第55話 誕生、新防具
「そういえば、アキラ、委員長のパーティとのダンジョンアタックはどうなん?」
「あ、そういえば、報告してなかったか。ひとまず、今は1階層だけを探索してる」
あらま?基本と言えば、基本だけど、てっきり男手増えたんで2階層にも挑戦してるかと思ってたわ。
「あー。ここだけの話にしてほしいんだが、やはり、突然の生理関係だな」
ああ、なるほど、把握。女子の天敵、まあ、分かりやすく言えば花摘みだな、うん。
「消化薬ポーションダメそう?」
「最後の砦だってさ。聞いたら、自衛隊女性隊員さんも同様らしいぞ」
「ああ・・・・・・」
まあ、カロリー倍増!食欲倍増!からの体重超増加!はね?ダンジョンアタックという名の運動してるとはいえ、踏ん切り付かんか。
「んで?」
「ああ、査定と鑑定をした後で食堂の方に持ってきてもらえるってさ」
で、ここからが本題。ちょっと考えてた事があるのでとあるものをアキラに持って帰ってきてもらったのだ。
「なるほど」
よく考えると、食堂ではちょっと・・・な物だったので佐々木さんに言って借りた部屋で広げたのはラビットの毛皮。うちのパーティ予定のメンバーはともかく、なんで佐々木さん達他数人の大人が居るんですかね?いいけどさ・・・
「なるほどって、何がなの、お兄ちゃん?」
「まず、これ、簡単に流通したらアカン素材だわ。だから気持ち高めに買い取られてるって事かな」
まず何がやばいってさ?手触り自体はふわふわのもこもこなのに、カッターナイフどころか出刃包丁でやっと切れる防刃性能に加え、ライター程度では焦げ付きすらしない、液体窒素も数分当てないと凍りすらしないっていう、まさに被服業界が絶叫しそうな代物なのである。
「ただのウサギじゃねえじゃんっていう」
『 そ れ な 』
まあ、探索者も流石にカッターやらライターやらは武器にしてないから討伐可能なんだろうけど・・・・・・居ないよな?居ないと信じつつ、筒状に纏めて輪ゴムで留める。
「これ、こんな感じに加工できませんかね?」
「出来ると思うよ、どうしてだい?」
「自分達、籠手持ってて、その籠手は特殊で、パリィ習ってますけど、なんだかんだで日本の学生ですからね」
ああという顔を佐々木さんや関係者の大人たちにされる。道場関係者の委員長や道場に通ってたアキラもうんうんと頷いている。
「「どういうこと???」」
まあ、妹チームは分かり難いわな。前衛では無く後衛だし無理も無いか。
「ええっとな、楓達も習ってるけど、このパーティは籠手で攻撃をパリィするのが防御手段だ」
「うん、そうだね」
「勿論だけど、100%成功する訳じゃあない。更に、少し前にアキラが防御じゃないけど失敗した事例がある」
『あっ!!!』
そう、少し前にあったアキラのダンジョンデビューの時、払いが一番良い選択の状況で不意に動かれたので【つい】槍で突きを放ってしまった。この事である。
「不意の遭遇があるかもしれない。その為の対策でもある」
そう、不意の遭遇、つまり奇襲には冷静に対応出来る年齢では無いという事だ。事実、突きより払いで行った方が良いシーンで道場経験者で、一歩引いた所も見れるアキラが思わぬ不意打ちで突きを選択してしまったのが良い例だ。
「まあ、この処置も犬とかの牙より小さい犬歯程度しか止めないだろうけどね。何となく必要な気がするんだよね」
「よし、君、これの完成品をサンプルに様々な革や鱗で試すように」
『はいっ!』
あ、あれ?なんか大事に?あの、うちのチームメンバーの皆さん、またか・・・って顔はおよしになって。はっ?!ついお嬢様言葉に。え、ええええええええ?となっていたが、後日、コレの関係で口座にかなりの金額が振り込まれたのは言うまでもなく、後にとある部隊が自衛隊で誕生するきっかけになるとは思わなかったんです。え?その部隊の名前?え、えと・・・・・・ニンジャ部隊・・・・・・です。やめて、憐みの目で見ないで!違うんです。籠手がそれっぽいのに進化して、服とかもそれっぽいので忍者っぽくなっただけなんです、ボクはその辺一切関わってないんです!信じて!
トオル君、君ってやつは・・・なお話。いや、まあ、本人はホントにそのつもりなかったんです。信じてやってくださいw




