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現代ダンジョン安全探索計画 略して、現安計画  作者: 味醂英雄
2年目 マスコミ騒動編

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33/93

第30話 起こり得ない事など無い

「ついに出たか・・・」


頭を抱えるに値する情報だが、同時に一番欲しかった情報でもある。朝、学校の準備室で新聞をいくつか広げる。全て一面は共通だった。唸っていると、他のメンバーも入ってくる。まず来たのは楓、途中で合流したのかアキラと三優ちゃんと一緒だ。アキラの手には新聞が。委員長も遅れて新聞を持って入ってくる。


「皆、見たかあ」


『見た』


続いて、ノックから入って来たのは孔明先生。やはりその手には新聞が握られている。


「着替え前なのにすまんな。っと、どうやら全員、()()()()()()()見たか」


新聞に載せられた内容は、探索者協会にも政府にも、いや、世界各地にも衝撃が走っただろう。その内容とは・・・


()()()()()()()


自分の言葉に静寂が下りる。パーティの全滅自体はどの階層でも珍しくない。実際に、記事の片隅とかにそういうニュースをここ1年と少しでも幾度か見た。では、1面に載るほどの問題とは何か?


「ただの全滅ならまだしも、これはなあ・・・」


孔明先生も眉間を揉む。問題とは探索者の壁と言われる5階層の次、6階層で起きてしまったのだ。未成年は低階層で3階までではあるが、これはその全滅内容が問題となった。


「完全にあり得ると言えば、あり得たかもしれないが、今までに例が無かった事故って事だ」


アキラと孔明先生が一面が上になるように新聞を机の上に置く。各新聞社全部一面これで、朝からやってるニュースもこれがガンガン流れているから内容については全員知っている。その内容は6階層で戦闘中のパーティが唐突に乱入、いや、戦闘音を聞き参戦してきた魔法使い系の魔物により不意打ちの()()()()()()()()()()()()という内容である。


「魔法使いの魔物は基本一撃必倒。それ故にデータが無い事が仇になったか」


自分の言葉に全員が頷く。新聞によれば、全滅したパーティの状況が分かったのは後続で音と悲鳴を聞きつけたパーティが遭遇戦を行った為らしい。到着した頃には焦げたパーティ分の死体、そのパーティが倒したであろうモンスターの死骸、そして、魔法を撃った後であろうオーガシャーマン。1体しかおらず、これが元凶と知ったパーティは即座に攻撃を加え、討伐したらしい。近くに散乱した、いや、咄嗟の判断で手放したであろう身分を証明する焦げた探索者カードがあったお陰で身元とパーティメンバーが判明したのがまさに奇跡であったとか。死体も音を聞いて駆け付けた自衛隊探索者チームが居たお陰で何とか()()を持ち帰れたそうだ。


「6階層で起きた事故の惨劇・・・ね」


委員長の新聞のタイトルを読んだ言葉通りだ。これは完全に事故。しかし、ダンジョンと言う魔物の真実でもある。未成年は今は最高3階層前までで問題は無いが、卒業すれば、この枷は外れてしまう。もしかしたら、卒業生が次の犠牲者になるかもしれない。何より、あり得る事故が現実になった面が大きい。


「この後、職員会議が行われるほどだよ」


おそらく、この後の会議の肝になるのは1桁の階層で発生した事案。つまり、学生の2階層以降への行き来を禁止するが課題に出るだろう。何故か?3階層からはゴブリンマジシャンとゴブリンシャーマンと言う存在が居るからである。ダンジョン変動前は5階層以降からであったが変動後は3階層から出現しており、協会からも真っ先に討伐対象になっている。と言うのも、こいつは見かけ次第他パーティが横から討伐しても違反では無いと言う事からお察しである。というか、魔法使いそうな奴はサーチアンドデストロイOKと言う事からも、魔法使い系の魔物はどの魔法系でどんな魔法を使うかはほぼデータが無い。あくまで交戦して魔法を使われた跡や戦ったパーティの証言からの憶測が多い事から察して頂きたい。最もデータが取れるのが先に話した全滅からの魔法の予想が多い、そう言う事である。


「今回は範囲魔法が使われた形跡から、予測されるのはファイアウォール・・・ね」


勿論だが、スキルを取得するアイテムの中に魔法はある。そこから研究もされているが、ここで問題となるのが・・・


「魔物と人間の違いを改めて思い知るわね、これ」


記事に書かれてた事を抜き出すと、魔法はファイアー系で確定、その出力は人の体を炭の塊にした程らしい。先に死体の一部を持ち帰ったと言ったが、無事な骨のみという事から察して頂きたい。


「真面目な話、これで心折れる生徒出ますかね?」


「無いとは言い切れない。保護者から学校の方は勿論、探索者協会にも電話したという情報が来ている」


ああ、やっぱりそうなったか。諦めれない子供、諦めさせたい保護者・・・でしばらく色々ありそうだな。で・・・


『先生、頑張ってください』


「そうなるよなあ・・・」


そろそろ準備に入りたいので、自分達は家庭科室、女子は準備室で着替えに入ると言うと、孔明先生は哀愁を背負って出ていった。いや、うん、まあ、自分達に手伝える事は多分無いので頑張って下さい以外マジで言えないんだよなあ・・・


ダンジョンの本当の事故であり起こり得ないとは言い切れない事件のお話。不意を突かれて魔法で大ダメージはゲームのお約束ですがリアルでは本当にシャレになりませんよね

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