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現代ダンジョン安全探索計画 略して、現安計画  作者: 味醂英雄
2年目 マスコミ騒動編

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27/100

第24話 時に必要となるもの

今回1回だけ視点変更があります

「それでは向かい・・・・・・始め!」


あれから更に経ち、ゴールデンウィーク中の道場で自分は委員長と対峙している。審判は猛翁と巌さん。見学者にアキラと妹チーム、各門下生数人。


「・・・・・・」


こちらは槍と言うか先にスポンジ素材を付けた棍、相手はスポンジ素材を被せた竹刀である。籠手は無い想定で。で、始め!と言われたが、正直動けない。いや、相手が女の子だからじゃなく、純粋に隙が無い。例えば下段に突きを放とうとすると機先を制してガードが下がる。じゃあ、上段と思うとそっちにガードが上がる。剣筋ならぬ槍筋が完全に読まれている。まあ、相手は道場の娘で有段者、当たり前と言えば当たり前ではある。


「・・・・・・」


槍は剣道の3倍段と言うが、相手が実戦系だとこりゃきつい。カウンターが来ると分かってるのに殴り掛かればそのまま一本である。何か手は無いかな?


「っ!」


げっ?!余計な事考えてたら、向こうが来た。その隙は逃がさんって訳ね。一瞬で剣の間合い、選択は中段への薙ぎ払い。槍を立てて、中腹の部分でガードし、その反動も利用して後ろに飛ぶ。こっわ!受けた時、おもいっきり体浮いたぞ、マジっすか?!


「いやいやいや、ええ?」


思わず言葉に出てしまった。そう言いつつも、警戒してるので二の太刀は来なかったのは幸いだけどさあ。げ?!次の構え、アレ知ってる!上段斬り下ろし、2の太刀要らずの構え。ガードはおそらく不可能。突きに薙ぎ払いも回避されたり、逸らされたら終わりだ。さて、どうする?



<<アキラ視点>>


こっわ!あいつの体、後ろに飛ぶ為に浮かせたとは言え、一瞬、竹刀の硬さ、しかもスポンジ素材被せてるのに受けたら浮いたぞ、あれ!


「で、示現流の構えか」


「「示現流?」」


あいつ曰く、妹チームの2人はこれまで武術なんか興味なかったからな、知らんのも無理ないか。


「二の太刀要らず、つまり一撃に全てを賭けた剣術って言われる。気合を入れた声と共に一撃必殺の振り下ろし斬りをすると言われてるけど、こう見ると、隙だらけの構えに見えるけど・・・」


「両手で持ってるもんね」


「そう、楓ちゃんの言う通り、両手で持ってるし、一見は隙だらけだ。けど・・・」


そう、しかし、今なら分かる。裂帛の気合とでも言おうか、ピリピリしているのが離れているこちらでも分かる。見ている二人も息を飲んでいる辺り、ある程度見えているようだ。だが、これに釣られて、迂闊にも斬りにかかれば一瞬で間合いに入り込んだあの竹刀が脳天目掛けて降りてくるだろう。


「さて、どうする、トオル?」


そう呟くと同時に師匠である巌さんや実践道場の主である猛翁がなぜ、自分を対戦相手ではなく、トオルに相手にさせたのか分かる状況が動いた。


<<アキラ視点 終>>



「「・・・・・・・・・」」


普通に考えれば、槍で間合いを取りつつ、斬り下ろしの瞬間に後ろに飛ぶ、これしかない。しかし、そんな当たり前は委員長も分かってる。


「・・・」


あれ?待てよ?猛翁と巌さんの勢いに押されたけど・・・なんで、自分を対戦相手にさせたんだ?模擬戦で実戦を見せるなら、自分の立ち位置は剣道の有段者であるアキラの方が最適だ。思い出せ、ルールの内容、状況、格上の2人の言葉・・・・・・あっ!


「そう言う事か」


槍の持ち手をなるたけ後ろにし、構える。委員長もピクリと反応する、今だ!


『場外、それまで!』


充分な距離を保ち、委員長の踏み込みが来ない内に決められた範囲である白線を越える。そう、勝つ必要も正面切って戦い負ける必要もなかったのだ。


「よく分かったのう」


猛翁が笑いながら近づいてくる。つまり、正解であったと言う訳だ。どういう事かと言うと、自分と委員長ではどんな奇策、槍術を使っても絶対的な差がある。これは絶対に埋めれない差だ。そうなると必要なのが・・・


「ええ、これは模擬戦でも何でもないって事ですよね」


「はっはっはっ!それが分かれば十分さ」


巌さんも拍手してくれる。つまり、この模擬戦は戦うより相手が本気を出す前に逃げる。これを周知する為だったのだ。


「逃げる事も大事だって事ですね」


「その通り!自分は強い、ダンジョンの魔物に常に勝てる!と思うなど愚の骨頂よ!」


「故に、常に格上と対峙する気であれ。逃げる事もまた勇気である。そう言う事だ」


自分の言葉に対する、猛翁と巌さんの言葉に頷く。確かに少し慢心していたかもしれない。例えば、1階層のラビットは低年齢探索者の怪我の原因とも言われている。だが、ちゃんと知っていれば怖くはない。鍛錬や情報を集めれば何とかなると思ってしまっていた。そうだよな、既存の生物とは違うんだ、常識が通用するとは思えない。


『ありがとうございました!』


自分は勿論、アキラ、妹チームに門下生も、2人の金言に立ち上がって礼を言う。で・・・


「委員長?」


「ちっ!」


この人、今小さく舌打ちしたんですけど?!あぶねえ、受けてたらどうなってたのやら・・・・・・なお、委員長は後で猛翁に説教されたのは言うまでないらしい。


敵と会っては討伐は義務じゃありませんからね。時に逃げる勇気も必要ですというお話

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