺という存在を認めて貰う場を提供してくれたんだ。優しい顔をしながらも中身はかなり豪胆な先生だな。


まあ、それくらいの気概がないと正式な野球部があるのに入部テストに落ちた生徒や野球部を退部した

生徒を集めて第二野球部というもう一つの野球部を作ろうとは思わないよな。


(ここで答えないと男じゃないよな)


だから俺の答えは決まった。


「大丈夫です先輩。やらせて下さい」


「良い返事ですね佐久間君」


こうして俺は捕手用の用具を取り付け終えてグラウンドに向かう。


そこに身長は高校生とは思えない強面の顔つきに190cm以上はある巨漢に加えて細身な身体つきが多いこの時代の野球選手においてはかなりの筋肉質な選手だった。


これが第二野球部のエースの和田か。


見掛け倒しの選手じゃないこ肌で感じる事ができる。コイツはタダものじゃないな。


「それでは始めてください。和田君、手加減は無用ですからね」


「後悔してもしりませんよ……うりゃああ!!」


 

和田は呟いた後にワインドアップの体制から振りかぶって豪快なオーバースローで勢いよく和田はストレートを投げる。


そのストレートの速球は明らかに高校生が投げる様な速球じゃない。


下手したらプロでも一握りの速球だ。


ズドォォォオオン!!


それでも俺は異世界で生きた経験と長年捕手として鍛えた経験もあって俺は難なく捕球する事ができたが、捕球すると同時に凄まじい轟音がキャッチーミートに響いた。


(こ、コイツ本当に俺と同じ高校生が投げる球か?下手したら150……いや155は出てたんじゃないか?)


オマケに速いだけじゃなくてノビもあるから余計に球が速く見える為に、こんなプロでも滅多に出せる様なストレートなら並みの高校生捕手だと絶対に捕れないな。


それにしても不思議だな。こんな質が良くてプロでも滅多にいない速いストレートが投げられてるコイツが俺と同じ様に第二野球部に?コイツクラスの投手ならスポーツ推薦枠を貰ってもおかしくないよな。


「俺のストレートを捕りやがった」


「OK OK。ナイスボールだ」


そう言って球を返すが和田は驚いた様子だが、すぐに笑みを浮かべた。


「次は本気で投げるぜ。エリート様よ、うおおおりャああ!!」


ズドォォォオオン!!


更に速さが増したストレートだが、俺はなんなく捕球する。


しかし、更に速くなりやがったな。今のは160は出てたぞ。マジでこの世界のプロ野球選手だと現在、日本記録が確か千葉ガンマンズ(この世界の千○ロッ○)の伊咲選手の157キロだよな。


プロ野球というよりメジャーリーグでも通用するストレートだぞ。


「お前、マジですごい奴だな。俺の本気のストレートを捕れる奴がいるとは思わなかったぜ!」


本気のストレートを捕球した事が更に嬉しかったのか和田は笑みを浮かべて笑っていた。


「なあ和田。変化球は何があるんだ?」


「変化球、そんなものは俺にはねえ」


堂々と宣言する和田に俺は唖然とする。周りが苦笑いするところを見ると本当に変化球を投げれないらしい。


マジか……今どき変化球を覚えてない高校生投手なんて絶滅危惧種だぞ。


まあ、コイツのストレートはプロ以上だから高校レベルならストレートだけなら問題なく上位まで勝てるだろうな。


「ならコントロールはどうだ。これから俺が構えるコース通りに投げられるか?」


俺は笑みを浮かべながら呟いた。もし速いだけのノーコンならコイツの器は県予選レベルだが、インやアウト、上下に投げらるコントロールさえあればコイツの器はマジで全国……いや、プロクラスだ。


そんな俺の答えに和田も挑戦的な笑みを浮かべ……。


「当たり前よ。お前こそ俺のストレートを一球も捕り損なうんじゃねえぞ!」


そう宣言して俺と和田の戦いは始まった。


和田は俺が指定した左右に問題なく投げる事ができ、上下共に投げやがった。


(コイツは……本物だ!ズルしている俺なんかと違ってマジで本物の天才だ!)


俺は和田の才能に感動を覚えた。


俺が和田の豪速球を捕球出来るのは異世界で手に入れた冒険者で会得した武技・魔法・スキルによる恩恵によるものだ。


きっと異世界のギフトがなければ俺は和田の豪速球を捕ることは出来ないだろう。


それだけにコイツが一年生でここまでの豪速球を会得してるだけでなくコントロールも身につけてる事に俺は尊敬すらしている。


しばらく俺は和田のストレートを捕球し続けて一球もエラーする事なく捕り続け、和田もそんな俺が指定したコースには殆ど外れる事なくほぼ完璧な豪速球とコントロールを披露して周りは唖然としていた時であった。


「はい、和田君も佐久間君もおしまいですよ」


「ええ、まだ投げたりませんよ先生」


不満そうな表情をする和田。


「これから一緒に第二野球部で一緒に練習するんですからいくらでも本気の球を投げる機会はありますよ和田君」


「あ、それもそですね」


なはははと笑う和田に、コイツ強面の割に単純そうな奴だな。


まあ、和田の反応を見る限りは典型的なエースピッチャー気質の自分本位な面が強いが、そこまで悪い奴でもなさそうだからバッテリーを組むにしても問題はなさそうだ。



「どうですか、佐久間君の入部を認めてくれますか皆さん」


「認めるもなにも」


「和田のアホみたいに速い豪速球を捕球できるキャッチーを認めない訳にはいかんでしょう」


「そうですよ」


「俺達は野球部の連中みたいなマシーン軍団じゃないんですから」


周りの反応は悪くない様で俺の入部を認めて貰う様だ。


「なははは、これからよろしくね佐久間ちゃん!」


バシバシと俺の肩を叩くが、マジで冒険者のステータスを一部でも受け継いでなかったから身体が粉砕されそうな馬鹿力だな。


現在身長が175ある俺が和田のせいで小兵に見えるぜ。


「和田君も入部した事により明日から本格的に練習を始めます。僕達第二野球部の第一の目標は野球部に勝利して夏大会の参加権利を勝ち取る事です」


夏大会、参加権利を勝ち取る?


どういう事だ?


「実は僕が第二野球部の顧問に就任してから大和第六高校野球部と第二野球部には因縁がある戦いがあります。それは大和戦と呼ばれる夏の本戦出場権をかけた練習試合です」


マジで!?


「佐久間君には説明してないから分からないと思いますが、そもそも第に野球部を作ったのも僕がこの学校の野球部に所属していた事に始まります」


田中先生は語った。


なんでも現在の大和第六高校野球部は田中先生が現役時代から続く顧問であり、野球部顧問の石井監督は野球は一握りの天才がチームを引っ張って勝利を導くのではなく選手個人は何も疑問を抱かずに監督の指示通りにミスなく動いてこそ勝利する事が出来ると考えていた。


そのため野球選手の個性を大切にする田中先生とは考えが合わずに何度も考えを改めて欲しいと、一度失敗した選手にもチャンスを与えて欲しいとお願いしたが結局聞き入れてもらえなかった。


そして監督に逆らった駒はいらないと言わんばかりに田中先生は将来を有望された投手だったのに一度も試合に出してもらえずにベンチ入りも敵わないで三年間を終えてしまった。


そんな経験もあって田中先生は高校卒業後は最先端なトレーニング理論や監督経験を学ぶ為に野球の本番アメリアに留学して卒業後に日本に帰国後に社会人のコーチを数年して大和第六高校の教員として就職し、野球部の入部テストを失格され、監督に意を唱えて野球部を追い出された生徒達を集めたのが第二野球部の始まりと教えてくれた。


「何より僕は石井監督個人の恨みだけではありません。それ以上に現在の日本スポーツに対する改革を込めて野球部に勝利したいのです。今の日本スポーツは多少は改善されましたが、それでも昭和時代同様に無知な指導者による無茶苦茶な練習や間違った知識で才能ある若者が潰れていく光景を私は若い時に何度も見てきまし、現在でも多く見かけます」


90年代に入って田中先生が説明した通りに多少はマシになると言っていたが、それでもスポーツ医学を無視した無茶苦茶な練習内容を課すのは野球に限らず運動部全般この時代の日本ではよくある事だ。


俺がこの並行世界の日本でリトリ・シニアで野球をしていた時も「水を飲むな!」「休憩するなら!」「血反吐が吐くまで走れ!」「兎跳びじゃあ!」と、気狂いの様な練習を課すコーチが多かったからな。


流石に80年代ならまだしも、90年代に入って少しはスポーツ医学の理念が入ってきたこともあって疑問に思う親も増えてきたこともあって昭和体質全開で改善しようとしない野球チームで練習をさせられないと父さんと母さんはすぐにチームを辞めさせて、スポーツ医学に理解があるチームに移籍させてくれた。



「だから未来ある若者達をこれ以上壊さない為にも昭和の象徴である野球部に勝利してください」


そう言って田中先生は頭を下げた。


ここまで言われて期待に応えない訳にはいかないよな。


「監督のいう通りだ。俺達が勝利して機械人形に成り下がった野球部に一矢報いてやろうぜお前ら!!」


『おおおおお!!』


第二野球部部員達は賛同する様にデカい声を上げた。


よーしやってやるか!

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