第75話 巴御前の衝撃の事実語り 急
今回のお話もあくまでこの小説内での設定ありきのお話です。本気にしないでください(約束)
「今日で最後と言う事実に救われるよ」
「まあ、自分が聞いた部分までだと今日で最後ですね」
「実は続きがあったり?」
「は、その後も聞いてないので大丈夫だと思います」
本日も帝国ホテル最上階で巴さんのヒアリングである。今日が最終・・・になるはず。自信が若干無いが、自分が聞いた部分は今日で終わるはずなので、佐々木さんを安心・・・はしてないね、こりゃ。ラッパ印のアレをジップロックの小さい袋に何錠か入れて、懐に入れてるし。
「では、始めましょう。今日で最後となります」
前と同じく、巴さんの前には複数のモニター、そして自分、佐々木さんと護衛数名。さて、最後の爆弾は今投下される。この時点で知っているのは自分だけでその爆発の規模は世界中に衝撃を与える、巴さんの言葉は最後の核弾頭級の話が始まった合図であった。
「さて、前回のお話の続きと行きましょう、ダンジョンのドロップについてです」
始まったね。さて、耳栓、耳栓。装着すると、音が聞こえなくなるが、まあ、仕方ない。巴さんに大丈夫になるタイミングを念話で教えて貰えるからね。なんで耳栓したの・・・・・・って?そりゃ、必要だからである。何が起きるか分かり切ってるからね。
「ドロップ品には様々な物があります、これに関しては皆さんには驚きは中々無い事かと思います。例えばポーションはかけるだけで傷が治り、飲めば病気の緩和まで出来るダンジョンにおける不思議なアイテムとされる物です」
巌さんや猛翁に教えて貰った読唇術で、巴さんが話す内容を見て取る。さあて、タイミング的にそろそろ来るぞ。
「しかしながら、皆さんは未だに未知を見ていません。伝説は存在する。それがダンジョンなのですから」
ここで一息置かれ、モニターを見ると、何となく察しが付いたのかお偉いさん方が色々指示を出している。まあ、ここまで来れば、次に何が言われるか分かるよね。
「伝説に残る武器等がドロップするダンジョンは世界各地に御座います」
『はぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ?!』
世界と言うか、帝国ホテル最上階で防音のロイヤルスイートルームは絶叫で物理的に揺れた。いやぁ、騒音ってマジで部屋揺らす事出来るのな、吾輩また一つ賢くなっちまったぜ!なお、佐々木さんと秘書さんは胃薬を飲んでいた。うん、ごめんなさい。
『ミス巴。君はそれがある場所全て把握しているのかね?』
「いいえ。ですが、大体の場所は皆様が調査すればお分かりになると思います」
『と言うと?』
「神話・伝承・伝説が残る場所。そこにダンジョンは現れておりませんか?」
『っ?!』
まあ、心当たりある人多数だろうね。ダンジョンが表面化して2年超、国々ではそれより前だろうけど、前回それより前と判明してから、より精度が高い調査を行う国が増えたと聞く。ちなみに、その調査でも先進国すら置いてけぼりにしてるのが日本である。原因は・・・はい、自分ですね。
「とまあ、ここまでが前振りで本題はここからです」
『は?』
「伝説の武器等がドロップすると申し上げましたが、本物であり、本物ではありません」
『と言うと?』
あ、巴さんから合図来たので耳栓を外す。人間って一度驚きが出て、それが継続すると冷静になるってホントなんだね。
「例えば、我が故郷日本なら草薙剣がございます。三種の神器に数えられ、今なおも厳重に奉納されてると言われるものです。さて、ここで質問です。では、ダンジョンで見つかった草薙剣は偽物ですか?本物ですか?」
モニターのお偉いさんも佐々木さんも言葉に詰まり思案する。そう、草薙剣が存在する仮称富士ダンジョンを攻略すれば、草薙剣は2本目とか本物?偽物?な論争が起きる。いや、起きてしまうだろう。だが、とある視点で見れば本物であり本物では無いという結論に達出来る。
「その答えは簡単です。ダンジョン内では本物であり、ダンジョン外では偽物なのです」
「『っ?!』」
そう、この件に関してはダンジョンに潜る者、潜らない者の両方の視点が必要になってくる。そう、現実の宝殿にある草薙剣は本物である。そこは間違いない、つまり世間一般的にも概念的にも本物の草薙剣である。しかし、ダンジョン内ではその概念が役に立つかはわからない。対し、ダンジョンでドロップした草薙剣はダンジョン内ではその権能は十全に発揮されるが、ダンジョン外では出来ない。なので、本物であり、本物では決して無いのである。
「例えばダンジョンでドロップしたモノで、世界的に有名なエクスカリバーであってもあくまでダンジョン内でしかその権能は発揮しません」
最早、誰も言葉を発しない、いや出来ない。うぅん、聞いた時の自分を思い出すわあ。
「よって、国の権威の象徴!等は考えない方がよろしいでしょう。あくまでダンジョンの攻略を助ける物とお考え下さい。加えて、伝説の武器等をドロップするのは最下層ボスが多い事、伝説の魔物が持っていると言う事もお伝えして、私の上からの発信は全てになりますわ」
モニターに映るお偉いさんは天を仰ぎ、佐々木さんは再び胃薬をイン!護衛さん達も天を仰ぎまくりである。
「あ、そうそう、もう1つ伝言がございました。これは私の上からは勿論、海外の皆様も関連する上からの伝言でございます。我が主である透様には努々手を出すな、策略に巻き込むなとの由でござます」
『もし、破れば?』
「物理的にも経済的にも破壊される事になりましょう。策を弄した者達は策を起こす前に天に昇る事になりましょう。どうかその意味を慎重にお考え下さいませ」
海外のお偉いさんは勿論、モニターに映る護衛達、日本のお偉いさんも青ざめる。静かな口調、されど苛烈な罰を与えると言う本気さが伝わったのだろう。まあ、それでも動くならそれまでと言う意味合いもあるだろう。さて、どうなるかな?
実はトオル君の安全確保の面もあったと言う巴御前の話の締めのお話




