第84話 変わる世界と新たな方針
「やはり被害は免れませんでしたか」
「いいや、トオル君が気にする必要は無い。これでも十全レベルに被害が少なかった方だよ」
数日の休息を経て、改めて今回の事を纏める為にいつもの帝国ホテルの部屋で報告会をしている。スカアハさんについてはもうどうにでもなーれ事案ではあるが、それよりも各国の被害状況の事が問題となった。その大きな所がまず・・・
「韓国と北朝鮮2国は完全に国としては停止状態ですか・・・」
自分が天を仰ぐと佐々木さんも天を仰ぐ。しかも、お互いに盛大な溜息を突くコンボ付きであるのが気になったのか、アキラ達も報告書を覗いてきて、うわぁ・・・という顔をする。
「ケースTがデマで、モンスターが溢れるなら資源が沢山取れるに違いないと我先と軍隊は勿論、様々な探索者が突撃。いや、探索者どころか素人達まで火事場泥棒しようとして侵入で、溢れ出るモンスター達から逃げようにも入り口大混雑で大惨事・・・」
「その上、ケースが起きた場合は数値が最も高い所に高ランク探索者を派遣して時間稼ぎ推奨とマニュアル送ったのに無視。けれど皮肉にもその数値が最も高いのが大惨事地点で犠牲者多数ではあるがある程度足止めとして成立していたから、勘が良い政治家に探索者と避難民は国境まで逃げる事が出来た・・・と」
「国の中枢は軍隊で防御包囲してたけど、最精鋭がほぼ全部ダンジョンに向かっちゃって、それほどダンジョン経験がない部隊だけだったから溢れたモンスターに殲滅。お偉いさんは逃げ場がなくなったり、お互い邪魔で銃を向けたりでほぼ全滅。ホント何やってるんですかね?」
「不幸中の幸いは国境の探索者が上手く立ち回ってくれたお陰で国が傾くような全滅状態ではなかったという点でしょうか?」
順にアキラ、委員長、楓、三優ちゃんである。いや、ホント何してんの?になるが、これはもう国際問題なので佐々木さんに丸投げするしかない。で、次のこちらは朗報である。
「インドの方で祭具に対する褒美があった・・・か。よしっ!」
なんでも、祭具を配置した位置に祭具が消えた代わりに伝承の武器等が置いてあり、更に配置したダンジョンのモンスター達は得体のしれない何かに討伐されていたらしい。まあ、多分、降臨した神様辺りに討伐されたと思われる。
「うわぁ・・・」
またも別の意味で天を仰ぎたくなる。いや、まあ、そうなるように依頼はしたけど、大成功どころか超成功である。何がって?
「ヴィジャヤ、別名で勝利の神弓クラスの武器があって、インドは別の意味で大混乱かあ・・・」
手で持つのは恐れ多いと言う事で、急遽簡易的な儀式を行って聖別された布を用意し、包んだ上で博物館にある金庫の中で厳重保管される事になったようだ。勿論だが、いざと言うときは取り出す事になるらしい。
「まあ、こちらについては後はインドと言う国家に丸投げで良いと思うよ。神からの恩寵を無碍にしたらどうなるかなんて分かってるし、分からないならそれまでだしね」
あぁ、確かに佐々木さんの言う通りだ。一般人によるダンジョン探索が世界に広まって2年以上。流石に神々レベルの武器に恐れが無い奴は居ないだろう。そのお馬鹿になりそうな奴が多い国は今は機能不全中だから大丈夫だと思うので、話を進める。
「ま、何はともあれ、計画通り進めれそうなのは幸いだよ」
「だね」
「へ?お兄ちゃん、計画って?」
「ああ、今日の報告次第でお蔵入りする可能性高かったんで話さなかったんだけどね」
コホンとひとつ咳ばらいをしてから、佐々木さんと頷き合い言葉を紡ぐ。
「ここから数年かけて、日本は日本の独力で八岐大蛇を討伐する」
『ファッ?!』
あ、やっぱ驚かれるよね。でもまあ、勘だけど、アレ倒さないとまずい気がするんだよねえ・・・
変わっていく世界とトオル君の新たな目標と言うお話




