第57話 ドロップ品について
「そう言えば、大分周知されてきたけど、実際見た事無いんだよね、どんな感じなんだ、ドロップの瞬間って?」
『あー』
そろそろ秋の風が見えてきた朝のルーティンの後の昼御飯の時に気になった事を聞いてみたんだけど、え、何、その反応?なんか、最近、ルーティンと昼御飯に付き合ってくれる隊員の皆様もアレはなあ?って顔緒をしてる、え、なんだろ?
「テレビでドロップドロップ言ってるのはトオルも勿論知ってるよな?」
「だな。それが?」
「マジでポトンとその場に落ちるんだよ」
うん?うんんんんんん?????????
「こう、なんていうのかしらね、その場に落ちて・・・持ってけドロボー状態?」
うわあ、それはまた、色々トラブル起こる予感しかしないやつ。
「また、色々なトラブルありそうだね、それ」
「実際、日本以外だと結構あるそうですよ」
自分の言葉に昼食の為にたまたま近くを通りかかった隊員さんが答えてくれるので教えてもらう。
「日本は自衛隊以外は遠距離は弓かスリングなので命中率が低い事もありますが、海外だと、銃器でのトラブルがあるようです」
ああ、つまり、先に当てた当ててないでドロップ取得権利を主張するのか・・・スナイパーライフルとか普通に流行ってそうだな、海外。
「そういう事もあり、日本では銃刀法を用いてダンジョンでは海外からの探索者は銃器の使用を禁じております。空港にて探索者カードの提示と銃器は持ち込んだ場合は没収ですね」
「でも、そうなると、自衛隊は持ち込めるのに!とか言われません?」
隊員さんの言葉に委員長が質問する。うん、自分もそこは気になる。
「自衛隊は基本自衛隊用のダンジョンのみを探索していることを公表しております。また、緊急救助の場合はやむを得ずと言う事になってますね」
少し前のマスコミが見つけたダンジョンでの救助とか、ダンジョン変動の時の救助の場合がその一例だと付け加えてくれる。すでに実例がある事がある意味幸いしている・・・と
「ちなみに、海外は?」
「そうですね、あくまで集めた情報を基にした情報ですが、ドロップ品はラビットの毛皮でさえ争奪戦、ポーション系統が落ちたら血の海の争奪戦。海外のパーティはダンジョンボス部屋が一番心休まる部屋と言われてます」
うっわぁ、絶対に海外行きたくないな、日本に産まれて良かったってなるやつ。ん?そう言えば・・・
「海外からの探索者も受け入れてるんですよね?その人達どうなんです?」
『あまりの殺伐の無い平和さに泣いて感動されて、やがて帰化する』
隊員さん達が異口同音とは言え、同じ発言をして、ウンウンと首肯する。お、おう・・・・・・としか言いようがない。
「最近だと、アメリカのSランクパーティがあまりのダンジョン治安の良さに涙流して移籍と同時に帰化を発表しましたね。多分、この評判聞いて、これからも増えるんじゃないですかね?」
隊員の皆さん、苦笑。Sランクが日本万歳しちゃったかあ。しかも、帰化。つまり、私日本人になります!だからね。そうなると、アメリカと言えども手が出せない。何故か?この国が今一番ダンジョンを深く潜っているダンジョン先進国他ならない。あれ?そうなると・・・
「もしかして、各国鎖国体制入ります?」
「今はそこまではいかないだろうけど、時間の問題らしいね」
「で、お隣の国々は?」
『台湾の純国籍以外はねーわ』
自分の言葉に隊員の皆様、一糸乱れぬ発言に超嫌そうな顔。そりゃ、そうだ。反日やっといて、殺伐してるから助けてください!恩は仇で返しますから!があり得そうな国の探索者を受け入れる理由なんぞありはせんからね。
「密入国とか大丈夫なので?」
「そういう奴、マジでダンジョンに消えるらしいよ」
ええと?あっ、ああ、そういう事ォ?つまりだ、ダンジョンでは入り口に自衛隊の監視班が張る受付がある。それを通さずに行く危険性はマスコミのアレでご存じの通り。まして、身元確認が出来ない探索者の末路は大抵悲惨そのものであるからね。受付で確認大事。
「そう言えば、探索者カードって・・・」
「そう、各国共通且つ、偽造が難しい最新鋭の技術付き」
とすると、密入国して、偽造戸籍で住むぐらいしか出来ないのか、正式手続きしない奴。それはそれで問題あるが、いずれ困窮して人知れず消えていくだろう。昔なら色々と誤魔化せたかもしれないが、今は鑑定スキルあるからずっと誤魔化し続けるのも難しいだろう。うぅん、日本の思わぬ強みを知ってしまった。
「そういえば、宝箱ってドロップするのか?」
「俺達は見た事無いけど、隊員さんは見た事あります?」
「ああ、試験の時に宝箱合ったでしょ?」
あ、そういえば、ああいうのは現実的ではないと思ってたけど・・・あっ!
「そっか。実際にあるんですね、ああいう風にドロップして置かれてるように落ちるの」
「ああ。だけど、基本的には無視一択だね。と言うのも、旨味が少ない」
曰く、確かに中身は良いものが多く、稀に罠が無い物もあり、一攫千金は狙えるらしい。が!罠が設置されてるのが9割と高いなんてレベルじゃねえぞ!な上に、毎回言ってる気がせんでもないが、人間の命は1つである。忘れてはいけない。勿論、罠を外す方法やジョブもあるにはある。しかしだ・・・
「つまりは、未知の危険に対する旨味が無い?」
「そういう事。それ故に、ドロップがどんだけ珍妙でも納得がいくんだろうね、探索者やってると」
『ああ』
例えば、それなりに強いが倒せるモンスター相手にしての1万円で換金出来るドロップ品と、10万円の品が入っているが9割の確率で死ぬ宝箱、どっちを取る?と言われたら、断然前者だろう。倒せる量が増えればそれ以上に安全に稼げるのと、ギャンブルみたいに稼いで最後は死亡落ちとか、まあ、うん、比べるべくもないよねってなる。って、ん?
「待ってください。今気づいたんだけど・・・」
「うん」
自分が聞きたい事を察したのか隊員さんは頷いて先を促す。
「宝箱を開けた、つまり罠にかかったのが居る事前提ですよね、それ?んで、9割と言う確率は・・・」
あっ!と言う感じでうちのメンバーも驚きを隠し得ない。何故か?まあ、うん、そういう事だねと言う解答がこう返ってくる。
「日本ってさ、あの発表、世界、いや、お隣の国、台が付いた国を除く国々より1か月ほど遅らせたんだよね。まあ、そういう事」
オーマイガ!!!としか言いようがなかったのはここだけの話である。うん、自分達はは目に見えて分かるドロップ品を狙っていこう。
まあ、世の中危険であると言われてる事は大体前例があるというお話。実在ウィ〇ードリィ罠は現実では危険すぎますよな。




