表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/23

プロローグ・無事に地球に帰還……できなかった!


俺は佐久間筑波さくまつくば


平成・令和にかけてメジャーなジャンルになりつつあった異世界転移、または転生に巻き込まれた野球好きな日本の高校生だ。


俺の異世界転移は単体ではなく、1クラス30人の転移だったから最初は俺を含めて異世界転移に巻き込まれたから皆んなそれは大パニックよ。


まさかこんなネット小説やラノベの様な展開に巻き込まれるなんて誰も思いもしなかったからだ。そんなパニック状態の俺達は異世界召喚したギカン帝国から説明を受けて、魔王との戦争に劣勢であるため異世界から勇者を召喚するために国家予算の半分を使って勇者召喚をした。


そんな明らかに胡散臭い話を聞いて俺を含めた大半のクラスメートは信じなかったが(中には異世界チート、ハーレム、無双と、馬鹿な事を言っていた奴も少数はいたけど)勇者召喚に選ばれた人間はピンからキリまで様々だが、特殊能力が与えられる為に異世界転移に選ばれた人間はとにかく現地人に比べて強力な事には変わりないらしい。


そんな中で色々な能力を与えられて、いちばんの大当たりは職業は勇者であり、勇者はあらゆる能力が桁外れの反則級の能力を保有している。


この世界はRPGの世界の様にレベル制であり、わかりやすくステータスに表すなら


職業 兵士 


レベル 20


体力 100

筋力 100

防御 100

技量 60

敏捷 60

魔力 40

魔防 40

 

スキル なし


こういった具合である。


レベルは100が到達点らしいが、レベル100までカンストした人間を含めたエルフ・ドワーフ・獣人・魔族を含めて全ての種族でも数人しかいないらしく、過去にギカン帝国が行った勇者召喚に選ばれた人間でも現地人よりレベル上昇といった恩恵があるにも関わらず最高到達点はレベル70が限度であった。


実際に異世界では凡人の限界到達点がレベル20で、レベル20から30まで到達すれば英雄と呼ばれる様になり、レベル40以上となれば超越者となり、剣士・魔法使いを筆頭に職業問わずに歴史に名を残す英雄として語り継がれるとの事だ。


レベルと同時に選んだ職業よってステータスの伸び代は決まり、例えば剣士や兵士を筆頭とした前衛職業なら体力・筋力・防御に偏り、魔法使い・僧侶・弓使いといった後衛職は技量・魔力・魔防といった様に凝ったりとするが、職業にも人によって相性があるため同じ剣士を選んでも人によっては伸び代に差が生まれ、更に会得してるスキルによってはその差は更に生まれてしまう。


しかし、勇者召喚に選ばれた人間にその様な事はなく、スキルの差はあるが職業による極端な相性というものはなく、勇者召喚に選ばれた人間はどの職業にも高い適性が存在する。


これがギカン帝国が勇者召喚を行った主だった理由だ。


その中で勇者召喚でしか得られない職業である勇者はまさに最強であり、この職業・勇者は勇者召喚に選ばれた人間でも獲得するのが難しく、それが三人も現れたのだからギカン帝国の王族・貴族達は大変喜んでいる。


勇者は前衛・後衛職業の様にステータスが凝る様な事はなく、更に剣士の様に武技を習得したり魔法使い・僧侶・賢者の様に魔法を習得できるうえにステータスも凝る事なく全てが高水準に上昇するという反則級の職業なのだ。


そんな中でクラスのみんなが自分に合った職業を選んでいくなかでクラスで俺は冒険者という職業が最も高い職業であった為にギカン帝国の連中から微妙な表情、もとい落胆された。


理由は冒険者という職業は他の戦闘職と比べて強くもなければ弱くもない、所謂器用貧乏な職業だからだ。


俺達が召喚された世界は剣士・槍使い・弓使いを筆頭とした武技、魔法使い・僧侶・賢者を筆頭とした魔法があり、武技と魔法にはランクがあり、上記の職業の中で更に適正があり、レベルが向上すれば上級職にランクアップでき、強力な武技、魔法、スキルを習得する事が出来る。


武技・魔法のランクはF・E・D・C・B・A・Sがあり、更に勇者はこのランクより更に上のオーバーSランクであるS SやSSSといった武技や魔法を習得出来る可能性がある。


しかし冒険者はどんなに頑張っても武技や魔法はCランクが限度であり、一握りだがBランクまで上げる事は可能らしいが専門職には劣る事が殆どであった。


わかりやすくランク説明すると……。


・Fランク 誰もが使える武技・魔法の為に少し生活に便利程度。武技・魔法の基礎を学ぶランク


・Eランク ここに来て実戦に向く武技・魔法ランク。しかし、下級モンスターにしか通用しない。


・Dランク 下級ランク最大の武技・魔法のランク。この段階の武技・魔法を使用出来るかが、一人前の証となる。


・Cランク 凡人の頂点と言われ、この段階の武技・魔法を習得した者はベテラン・実力者として認めら、種族問わずにこのCランクの武技・魔法を獲得する事が生涯をかけて習得を目指すランクとされている。


・Bランク 英雄の証と呼ばれるランク。英雄と呼ばれる剣士や魔法使い達は、主にこのランクの武技や魔法を使用する事が目安とされている。


・Aランク 英雄級から更に超越した実力者が使用する武技・魔法のランク。このランクを使用出来るのは国一つに対して数十人しか存在しない。


しかし、勇者となれば最初からAランク武技・魔法を使用可能。


・Sランク 勇者、または歴史に名を残す程の偉業を成した人物が使用するランク。Sランクの武技・魔法を使用が確認された場合は他国に流れない様に各国共に囲い込む様にするランク。


Sランククラスの武技・魔法を使用すれば上級モンスターを簡単に殲滅でき、軍隊の一個師団すら滅ぼしかねないからだ。


・オーバーSランク 勇者の中でも一握りの勇者しか使用が確認できない伝説級の武技・魔法のランク。歴代の勇者の中で最後に確認されたのは五百年前とされている。文献では大陸一つを消し去る程の武技・魔法とされている。


とまあこんな感じ。


そんな訳で俺が冒険者という職業しか選択出来ない事もあってギカン帝国連中は落胆してたわけ。


職業冒険者は上級職にランクアップする可能性は低いし基本的にDランクの習得で止まってしまう事が殆どであるため上記の器用貧乏という評価も間違いではない。


そのため他のクラスや先生達がギカン帝国の対魔王、もとい国家の切り札的な戦力という事もあって超VIP待遇が約束されたが俺だけは冒険者という事もあって城を追い出された。


「無能な冒険者はいらん」


「貴重な国家予算を無駄にしおって」


「この場で殺されないだけありがたいと思え」


というありがたい言葉をいただいたよ(涙)


あの時はマジで俺は泣きそうになりましよ。


だっていきなり知らない世界に飛ばされて、挙げ句の果てに最低限の武器と金を渡されて追い出されたんだから、マジでギカン帝国に対する復讐心が芽生えたよ。


まあ、そんなこんな色々あって嫌な思いもあったけど異世界では良い出会いもあった。細かい事は省くけど俺はギカン帝国の勇者召喚に巻き込まれて十年という歳月が経った現在……。



「き、貴様……よくも余を……余の夢を……」


「へ、へへ……散々俺たちを……良い様に利用した罰が降ったな王様」


無数の死体に、今にもあちこちに身体中から穴が開いて血が吹き出して倒れそうになってる俺と、心臓にオリハルコンのナイフが刺さってるギカン帝国の王。


「余の奴隷でしかない……異世界人……の分際で、世界の皇帝である余を……」


「何が世界の皇帝だ……ガハ……テメーの下らない野望に俺達を巻き込み……ガ……やがって」


そう、ギカン帝国が勇者召喚を行ったのは魔王による世界征服によって勇者に助けを求めた訳ではない。


ギカン帝国が世界最強の国家となる為に、本来なら禁止されていた勇者召喚に手を出したのだ。


クラスの連中はそれを知らずにギカン帝国の尖兵として戦い多くの国家を壊滅させ、そしてギカン帝国に良い様に扱われていた事に気がついた時にはクラスメートも先生達も操りに人形に変えらていた。


俺は職業が冒険者しか選ぶ事しか出来なかった為にギカン帝国の尖兵になる事を免れた。


しかし、だからといって当時の俺は何も出来なかった。勇者召喚の恩恵であるレベル促進というスキルが与えられたが、それでも冒険者でしかない俺はクラスメイトや先生達を助けるなんて事は出来なかった。


そして何より世界を統一したギカン帝国の次の目的は異世界による征服も計画しており、勇者召喚の技術を応用して俺達の故郷である地球すらも征服する事も考えていた。


その野望を知った俺はクラスメイトや先生達を操り人形から解放する為に、何より地球に帰る為にも俺はギカン帝国の皇帝を倒すしかないと考えた。幸いに勇者召喚の様に俺達の様な人間を再度呼ぶ事も、進攻する事はあと10年は不可能である事がわかった。


そして俺は冒険者というハンデを抱えながらもギカン帝国の世界統一でギカン帝国の人間至上主義にゃり差別の対象となったエルフ、獣人、ドワーフ、魔族に加えてギカン帝国によって滅ぼされた人間国家も国家再興を目指し、ギカン帝国の支配に打ち勝つため、自由を求めて立ち上げたレジスタンスに身を寄せた俺は地道にレベルを上げてた。


何度も心が折れそうにもなったが20代後半になってすっかり大人になった為に甲子園に出場する事は叶わなくなったが、それでも草野球にしろ、野球に関わる事はまだ出来る。


何より親や地球にいる友人達の顔を思い出しながらも俺は強くなる為に必死に努力した。


その努力を今日、報われる時がきたのだ……。


「ま、まさか……勇者でもない……ゴミ屑の冒険者に……余が……余が!」


「地獄の閻魔が待ってるぜ……へへ……地獄に落ちな……」


「この世界だけでなく……全ての世界を征服する余の野望が……野望が!!」


まだ死にたくないと絶望しながらギカン帝国の皇帝は死亡した。


自分が死んだ後に蘇る様な魔法やスキルも獲得した様だが、それを使わせない為に俺は妨害した。


(冒険者は勇者の下位互換でしかないのは事実だ。でも他人任せで自分を磨こうとしなかったテメーの魔法やスキルを無効化する事は俺にも出来るんだよ)


いくら強力な武技や魔法ま使い手がヘボなら宝の持ち腐れだ。


それは武器がよくても使い手が素人なら性能が発揮できない様にな。


(やべ、こっちも意識が……なくなる)


回復魔法も効かないくらいに血を流しすぎた様だ。


俺は後、もう少しで死ぬ。


クラスメイトや先生達を操り人形にしていた張本人は既に死亡している、時期に自我が戻るだろう。


勇者召喚の技術やノウハウはギカン帝国が保有しているし、研究者に関してはレジスタンスの連中にはギカン帝国皇帝の討伐を条件にクラスメイトや先生達を確実に地球に返す為に活かして捕える様に約束させてる。


義理堅いアイツらなら大丈夫だろう。



死ぬ事に後悔はない……特に親しい連中ではなかったがクラスメイトや先生達を助ける事は出来たし、この世界で仲良くする事が出来た友人達の手助けをする事が出来たから後悔はない。


でめ、強いていうなら……。


(また、野球をやりたかったな……)


プロを本気で目指していたわけではなかった。


でも、最後の思い出に高校野球を全力でやろうとしたけどもう叶わない。


走馬灯の様にこれまでの思い出が蘇る様に俺はそこで意識を手放した。


ーーーー。


「う、アレ……俺は」


「あ、ようやく目を覚しましたね」


俺は目を覚ますとそこに長髪の黒髪で和服メイド服が似合う美人の女性がいた。


周りを見渡すと豪華な貴族の屋敷の部屋みたいだ。


「俺はいったい……?」


「驚きましたよ……突然空から現れて屋敷に落ちて三日間も目も覚さないですから」


どうやら俺は死ぬ直前にまた転移に巻き込まれた様だ。


でも絶対に上級の回復魔法も間に合わないくらいに血を流した俺がどうやって助かったんだ?


「でも、貴方の様な『子供』がどうして?」


「子供?おいおい冗談は……」


そう呟こうとした時に、俺は屋敷の部屋にある鏡を見て唖然とした。


(おい、嘘だろ……)


それは異世界で二十後半のオッサンの姿ではない、異世界転移する前の地球で高校になる前の小学校高学年くらいの幼い顔つきと、身長が140センチくらいまで下がった昔の俺が写っていた。


(ははは……マジか)


またもや異世界転移したと思ったら今度は小学生に退行してるとは思わず、俺は何年かぶりに現実逃避をしたくなったよ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ