第81話 焦燥、されど前進
『ゴォァアアアア!』
「斉射!高ランクの方々は下がって!」
「よし、怪我人を各自手分けて確保しつつ下がるぞ!後はお任せします!」
うわあ、マジかと今なっている。あれから一気に潜って今居るのは5階層。未成年でもギリギリは入れる階層だ。そこが高ランクの皆様が止めていた防波堤になっていたと言えば分かるだろうか?下層のモンスターはまだ見ないが、そう浅い階層ではないだろう。まさに活性、いや、大活性と言うべきか。けれど、同時に気になる点がある。それも確認しておきたい。
「隊長さん!あのですね・・・」
「なるほど、あり得ますな。先行部隊に通達、確認事項を確認して下がれと!確認するべき事項は・・・」
「了解!斥候部隊に先行させます!」
気のせいであってくれればいいけど、予想通りなら・・・多分、この大活性化の中でも簡単に通過する事が出来るはずだ。当たってくれよ・・・
「確認しました!報告します!」
あれから数分で兵士さんが戻ってきた。それはつまり確認事項が手っ取り早く出来たと言う事。当たりかな?
「魔法の使用見られず!ひたすらに突貫してくるようです!魔法使い系統も杖などで攻撃してくる有様であります!」
ッシャア!もう連続だけど賭けに勝った!つまり平時は厄介な魔法はこの活性化が収まらない限りは絶対的に無い。そして、罠らしい罠は全て踏まれているのも確認されたらしい。つまりは足跡と言うかモンスター達を辿れば罠は無いと言う事だ。ならば・・・
「相談通りに一気に行きます、巴御前!」
「はい!」
「20階層まで行ければいいんだね?」
「ですね。そこに今回の一件を収める存在が待っているはずです」
事前聞いてはいるけど、本当に居ないと困るからね。時間も無限ではない。各国がダンジョンを抑えてくれている間に事を収めなければいけない。もし、道中のモンスターの大群が魔法使う理性があったら詰んでたまである。
「隊長さん、自分は巴御前と一気に行くので精鋭が後方から援護射撃して貰えますか?」
「了解です。まずは前面を斉射するのでそれからで」
「お願いします」
とりあえず、巴御前におんぶされるという大変情けない形だが、コレが一番早い。念の為重い槍や防具はマジックバッグに収納する。ええい!周りの視線はどうってことないぞ!
「カウントダウン開始、10秒後、前面斉射!精鋭は後を追って、残りはここの戦線を維持!良いな!高ランクも休息を終えた者を回してもらえ、伝令班、行け!」
『GO!』
「巴さん、よろしく!」
「御意!」
巴さんはとにかく前の敵を蹴散らす。モンスター達はそれでも前進してくる。ただし・・・
「やはりか・・・」
「ですね。このままいきましょう、どこかで途切れるはずです」
モンスター達はこちらを無視してきたのである。巨大な戦力である巴さんを。つまり、奴等が求める物は地上にある、いや、地上に現れると言う事だ。今でこそ、自分が来るより前にモンスターを止める前線だった5階層で留めているが、時間がかかるほど戦線が下がる可能性もある。急がないといけない。勿論、この時の為の対策はあるが、もう少し下に行かねばそれは効果を成さない。今は戦っている皆を信じて進んでいくしかない・・・・・・後に巴さんに聞いたが、自分は血が出る程唇を嚙んでいたらしい。
異変の中のトオル君自身の焦りと言うお話




