第41話 ダンジョン内の嫌な罠
「これはなあ・・・」
「うん、かなり贅沢な話になるね」
「だけど、こうしないとどうにもならないとも言うんだよねえ」
さて、正月を経て、2月に差し掛かった頃、自分とアキラは佐々木さんがいる探索者協会の一角であーだこーだと話し合っていた、上から、自分、アキラ、佐々木さんが話しているその内容とは・・・
「20階までの最短ルート、こんなもんですかね?予算大丈夫そうです?」
「ああ、そこら辺りは大丈夫だ。後、探索者学校のテストケースの一環として、とあるダンジョンを貸し切り状態に出来るようになったから。後、すまないけど顔にモザイク入れるので動画を撮らせてもらう」
まあ、期日が迫るとは言っても来年になるが、自分達のテイマー取得の為の最後の詰めと言うやつである。大事になってはいるが、これが成功するなら、今後の為にもなるだろうしな。動画に関してはまあ、モザイク入るならいいだろ。批判の的になるよりは。
「留意するべき点あります?」
「そうだね、出来る限りまずは自衛隊チームが先行、モンスターを排除するが、撃ち漏らしがあった場合は回避に専念して欲しい。決して、モンスターに当たってはいけない」
「と言うと?」
あ、嫌な予感。まさか、ねえ?
「テイマー取得の為に駆けてた軍人が不意の遭遇で向こうもこちらも怪我すらないのに、ほんの1回当たっただけでディフェンダー認証された」
『オウ・・・・・・』
佐々木さんの顔を見た感じマジ話っぽい。1回限りの勝負になったな。不意の遭遇時はマジで回避しきらないといかんって事か。厄介だ。
「そうなると、重要になるのは・・・」
「スナイパー、そして、感知出来るスキルスクロールを使った軍人だろうね。念の為、君達にも感知のスクロールを使って貰う事になるだろう」
自分の言葉と佐々木さんの言葉にアキラが頷く。とは言えなあ・・・
「問題はなあ、当日にアレが起きないかだよねえ」
『 あ ー 』
自分が言って、2人が納得するアレとは前にも起きたダンジョン変動である。アレについてはホンッッットに情報が無い。定期的に起きるのか、ランダムなのか、それともダンジョンに依るのか、全く不明のままである。
「当日前から貸し切り状態になるから人は居ないけど、当日に起きた場合はコレを使ってほしい」
そう言って渡されたのは玉のようなもの、あれ?こういう時に渡されるのって、まさか?
「察しの通り、脱出アイテムだ。どんな事態でも出来る事は確認済みさ」
使い方は脱出する人間が、コレを握りつぶせば、今居るダンジョンから出れるらしい。今の所、国家での機密アイテムらしいので誓約書を書いた。いやあ、これは他の人には流通するまで話せないわ・・・
「使う事態が無いことを祈るよ、マジで」
佐々木さん、それフラグですよと言ったらフラグ成立しそうなので、自分もアキラも口を噤み、今日の訓練をやったのは言うまでない。
そう簡単にテイマーは取れないかもしれないというダンジョン内の嫌なお話。フラグでは無いはず、多分。




