第82話 目標第1段階と試練
「着いた!皆さん!」
「魔法部隊、準備しろ!」
辿り着いた最初の目的の場所は10階。ここまで言えば分かるかな?そう、ボス部屋と言う一方通行の道であり、部屋である。扉は開きっぱなしで向こうに階段が見える。そして何より・・・
「ここが我々の最前線基地とする!今より5分後、トオル君を送り出したら、ストーンウォールで11階への扉を完全閉鎖する!5分の間、迎撃も忘れるな!良いな!」
『イエスサー!』
「ボスはやはり居ないか」
「主様、ヒーラーの方を連れてまいりました、治療を」
「え?」
この時気づいたんだよね、血だらけの唇に。んで、治してもらいながら部屋を改めて見回す。特に地面。雑多な足跡があるが、本来ここのボスであるキング系の足跡は無い。とりあえずは一安心だ。
「ダンジョンボスはアレを求めてはいない。だから通してるって事か」
「より正確に言えば関係ない・・・ですね。おそらくアレの恩恵を最も受けないのはダンジョンのボス達とも言えますから」
なるほど。となれば後は事態の解決のみに注力すればいいか。よし、マッサージもしたし、靴を履いてと・・・
「では、お願いします」
「はい、任されました」
再び、巴さんにおんぶされるのだった。ちゃうねん・・・・・・
「ストップです。どうやら、ここのようです」
現在階層19階。地図によると先が大広間のような場所であるそこで巴さんは物陰でゆっくりと自分を下ろす。
「ああ、居ますね。アレが試練と言う形と?」
「おそらくは」
そっと物陰から覗くと見えるのは木の枝が巻かれたように集まった大きさはメートルどころではない巨人。これだけ聞くと炎の魔法が効きそうではあるが・・・
「なんか、炎が効かなさそうなんだよね。よく見えないけど文字みたいなん見えるし」
「正解です、主様。ルーン文字と呼ばれるものです。あの巨体ですから様々な耐性文字が書かれているようですね」
ルーン文字って事はケルト神話とかその辺の関係かね?となると、魔法はほぼ封じられたも同然だから巴さんを前衛に少しづつ削っていくか、あるいは・・・
「多分、アレはゴーレムと同じだろうから起動あるいは制御のルーン文字消せば崩れると思うんですけど・・・」
「問題は私も主様もルーン文字の解読が難しいと言う事ですね」
時間かかりそうだな、世界各地の事もあるから早いとこ倒さないといかんのに・・・ん?待てよ?
「巴さん、ちょっと確認いい?あいつは植物である木の巨人で推定ほとんどの魔法や状態【異常】は効かないで間違いない?」
「ですね」
よし、これならいけると巴さんに策を話していく。ここで手間取ったりケチってる場合ではないのでね。
「なるほど。では、私が囮でこちらもお預けします」
巴さんも装備していたマジックバッグを受け取り、策の為の準備をする。と言ってもある物を移し替えるだけなんだけどね。
「では、行きます!」
『ゴッ?!』
ヒュンと巨人の前を巴さんが走り抜けていく。反応した巨人のパンチが迫るが簡単に回避する。いや、見てて結構ハラハラするがね。さて、万が一のこともあって佐々木さんから持たされたこいつの出番だ。上手く行ってくれよ・・・
「巴さん、お願いします!」
「御意!」
その言葉と共に自分も駆け出す。集中を維持してゴーレムと巴さんの動きを見ながら危険域を回避しつつ、バッグからポーションを取り出し・・・自分や巴さんではなくゴーレムに投げつける!
『ゴ?』
ゴーレムも攻撃の為と警戒してた何かが何故か回復、自分を強くしている事に困惑している。良く見ると腕や足がバンプアップされてる。よし、上手く行きそうだ!
「巴さん!」
「はいっ!」
しばしやっていくと目に見えて巨人は強くなっているがその巨体故に攻撃方法が限られるので、自分も巴さんも余裕を持って避けていける。そして、ポーションが尽きた頃には、巨人は見苦しい程にまで肥大化していた。その身体ではもうこの狭いダンジョンでは素早い動きは出来ないだろう。そしてぇ!
「これでトドメだ!」
佐々木さんが万が一の為にアメリカと話を付けて渡してくれたコレ。エリクサーをぶん投げる。ちょっと勿体ないと思ったのは秘密さね。
『ゴッゴッゴゴゴゴゴゴゴ?!』
そう、魔法は効かない。しかし、回復魔法は効く。状態異常は効かない。状態異常で無い過剰回復は効く。そして、本体は植物である。栄養過剰摂取攻撃ってとこかな。粒子になっていく巨人を見つつ、ドロップは適当に拾い上げて、階段を下りる。さあ、目的地だ。
騒動を収める為の試練のクリアと言うお話。回復やバフも時には毒になり得ますよね




