第69.5話 お持ち帰り巴御前
「そういえば、巴御前さん、自宅に連れ帰るの?」
とりあえず、巌さんが操縦する帰宅の車の中で委員長が疑問を発する。テイマーのテイムモンスターは協会が用意した預かり所、または、ちゃんと管理出来る小屋もしくは檻を買うのが通例になる予定である。
「ああ、その辺りも大丈夫、巴さん」
「御意」
巴さんが薄く消えたかと思うと、カードになる。その事に全員が目を剝く。
「ええええええ?!何それ、お兄ちゃん?!」
代表して楓が驚いた口調で聞いてくるが、まあ、驚きに値する事ではあるからね。
「これは本人から聞いた事でここだけの話になるから、絶対他に話すなよ?巌さんも聞き流す感じでお願いします」
全員が頷くのを見る。楓に関しては三優ちゃんと父さん達に監視を任せよう、そうしよう。迂闊に話したりしそうだし、自分達の卒業後ポロリされたらたまらんしな。
「モンスターには現在協会が位置付けとしてのランクがある。許可証発行する時の講義で聞いてるよね?」
巌さん以外の全員が頷く。ランクとしてはウサギやコボルトなどが低位、中位に人間型のゴブリンやオーガ、上位に熊や砂漠階層のワームなどの巨大系が入る。熊がそこに入っていいの?と侮るなかれダンジョンさんの熊は森のクマさんではなく、オーガにも負けないほど大きいらしい。おいおい、死ぬわ、俺達状態である。その内ドラゴンみたいな巨大幻想生物とか出てくるかもしれんが今は出て無いのでヨシ!で、だ。
「彼女はその上位の上位に当たるんだ、まあ、そこは予想出来るよね?」
全員が頷く。まあ、神様から遣わされたらそうにしかならんやろという顔である、分かる。
「では、問題、そんな彼女を神様が預り所に置くという判断させると思う?」
ああ・・・という顔である。一応はね?モンスターはダンジョン、つまりは神々が作った存在だよ?でも、そこ、つまり雑多なモンスターが居るような場所に神様のお気に入りのテイムモンスターを置くってのはね?うん、不敬以外何物でも無いわなってなるやつである。と言うか、巴さんが睨むと低位モンスターは存在ごと消し飛びかねないらしい、怖。でも、霊魂化するとアレだ、付いてくもとい憑いてくになるから流石にそれは・・・というか、男子高生のプライバシーも考えた末に神々が考えたのが、カード化という訳であるらしい。中は生前住んでいた家などが再現されているらしい。なんか、神々の皆様、人間くさい、くさくない?
「その為のコレって訳。で、楓、コレ触ろうとしてみろ」
「へ?良いの?」
おう、触れたらな。楓は触ろうとするがカードがあるはずの部分を通り抜ける。何度も触ろうとするが触る事すら出来ない。
「え?え?」
所謂、主様以外に触らせない的な物らしい。たった1つしかないアイテム、ユニークっていうのかな?そういうアイテムになるらしい。
「ま、そういう訳でね。でだ、ここからは絶対外に喋らないで欲しいんだけど・・・」
『へ?』
「自分のテイムモンスターほぼ決まってるらしくて、コレまだ数枚手に入る余地あるらしいんだよね」
「俺は何も聞かなかった」
「私はうっかり聞き逃したわ」
「「右に同じく」」
「おっと、うっかりクラクションを鳴らしてしまった。何か言ったかい?」
おのれ、犠牲は増えなかったか!なんというタイミングでクラクションを本当に鳴らすような車が前方に居るんだよ!オッノーレ!!!!
ちょっと、黒いトオル君と巴御前さんの扱いのお話




