第80話 そして時間は現在に至る
そして、時間は今に巻き戻る。普段の新宿ダンジョン1階層は盛況、ワイワイと騒がしいのに今はシンと静まり返る・・・いや、悲壮感漂うダンジョンとなっている。怪我人が運ばれ、トリアージで比較的怪我が軽い者もトラウマを負ったのか体を震わせている。救急隊員の出入りもひっきりなしだ。その為、あまり自分は注目されていない。
「さて、佐々木さんとうちの師匠チームは・・・あ、居た居た」
どうやら、先に来ていた委員長と妹チームに悪い虫が付かないようについていてくれたらしい。向こうが手を振ってきたので合流する。
「どうも」
「やあ、お疲れ。すまないね。急で」
「いえ、アキラと一緒にゲーセンに行ってたので割と近場でしたし、表で自衛隊員さんがタクシー代立て替えてくれて助かりました」
実際、この事態に備えてアラートを出す事をお願いしていたのが功を奏した上に以前のダンジョン変動の事や探索者の学校が出来たのが幸いしたらしく、下層の高ランク探索者が即座に中層を経由して要救助者を救助、上層でなだれ込むモンスターを迎撃した為か、怪我人こそ多いものの大きな被害、すなわち死亡は出ていないらしい。
「しかし、収まらないとどうにもならない。そこはどうかね?」
「そこは確認取れてます。20階層、そこまで行ければと・・・」
「前と同じ、いや・・・」
「狂暴化がある分、今回の方が危険度マシマシですね」
佐々木さんが気を利かせて、自宅に使いを出して持ってきてくれたいつもの防具装備を付けていく。中身は佐々木さんに揃えて貰ったマジックバッグを改造した肩掛けポシェットも装備する。そして、武器は・・・
「お預かりします」
「うむ」
猛翁から以前見せて貰ったモンスター素材を使った槍を装備する。更に今回は後で無茶苦茶お腹が減るが例の消化薬を飲む。今回ばかりはおむつじゃない方が動けるからね。後が怖いけど。
「んじゃ、アキラと委員長、妹チームはこの階段下で待機」
「了解」
「まあ、仕方ないわね」
「だね。流石に人の波には勝てないよ」
「気を付けてくださいね、トオルさん」
誤解ないように言っておくとアキラ達も探索者学園への映像提供を条件に20階層でジョブを得てはいる。だが、学生であり未成年である以上は現状大混乱のこの場の対応までは出来ないだろう。なので武器はモンスター素材のではなくいつもの武器で1階層階段付近を守ってもらう。そうなると自分とパーティと言うか集団を組めるのは・・・
「自衛隊の精鋭部隊で一気に攻略を開始する。罠などが再配置されてるかもだからトオル君は目的の階層まで何があっても中団を維持してくれ」
「了解です。いざというときは奥の手も使うので一気に行ってもらっていいと伝言をお願いします」
「分かった。では、全員の幸運を祈る」
『はい!』
こうして、高校生活最後のクリスマス・イヴの長い1日が始まったのだった。よく考えると、昔で言う所の灰色の青春だったのでは、これ???ま、いいか。
高校生活最後の大イベントの始まりというお話。まだ、もうちょっとだけ続くんじゃ(龍玉感




