第33話 体育祭、あるいは特訓祭?
「いざやってみると、コレ、マジで接戦半端ないな」
「だね、これ意外と点差埋めるの難しいよ」
楓との会話から大体察出来るだろうが、今、体育祭の真っ最中である。しかも、自分提案のルールが採用されたある意味では初の体育祭である。
「しかし、巌師匠の言う通りにやったら、ホントにここまで出来るもんなんだな。なかなか埋まらない点差だからな、コレ」
「流石にずっとは無理でしょうけど、兄さんの言う通り、ここまで楽しめるとは思いませんでした」
アキラと妹の三優ちゃんもうんうんと頷く。巌さんの提案とは、テストケースとして様々なルールを設ける事である。例えば・・・
「探索者届出してるクラスが居るチームはその分マイナス、更に、リレー競技では探索者とそうでない人とはゴールした時の時間ハンデによる順位変動付き。これが意外と曲者よね」
そう言う事だ。単純ではあるが、これが中々馬鹿にならない。なんでって?
「学生の運動会である事。コレが完全に盲点だったよな」
「良く考えたら、探索者1人に付きマイナス5点。今、全校生でほとんどが探索者になってる現状。学生の体育祭ルールの点だと中々取り戻せないよな、このマイナス点」
そう、自分の言葉に対するアキラの言う通り、地方によっては違うだろうが大体の競技の加点方法は1位は3~5点、2位は2~4点、それ以降は1~2点の加点方式の所が多いと思う。で、探索者になった生徒数を考えると、うちは紅白戦だから、両方とも3桁のマイナスから始まり、午前の競技終わってマイナスの得点盤があるの今のとこ、うちの体育祭ぐらいじゃないか?
「探索者がどれだけ早くても非探索者との順位変動があるから1位とは限らない。実際、非探索者の陸上部員が変動で1位になったからね」
勿論、接触事故回避の為に会場は別々ではあるが、タイムが早ければ良いではなくハンデも考えないといけないのは本当に白熱する。向こうがどれだけのスピードで走っても、非探索者はそこを考えれば余裕がある。これで2つの勢力のギスギスもある程度は回避と言う訳だ。
「まあ、ギスギスする要素はまだまだあるが、今年はこれでいいだろ」
うんうんと一同で頷く。まあ、今後の体育祭については追々、PTAや大人達が色々考えていくだろうけど、今はこれぐらいの方が良い。うん、まあ、やっといてなんだが、マイナス点から始まる体育祭で午後の部前まででもまだマイナスなのが非常に気になるとこだが!
「しかし、パワーアンクル、初めて付けたけど、コレ、ホントにいい訓練になるわ」
『 そ れ な 』
自分達の待遇だが、免許はあるがダンジョンに潜っていない。しかし、平常の授業及びテスト期間を訓練に当てているという事で委員長の言う通り、約2キロのパワーアンクルを足首に付ける事が課された。これが中々訓練にもなるし、ハンデにもなる。なるほど、某七個の玉集めるアレのキャラが外した時に快適に思う訳だ。
「意外と走る力ってのは足に集中してるって分かるよね。非探索者のクラスメイトに聞いたんだけど、フォームが綺麗な時と崩れた時の差が雲泥なんだって」
楓は勿論、非探索者の人から見てそう言うからには、相当な差が出てるんだろうな。良いな、コレ、訓練に取り入れてみるか?
「ところでさ、皆も思ったと思うんだけど・・・」
『これ、いつになったら、プラス点になるんだろう?』
昼の弁当を処理しながら、きっと全員の頭にでっかい汗マークが出ているであろう懸念は・・・勿論、的中し、史上初!かは分からないが、雑誌やテレビのトップにマイナス点で終えた体育祭!と載るのだった。まあ、うん、次回以降は何らかの対策があると思うし、俺は悪くぬぇ!!
探索者になった生徒数を数えて、そこにマイナスのペナルティを点けたら、そうなるとしか言いようがないというお話




