第31話 今後の訓練とテイマーの条件の確定
「と言う事なんですが・・・」
翌日、妹チームと委員長はいつも通りの訓練をしてもらいつつ、アキラと共に探索者協会に来ていた。とあるお願いを佐々木さんにする為だ。
「確かにこれは必要な訓練だね」
まあ、昨日のニュースが原因なのだが、自衛隊の方は勿論、各国でもかなりの騒動になっているらしい。そらそうである。1年弱経過した今も謎とされてきた魔物の魔法の犠牲者がついに出てしまったのだ。同時に、魔法のデータも取れてしまったのだ、大騒動にならん方がおかしいのである。こうなると、自分とアキラの鍛錬計画も少し修正が必要になった。それは・・・
「自衛隊との銃の射線連携。確かに必要になってきたね」
「認識がお互い甘かったですからね。やれる事はやって、もし駄目ならテイマーは諦めですかね。そう言えば、成功しました?」
「ああ、自衛隊員に数人テイマーが誕生している。君の考えは正しかったようだ」
さて、ここでテイマーの条件として、自分が進言したある事を覚えているだろうか?そう、テイマーになる条件、すなわち、20階まで敵を相手せずに降りると言う条件。これに関し、佐々木さんや自衛隊に協力を取り付けた際に、自衛隊の方でも真似して良いだろうか?と言っていた事を。その方法とは・・・
「各国からどんなブレインが付いたんだ?って言われてしまったよ。いや、我々も言われるまで気づかなかったんだが、成功するとはね」
「成功したらしたでまさにゲームか!な罠ですからね」
自分の考えを実行した自衛隊のデータの基、日本が発表したのは【パーティ制度の確立】である。今までは何となくな感じであったが、合意したパーティでダンジョンに入ると、パーティを組んだ扱いになるらしい。ゲームかよ!と思うが、ゲームのような現実でもあるんだよな、ダンジョンって。
「懸念としては、同時に入った集団がパーティになってしまったとかの場合ですけど、成功したという事はそれは無かったって事ですね?」
「うん、色んなパターンも試した限り、トオル君の推測は全て当たっていたと言う結論だ」
つまり、ゲームで言うとこ、敵がよくやってくる漁夫の利戦術を逆手とると言う訳である。パーティが倒したという事は漁夫の利された側は倒していないという事。これを利用するのである。罠などの懸念もあるがそこも別パーティに解除してもらい駆け抜ける訳だ。実にこう、言っては何だがアレな作戦だが・・・
「これ、普通にやったら、人の雇用ですっげえ金かかりますよね?」
「まあね。しかし、今回の事件もあって更なる連携が必要になるからね、訓練しても損は無いだろう。日程だけど・・・」
使えるコネはすべて使う。テイマーを希望するのは自分とアキラのみなので、佐々木さんと日程を詰めていく。体が鍛えられてると言っても、まだまだ成長途上の高校生だからね。無理は良くない。
「そう言えば、アレはどうでした?」
「ああ、ボス部屋で試してみた。ビデオがある、持ってこさせよう」
ちなみに、それを見た自分とアキラはよしっ!とガッツポーズを取ったのは言うまでない。内容はジョブの発行が出来る20階層までのボスの動画。じっとアキラと共に見返し、時に巻き戻したりする。
「なるほど、アキラ、どう?」
「今の率直な感想だけど、いけると思う」
うん、正直なとこ、自分もそう思う。自衛隊の運動神経とかもあるけど、こう、なんだろう?初回だと、自衛隊スゲー!になるのだが、何度も見ると・・・
「佐々木さん、もしかして、動画が撮れた上に数人が達成出来たのって・・・」
「ああ、今、同盟国のアメリカに同じビデオを送って討論してもらっているが、恐らく同じ結論になるだろうね。そして、日本と同じようにテイマーが誕生する可能性は高い」
動画をじっと見ていくと分かるのが、きっと、動画を見た学者さんとかもこう思うだろう、まるで、ゲームだと。1度目はそうでもないが、2度目からまず気になるのが・・・
「まず、はっきりと分かりますもんね、テイマー職取得目的組と討伐目的組との違い」
例えば5階層のボス部屋、ボスはオーガなのだが、討伐目的の場合もテイマー職目的の場合も巨大とは言え1体である。ただ・・・
「テイマー職狙いのパーティ、もしくは個人の場合、明らかに圧が少なくなって、隙が増えてますよね、これ」
「更に言えば、討伐狙いの時に居る配下が居なくなってる。こりゃ、通っていいけど、オーガの攻撃を避けるぐらいは出来るよね?ってやつかね?」
自分の言葉に対するアキラの言葉に頷く。最初は分かり難いが、見続けると分かる。明らかにオーガに隙が増え、圧が少なくなり、オーガが指示する味方が居ない。通しても良いが、通るならばそれなりのボス格の攻撃を回避して通れと言う感じなのだろう。そりゃ、そうだ。
「それでは、こちらしかとお預かりします」
「ああ、1年後、期待しているよ」
佐々木さん、念の為言っておくと、将来的に絶対協会には入りませんからね?いや、ホント、今を以て確信したわ。絶対に探索者以外はやらん。
連携の再確認は大事なお話とテイマーについてのお話




