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第十六話 西東京都大会準決勝2


大和第六高校対江戸梅高校との試合は四回まで両軍無得点で投手戦で試合が進んだ。


MAX152キロの速球とキレのある変化球を武器にこの時点で10奪三振・無死球・無安打・無得点という記録は本職が捕手とは思えない程に活躍している大和第六高校の俺に、アンダースロー独特の軌道と多彩な変化球を武器にバッターに的を絞らせないで翻弄するピッチングで5奪三振・被安打3・四球1と塁には出すが何とか無得点に抑えてる江戸梅高校エースの前田。


一打席目は俺もアンダースロー独特な軌道に驚き打ち損じてしまいライトフライに終わった。


だがら俺は前田のアンダースローの軌道を目に焼き付ける様に研究して、前田の軌道と変化球のキレや変化量やクセを見抜く為に観察した。


「五番ピッチャー、佐久間君」


アナンウスが流れて二打席目に立つ俺。相変わらず凄まじい程の嫉妬心を剥き出しにした視線で俺を睨む前田。


そんな嫉妬心を剥き出しに形相しても俺は怖くないけどな。


あっちの世界ではお前の形相や殺気なんて可愛いと思えるほどに死神の鎌を首に突きつけられると錯覚するほどに凄まじい殺気を何度も突きつけられた俺からすれば可愛い子犬が威嚇してる様にした映らない。


「ボール」


外角の良い球。だけど僅かに外れてる為にボールだ。


さて次は内角にカーブを投げる。アンダースロー独特の下から浮き上がりまた下がるという独特なカーブはオーバースローやスリークォーターと違って球速は出ないが軌道が独特だからオーバースローやスリークォーターから投げる球を見慣れてると戸惑うバッターは多い。


カキィィイン!!


最初は戸惑ったけど前田のアンダースローは一打席目とベンチから観察してようやく慣れたからもう戸惑う事はない。


真芯に確実に当てた前田の球はバックスクリーンに直撃してホームランにしたよ。


いくら木製よりミートポイントが広くホームランが出しやすい金属バットといっても弾丸ライナーでホームランという野球漫画のスラッガーの様な離れ業を見た観客達は大盛り上がりで俺は観客にアピールする様に右腕をあげてガッツポーズしながらダイヤモンドをゆっくりと走りホームベースを踏んだ。


前田が更に凄まじい形相で俺を睨んでいたが俺は無視してベンチに戻ってホームランを打った事で熱烈な歓迎を受けた。


その後は俺にバックスクリーンに弾丸ライナーのホームランを打たれた事で前田は精彩をかいて四球やデットボールを出して追加点を大和第六高校に献上してしまい、江戸梅高校はいったん前田を落ち着かせる為に外野守備につかせたがその後は俺には劣るが大和第六高校は今大会No.1の得点を出してるチームで基本は俺を筆頭に一番から四番もホームランを狙えるバッター達で下位打線もバントは滅多にやらないで強真してバットを振ってくる為にツーベースやホームランにするバッターなため上位打線に負けないバッター達だ。


そんな重量打線では並の高校生投手では相手にならない為に江戸梅高校の二番手三番手投手をノックアウトしてエースが戻る頃には逆転できないくらいに点差は広がった。


点差も広がり俺は六回が終了した時点で外野守備に周り投手をサイドスローを武器とする二年生の佐々木先輩に交代した。


佐々木先輩は何とか逆転しようと追いかける江戸梅高校の打者相手に二点ほど失点してしまったが大崩れする事はなかった為にリリーフの役目をキチンと全うした。


こうして大和第六高校は9ー2で勝利して大和第六高校は久しぶりに西東京都大会決勝戦に出場する事になった。


前田は俺に対して「俺の栄光をよくも!」と、訳がわからないことを言われて逆に江戸梅高校の選手達に「すまない」と謝らた。


試合終了後に記者達から取材されて決勝戦に対する意気込みを含めた質問をされて監督が対応しているが今日は俺個人にも取材を受ける事になった。


スポーツ新聞でアマチュア野球は基本的に選手個人に取材するのは期待の新人や圧倒的な活躍をした選手を除いて稀で基本的に監督が取材に応じる事が多いが、大和第六高校は和田と俺が一年生の段階で150以上の速球を投げるうえに試合でも活躍してるからスポーツ記者達からすれば話題性が高い一年生という事もあって俺と和田を中心に取材をよく受ける。


「次の質問ですが大和第六高校は坊主の選手が少ないですね」


「ええ監督の方針で野球の邪魔にならない範囲なら髪型に指定はされてませんよ」


俺は内心またかよと心の中で呟く。


高校球児は髪型は坊主というのが当たり前という認識が強い為に俺がまだ2020年代の生まれ故郷の地球にいた時でさえ高校球児=坊主頭というのが世間一般の認識だ。


髪型を自由にできない、坊主を強調される、昔ながらの根性練習という認識が強い為に少子化問題もあるが、他にも娯楽や他のスポーツの認知度が高まった事もあって年々野球人口が減少していた。


そんな状況に危機感を覚えて俺が以前いた地球では強豪校でも髪型は野球の邪魔にならない範囲なら髪型は自由にしていいという校則に変わった学校も多くなり、甲子園出場校では昔なら坊主ほぼ100%だったのが三割は非坊主だった割合に増えた。


実際に坊主頭じゃない事もあって高校球児なのにオシャレだと認識されて準々決勝まで勝ち進んだ頃にはスポーツ新聞・週刊誌だけでなく一般新聞にも注目されて『新時代・爽やか高校球児』と称されて女性人気は高まり、同世代の野球ファンからも肯定的に捉えられていた。


「ですが高校野球は坊主頭が伝統であると批判する方もいますがその様な意見はどう思いますか?」


「何とも思いません。高校球児だから絶対に坊主にしろと言われても困ります。高校野球は絶対に坊主にしなければいけないとルールブックにも書いていませんから強制的に坊主にしろと言われても従う義理は自分達にはありません」


俺の意見に若い記者は良いネタが書けそうだと笑顔で「ありがとうございます」と答えたが年配のベテラン記者は俺の言った事が面白くない様であった為に顔を顰めた表情をしながらメモをする。


俺は使い勝手は悪いがいざとい時に役にたつD級スキル『思考解析』を発動した。『思考解析』は発動すれば断片的だけど対象設定した相手の考えを知る事が出来るスキルだ。しかし使用した後は24時間のインターバルが必要な為に滅多に使えないし異世界では『思考解析』対策の装備は普及してる事もあってあまり使えないスキルだが、この世界なら対策装備もない為に俺は年配記者の思考を解析する事が簡単に出来た。


(生意気な小僧め。高校野球の伝統をなんだと思ってるんだ!!)


あらら、かなりご立腹な様子だ。まあ、この反応は仕方ない部分もある。


高校球児のヘアスタイルは坊主頭は絶対という層は一定数いる為に俺達の様に髪型を自由にしてプレイしている高校球児は保守派なスポーツキャスターや高校野球ファンからは伝統を蔑ろにしてると判断されて面白くないよな。


その後も簡単な質問をされて俺は無難に答えて取材は終了した。


次の日。どうやら年配の記者は大手新聞の読○新聞の記者だった様で俺の発言をかなり誇張して新聞に乗せやがった。


『伝統を蔑ろにする大和第六高校野球部。一年生佐久間「坊主にする義理はない」と発言』


『「高校野球を普通のスポーツと一緒の枠組みにしてもらっては困る」とAL学園監督A氏、佐久間選手を批判』


『「百年近い日本野球の伝統を壊すな。学生の分際で少しは分をわきまえろ」と、東京ラビッツオーナーW氏が苦言』


と、こんな感じで俺達を伝統を破壊する悪者の様に書かれていた。


こんな記事を書かれたせいもあって俺は理事長から発言に気をつけろと言われて注意を受けたが田中監督や他の部員達からは「気にするな」と慰めてくれたしクラスメイトからも逆に「よく言った」「佐久間君カッコいい」と言われて褒められた。


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