第58話 探索者の間で革命の日と言われた日
「そう言えば、そろそろだっけ?」
更に時間が経過し、11月初め、そろそろ自衛隊基地での住まいも終わりかな?と言う頃に思い出したように自分が言った言葉に周りがああという顔をする。
「マスコミの一新。確か、目に見える形でって事で発表そろそろだっけ?」
「そうそう。今日は昼からの課題は食堂でやりましょうか」
委員長の言葉に頷き、朝のルーティンをこなすのだった。目に見える形にするって言ってたけど、どうすんだろ?
『それでは、本日のマスコミ業界の一新についてご説明させて頂きます』
お?このニュースキャスターさんは知ってる。結構有名な人だが、あれ?なんで佐々木さんが居るんだ?
「これ、佐々木さんだよな?」
ちょっと画像が荒いが間違いない、今日の主賓の席に佐々木さんが居る。と言うか、探索者協会のメンバーが何人か居る。近くの隊員さんを見るが首を横に振る。自衛隊隊員にもまだ知らせてないっぽい事案でも発表されるんだろうか?と、改めてテレビを見直す。
『先ずは今回の一新を行う事になった事件の説明から・・・』
映像や証拠を交えた・・・・・・あれ?これって自分達の事件もあるけど、うわ、こいつ等、こんな事もしてたんかっていう他の強行取材事件もあって、他の隊員の皆さんも眉間揉んでる。酷いのになると、探索者をしている生徒のPTSD案件まであったっていうから御察しである。その事からの謝罪、その新聞社やテレビ局の珍しい該当職員の名前に写真晒しと相場の3倍は近い賠償金の支払いが確約された。ちなみに、うちにも支払いあったんだけど、帝国ホテル敷地内の引っ越しと両親の就職ですでに貰いすぎだから、いらんのだけどなあ・・・っと、その事は後にするとして、更に話は進む。ちなみに勿論だが、ネットの掲示板はこの時点でもお祭り状態だったのは言うまで無い。
『それでは今後のマスコミ業界における大改革をお知らせいたしますのは日本探索者協会会長の佐々木 五郎氏です、どうぞ』
ファッ?!
「聞いてた?」
「「いや、全然」」
委員長の言葉に自分もアキラも首を横に振る。いや、楓に三優ちゃん、マジで知らないからね?え?って顔やめようか?
『初めまして、自分の事はご存じの方は多いと思いますので、早速且つ率直言わせて頂きます』
ゴクリと誰かの喉が鳴った。自分かもしれないし、うちのメンバーかもしれない。隊員かもしれないし、全員かもしれない。そして、画面の中の佐々木さんの次の言葉を待つ。
『探索者業界のテレビ局、いえ、マスコミ業界への参入です』
そう来たか!となった。一見、今までの態勢は変わらないように見える。しかし、これは大きな変革となる、何故か?
「佐々木さんの言い回しが上手いよね」
「だな。探索者業界の参入。一見、一組織が参入するだけに見える」
「実際は大違いね。探索者業界に対するマスコミの攻撃は話題になっていたわ。でも、今後はマスコミ関連に国が介入する事も出来るようになったんだから、下手に大暴れできなくなったわ」
順に自分、アキラ、委員長の言葉に妹達がなるほどと言う感じで頷く。マスコミが国に勝る有利さを持っていたのは何故か?国も警察も容易に介入出来ない 民事 だからである。加えて、報道の自由などで中々尻尾が掴めない。何故か?取材した者と言う尻尾を切ればいいからである。そうして、また新たな取材する者を立てるまさに永遠に続くイタチごっこであった。しかし、これからは違う。
「だね。探索者業界は一業界ではあるけど、その実態は国の組織だ。でも、こうすれば表向きは未成年取材事件への抑止ではあるが、そんなに変わらないように見える」
「けど、一般人には小さい穴に見えるが、実際はとてつもなく大きな穴を開けた訳だ。探索者全員がガッツポーズしてるだろうな、コレ」
佐々木さんが一礼して終えた所で発表は終わった。多分、コレ、猛翁も協力してるんだろうな。まあ、何はともあれ・・・
「マスコミに関しては今後はあまり脅威ではなくなったのは確かだね」
全員で頷く。この後、何かしらのお礼しないとなと話し合ってたら・・・
『いやあ、今まで通り、相談に乗ってくれたら要らないんじゃないかね?あ、なんなら、専属相談役に・・・』
と通りかかった隊員さんに最後まで言われる前に失礼したのは言うまで無い。
まあ、国もマスコミに関してガチギレ状態だったって事ですというお話。コレで、マスコミ関連は一旦おしまい!かな?




