第25話 当たり前だけど未成年には当たり前じゃないもの
「後はこちらにサインをお願いします。はい、結構です」
「終わったぁ・・・・・・」
夏休みが見え始めた日曜日。自分は佐々木さんに呼び出され、司法書士の事務所に居た。え?単独で何やってるの?って・・・
「自分の名前書くだけなのに正気度ガンガン削れますね、コレ・・・大人って凄い」
そう、課税申告である、何故、自分だけかというと、まあ、報酬貰い過ぎだったからね。いずれ来る事を覚えようと言う事になり、休日の一日を使って、紹介された男性の司法書士の有馬 当夜さんに、手続き方法と税の説明を受けていたって訳だ。まあ、しかし、申告の書類の大部分を彼が行ってくれるとはいえ、一応、留意事項や契約内容に目を通してサインする、そんな流れが黙々と行われたのだ。学生にとっては色々な意味で辛いが避けて通れない道だからなあ。
「はは、君の御両親や御先祖様も通った道だからね。代行出来る司法書士が居る時代に感謝しておくといいよ。司法書士か弁護士もしくは代理人無しでやるとホントに心壊れるから」
「ワ、ワァ・・・・・・」
自分のとこに回された紙の量と、彼の所にある分厚い紙束が普通の量なのだ。これを見て見て、書いて書いて、サインしてサインしてのエンドレス・・・なるほど、これは心折れる。
「ん、待てよ?あの、トウヤさん?」
「ん?」
「もしかして、今・・・司法書士業界、探索者事案需要めっちゃあります?というか、未成年探索者ってこの辺り、気付いてないの多数だったりします?」
「ハハッ!!」
その笑顔が答えっすよねー!うわああああああああああ!!!
「すいません、電話お借りします!」
「はい、どうぞ」
何処に電話かというと自分の家、アキラの家、そして、委員長の家、そして、学校である。何を連絡するかというと、司法書士さんの確保である。自分の家とアキラの家は後日、保護者共にアキラ、妹チームがこの事務所で契約する事になり、委員長の家は元々のお抱え書士さんが来訪し、委員長と御両親に説明する事になった。そして、学校・・・・・・
『そういうのもあったな・・・』
「ええ。それでですね、そろそろ、お気づきになられると思うんですが・・・・・・探索者制度が始まって1年弱、司法書士に相談、申告してる生徒、何人だと思います?」
『すぐに確認する!』
電話が切れる前にガタガタガタンといくつかの椅子の音がしたので、この後、電話に出た孔明先生も含めて大騒動なんだろうなあ。
「え~と・・・」
「トオル君の所とアキラ君だっけ?彼の所以外でも数件事案受けようか?」
「よろしくお願いします」
こう、アレだね、改めて、自分達は未成年である。そういう事を思い知った1日だった。ちなみに、翌日、学校で探索者になった学生が一様に溜息をついて登校していたのは言うまでないだろう。申告が必要なほど稼いでるのに申告漏れあるいは申告自体知らなかった&やってなかった奴多いんだろうな・・・
脱税でタイーホ!まではいかなくても、かなり大事な税金のお話。まだ・・・はもう近い探索者と言う職業と言うお話でもあります




