第63話 自分達の訓練について
「そういえば、おおよそダンジョン一般公開から今年で2年、正確には1年半そこそこなんだよな」
「そうだね、父さん」
とある日の夜。自宅で晩御飯を食べてるとき、珍しく父さんが話題を振ってきたので聞く。
「トオルと同じ事をしだす学生も出るんじゃないか?」
「うぅん?全く同じことをやる!は無理じゃないかなあ?」
「あら、どうして?」
父の言葉に対する楓の返答に母である桐谷 静香が疑問を口にする。理由は実に簡単。
「多分、我慢出来ない」
あえて、解答は楓に任せたがその通りだ。今でこそ、妹チーム、委員長、アキラはダンジョンに潜るために探索者証を持ち出してはいるが、それでも、1か月に1~2回の探索以外は学校に預けている。未成年探索者がもしかしたら稼げるかもしれないダンジョン行きを1~2回で我慢出来るか?無理である。更に大きいのが・・・
「課題は1週間の纏めで沢山出るし、道場で訓練もやるから、休養日以外はほぼ自由時間無いもん。その休養日だってダンジョンでのフォーメーションや情報収集、課題の完成に充てる事になるし、三日坊主っていうけど、三日持てば良い方じゃないかなあ?」
『ああ・・・』
楓の言葉にうんうんと頷く。遊びたい盛りの10代が暇そうに見えて、実はかなりハード、実際道場では実技だけでなく、座学もやるし、それに加えて課題もやるからベリーハードである。
「実際、父さんも2~3日でついていけなくなったからなあ、ふふ・・・」
あ、うん。実は帝国ホテル周囲がちょうどいい周回なんでトレーニングに入れて、父さんもイクゾー!になった後、父さんが筋肉痛になったのが実際あった。母さんがあの楓が!って感涙してたっけ?ちなみに、父さんはそれなりに鍛えてるし、市民マラソンでは上位を取れる猛者だとフォローしておく。
「まあ、やれるとしたら、探索者学校入った場合?あっちはあっちでスパルタだけど」
「そうなのか?」
「安全マージン取るけど絶対は無いダンジョン実習あるし、生半可な泣き言は許されない陸自お手製の訓練メニューがあるからね。下手すれば僕等の訓練の方が生温いレベルまであるよ」
『ワ、ワァ・・・・・・』
おい、なんで楓まで後退る。お前、まさか本気で探索者学園が楽な進路と思っていたのではあるまいな?後で説教するか、おん?
「まあ、そういう訳で、高校デビュー的な名声とか欲しい奴がやるかもだけど、絶対長続きは無理と断言するね」
ズゾーッと、味噌汁を飲んで話を御終いにする。なんか、両親から久々に何言ってんだこいつ?な目で見られたが気にしない事にする。ちなみに、学校用の自分の訓練マニュアルは現在作成中で、色々相談して調整するつもりなので、自分が卒業する前までかかるかな、コレ?なお・・・・・・
『いやあ、レベル高いな、コレ』
と完成したマニュアルを見た人間全員がそう言う学校用の訓練マニュアルが完成したのは後々の話。原因?おむつ、後は察して欲しいんだ、ここマジで何度も教育委員会とかと修正するか話し合いまくったんよ、佐々木さんと・・・・・・結果?ここから1か月後ぐらいに草案完成したんだけど、マニュアル完成は卒業前って事で・・・後は察して?ただ一言、おむつ問題で教育委員やPTA、厚労省の皆様に同情の目で見られて、後に色々便宜図ってもらえるのが副産物って、やめて、優しい目で見ないでー!
うん、まあ、おむつの方はね、体験しないとダメだからね、うん・・・と遠い目になるお話




