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第4話 とてつもなく汚い話だけど大事な準備

「あ~、まあ。そうなるよな」


「なんていうか、コレ。普段はあ~って感じでコマーシャル見てるけど、いざ、現物見て、使用すると思うと、背景にドドドドドドッ!って効果音出てると思う」


「同意」


さて、鍵を掛けた準備室でどんなもんを見ているかと言うと・・・・・・紙おむつである。うん、何かを問いただしたい気持ちは分かるが紙おむつである。何度でも言おう、紙おむつである。


「まあ、必須だよな」


「必須なんだよねえ」


なんで?って、多分、探索者上位者も装備してるだろう。ダンジョンにトイレがあると思う?敵が小や大を出すの待ってくれると思う?尿意、便意を感じたからって、離れて用を足してる人間を魔物が見逃してくれると思う?そういう問題を解決してくれるのがこいつである。が、まあ、大人用とは言え、凄い存在感を放つ一品であるのは間違いない。それがメーカー別で何袋か。ここは託児所の準備室か?とも思う。


「こうして見ると、結構な種類あるね」


「介護用とかでたまに見た事あるけど、まさか自分達が着ける事になるとはなあ」


「尿意はマジでコントロール出来ないからね」


ある程度我慢は出来るが、生理現象として突然来るのはコントロール出来ないなら、解決方法に縋るしかないってのが、凄いリアルだよなあ、現実のダンジョン・・・


「その前にまずは耐水性試験だね」


いくつかあるオムツを1つづつ取り出し、金属のパッドの上に載せた状態でコップ一杯分の水をかけていく。そうして、しばらく放置。インスタントカメラを用意し、最初の状態を写す。


「んじゃ、履いてみるか」


「だな。カーテン閉めてと」


まあ、男同士なんで恥ずかしい事は無い。う~ん、しかし、いざ履いてみるとまず思ったのが・・・


「想像よりは動ける。でも、なんかピッチリしてるから気になるよな」


「そこら辺はもう慣れるしかないね」


アキラの言葉に頷く。なんて言うか、いつもの下着とは違う、こう、なんて言うか、漏らさないようにする為なんだろうけど、足の部分とかまでピッチリとした感じがあるので違和感がある。こりゃ、2年間の期間取ったのは正解かもしれない。


「まずはいくつか履いてみて一番柔らかいやつを半日履いて様子見るか」


「だな」


これがあったから、授業もいつも通り受けますとは言えなかった訳だ。うん、何のことは無い・・・と言いたい所だが、下着が違うだけなのに妙に恥ずかしくなるな、コレ。っと、授業開始のベルが鳴ったな。んじゃ、こっそり裏門から出てランニングしてみますか。


「あ、待ってくれ。例の手紙に電話番号控えと鍵をポシェットに入れて。オッケー、行こう」


持ったのはサブキーと、校長先生のいざ、警察などに職質された時の手紙に学校の校長先生の部屋の直通電話番号の控え。加えて、彼等はそういう体で授業を受けた事になってますの手紙と探索者免許のコピーである。学生の身であるから、こういう物を用意しとかないと一々呼び止められるからね、仕方ない。


「よし、行くぞ」


とりあえず、まずは町内走って、休憩には自分の家を使うかな。それじゃあ、行くか。



「う~ん、こりゃ、慣れとかもいるだろうけど…」


「少し丈が長いトランクスの上に付けた方が良いかもね、コレ。ブリーフだと余計に締め付けるし」


あれから何度か職質されたが、手紙と電話番号のお陰で説明することが出来た。まあ、普通は学生は今は授業の時間だからな、仕方ない。自宅に到着したのは昼過ぎ、コンビニで買ったご飯を用意した後、浴室で一旦おむつを脱ぐ。仕方ない事だが、かなり汚れている。実験とは言え、尿意、便意を我慢せずだしな。ついでに言うと、ゴムが少し強いせいか太ももと腰のゴム部分に当たる所が充血していた。とりあえず、おむつは丸めて、ごみ袋へ。シャワーを交代で浴びて、持ってきておいた下着の替えを履いて、ようやくすっきりしたので少し遅めの昼食にする。


「あ、いけね」


ちょっと思い出して、充血した部分をカメラで撮る。インスタントカメラでだが。当時は学生には手が届かん代物だったからね、カメラ。


「まあ、しかし、案の定だなあ」


「だねえ」


お昼から流れてるニュース番組はどれもアレである。今新気鋭の探索者の~!とか、探索者の予想年収~!とか、案の定ってやつである。流石に国が関わってるとは思えないが、国が電波を止めない以上、国が望む所と言う側面もあるだろう。頭痛い話だ。


「何がまずいって、良い面しか流れてない」


「それな」


アキラの言葉にカップラーメンを食べながら同意する。良い面を流せば、今後も探索者が増える。そう見込んでいるんだろう。ただ、ここまで悪い面、つまり苦労する、怪我をする部分がピックアップされていないのはまずい。非常にまずい。何がって・・・


「せめて、一局でも負の面を多く流す局があればなあ」


自分で言っておいてアレだが、それは低いだろうと考えている。流すとしても、当時を考えれば、テレビ局にハッキング&リークでしか無理だろう。そして、よしんば政府が情報を開示するとしても今すぐではなく、年単位の時間が経過してからだろう。その間、何人の屍が積まれるかは本当に予測はつかないが、冗談抜きで覚悟の上って所だろう。


「まあ、しんどくなる話はこのぐらいで、どうだった?」


「気になりはするが、さっき言ったトランクスから上に履けばいいだろう。おむつだけなら動きの邪魔感は感じないけど、明日はそのトランクスの上からで実験したいとこだ」


まあ、そうだなとしか言えない。やっちまった場合の臭いも凄いので、予備のおむつ、帰りの為の下着、袋、ベビーパウダーとかも対策に必須だな。荷物を圧縮する方法が無ければ何らかの対策も考えないとなあ。


「ポシェットには入りきらないからショルダーバッグかな?」


「戦闘時は荷物を置くなら普通に背負い鞄で良いと思うけど、どう?」


それも考えた、考えたんだけどなあ、ある一点が怖い。


「盗難がなあ」


「あ~」


昼食の後を片付けながら言う。これだ。今はまだそれほど問題になっていないが、自分達が本格的に活動を開始する2年後までに必ず現れるだろう。政府も厳しく監視してるつもりだろう事案。そう、探索者の荷物の盗難である。もっと正確に言えば、必要な荷物や素材の盗難だ。ゲームみたいに無限に入る小さな袋なんかある訳がない。素材が増えれば増えるほど、パンパンになった袋が目印の様なものだ。


「そういうスキルがあると公表は・・・・・・されないだろうな」


「あったとしても、俺でも監視つけるわ、そうするわ」


アキラの返答にうんうんと頷く。ゲームのような、仮称するならアイテム袋みたいな能力をダンジョンで得れたとしよう。そいつ、確定で飼い殺しか、別の国に拉致されるかのどちらかだろう。下手なとこまで行くと洗脳とかもやられるかもしれない。怖いな。妹にも話しておこう、そうしよう。


「探索者にそういう能力持ちかアイテムが大量に現れるのを願うしかないね」


なお、この冗談が後に本当になるなんて思ってもみなかったのである。この後は再びオムツを着けて学校に戻り、耐水試験中のオムツを見て、買うのを決めて終わった。しかし、本当に問題点多いな、現実ダンジョン。


とてつもなく、本当に汚いですが、ダンジョン内での便意のお話でした。小にせよ、大にせよ我慢しすぎると戦闘どころではありませんからね、本当に。

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