第78話 意外な魔法使いに関する事実
「うへぇ・・・」
「お見事です、透様」
夏休みに入り、今年も夏合宿という体の自衛隊基地に来ております。で、今年はテイマー解禁したので自分もようやく月1ダンジョンは出来るようになったので自衛隊のダンジョン内で巴さんを護衛にして、初めてのモンスター討伐をしたという訳である。こうしてやってみると、委員長や妹チーム、アキラが肉を食えなかったのわかるなあ。鶏肉を捌くのとは違う、確かな悪意を持って襲い掛かる敵を殺すという行為、中々にきつい。まして、見た目だけなら完全に兎のラビットが相手だったからね。巴さんが手を添えてくれなければ残心を忘れる所だった。
「っふう、良し。次探しましょう。次は連携込みで」
「承知しました」
しばらく行くと、ウルフが3匹居る。臭いでバレてるであろうから、向こうから来るのを待つ。案の定襲い掛かってくる3匹が直線に自分を狙ってくるので薙ぎ払う。
「巴さん!」
「疾ッ!」
飛びかかってきたので薙ぎ払う事でウルフが一塊になった所を駆け抜けた巴さんが横一文字に斬ると、全頭しばらく息していたが呼吸が消えたので一息つく。念入りに槍の距離を保ちつつ、頭部を突いて行く。絶命を確認して、解体ナイフで解体。その後、ドロップを回収したその場は速やかに離れる。血の匂いまでは消えないからね。
「ドロップはウルフの牙2つと・・・なんぞこれ?」
半透明の球体に黒の点・・・・・・目じゃん?!いや、目なんだけどこう水晶みたいな感じなんだけど?!
「おや?珍しい物をドロップされましたね、鑑定してみるとよろしいかと」
「あ、そうだった」
動揺してて忘れかけていた、スクロールで鑑定を出来るようになってたんだった。いやね、そりゃ、目がドロップしたらびっくりするよ。早速やってみよう。
【獣魔の目:魔獣が最も魔力を溜める部位。その品質は魔獣の核で変わる 低品質】
「魔力の結晶体みたいなもの?」
「ですね。残念ながらウルフなので低品質のようですが」
ふぅむ、つまりはそれほどお宝では無いが、落とすのは稀な、所謂レアドロップって訳か。あれ?待てよ?この説明文だと・・・
「他のモンスターも目が重要な部分だったりする?」
「その通りです。魔石が大きく魔力を司る部分のアイテムでもありますが・・・目はどんな生物、すなわち、モンスターでも重要な部分であります」
なるほど、うん?でも・・・
「でも、買取が高額な商品としては扱われてませんよね?」
自分の言葉に巴さんがあーと言う顔になる。勿論だが、話してる間も警戒は緩めない。
「多分、価値はあるが現状は価値が無いからだと思います」
「と言うと?」
「主様、今手に入れたソレ、どう思います?」
ふと、マジックバッグに入れようとしてた目をマジマジと見る。あっ!そういう事か!
「加工する手段やモノが無いのか、これ」
「その通りです。職人さんにコレを渡して加工してくれっていうのどう思いますか?」
「正気か?って思いますね」
巴さんと苦笑し合う。まあ、首飾りなどにすると言うのもあるが、うん、自分はそんな装備はお断りするわ。むむ、そうなると、活用法は無いから価値が無い。だから、大量に持て余してるレアアイテムってことかな、コレ?
「あれ?待てよ?コレは活用方法が無いけど、何かしらの属性を持つモンスターのは活用されてるんです?」
「ええ。それが魔法使い用の媒体ですね」
ファッ?!あ、そうか、目は目でも・・・・・・
「てっきり、ダンジョンで発見された宝石類加工したもんだと思い込んでたけど、妖精系のモンスターの目とかその辺りか、アレ?!」
「ですね。一部は宝石を加工した物ですが、魔法の伝導を考えるとその辺りが普及していると思われます。価格が高額なのもその為でしょう」
な、なるほど。意外な所で意外な事を知ってしまった一日だった。しかし、ダダ余りしてるらしい目の活用方法、何かないかなあ?
魔法使いの媒体が意外な所で分かったお話。目は重要な部分ですからね




