第44話 低階層ドロップ品とちょっとしたフラグ
「あ~、なるほど。それで楓ちゃん凹んでたんか」
「まあ、分かり切ってた事だし、相談した猛翁からは口止めされてたからね」
巌さんの道場で昼休憩中に自分とアキラの会話を聞きつけた楓がこっちに来る
「お兄ちゃん!」
「いや、まあ、黙ってたのは悪いが、考えてみたら分かるだろ。説明するから座れ」
と言ったら、妹チームに委員長、巌さんに門下生さんも周りに座り始めた。もう慣れたよ・・・
「まず、大前提として1階層なのはOK?」
うんと頷いた楓を見て、話を続ける事にする。
「んで、メダルコア。確かに僅かとは言え、様々な事に使えるエネルギーを出す硬貨は珍しいよ?」
「じゃあ、なんで?」
『あっ!』
楓以外は思い立ったようだな。そう・・・
「ダンジョン出来て数年、自分達の事である未成年探索者が探索する前は自衛隊や各国軍がダンジョン潜ってるんだぞ?」
「あっ・・・・・・ああああああああ!」
ここで、マイシスターも気づいたようである。まあ、つまりはそう言う事である。言葉にするなら、供給過多、まさにこれだ。そらね、ダンジョンは未知の存在、研究したい、調査したいでラビットは特に倒しやすいともなればね?そら、珍しいであろうメダルコアも大漁大漁と言う訳だ。そして、起こるのが価格崩壊と言う訳である。うむ、南無。
「ちなみに、だからと言って、今居る階層から先に!とかやったら、父さんと母さんに報告して、小遣い半額の上に免許没収させるからな?」
「や、やだなあ、お兄様、ソンナコトカンガエテマセンヨ。ウェへへへへへ」
「委員長、三優ちゃん、こいつ何かやりそうになったら、兄の権限で許すんでシバキ倒してくれ」
『 了 解 』
なお、了解の発言の後に笑顔の委員長と三優ちゃんにマイシスターは引きずられていきました。巌さん達と共に引きずられていった先に合掌、南無。
「気になったんだけど、逆に言えば、儲けが出る素材って何なんだ?」
「ラビットに限定すると肉と毛皮だね。前者1塊500円、後者1つ1000円らしいよ」
「割に合わねえ」
「だが、逆に言えば、この割の合わなさが未成年や新規探索者を焦らせるとも言えるな」
自分とアキラの会話に加わってきた巌さんの言葉に自分もアキラも門下生も頷く。怪我人が多かったのは初期の未成年の怖いもの知らずの突撃が原因だと思っていた。だが、今なおも多いのは何故か?ICUに入る未成年探索者が多いのは何故か?これが答えだった。
「メダルコアの価格で絶望し、肉や毛皮で儲けれる事を再確認し、ラビットが楽勝になる頃には格上ならもっと儲けれるのでは?ってなるよね、こんなの」
自分の言葉でなんだが、全員が頷く。思わぬ真相に触れてしまったなあとなったが、後日、この事が事件に繋がる事になるとは誰も思わなかっただろう。そして、懸念は5月の黄金週間に的中する事になるとは誰も思わなかったのだ。
うん、まあ、1階層ならではのドロップ品の査定の低さの真相でした。そら、そうだというお話でもあります。楓ちゃん、残念!




