第23話 リアル盾について
「そういや、委員長?」
少し前からお風呂と昼飯は委員長の道場をお借りしている。まあ、毎日汚物処理をしているのは自宅だと大変になってきたからだ。デカい男女別風呂に道場のコネで汚物処理が手早く出来るのは助かる、助かる。で、朝の鍛錬を終えて、さっぱりしてからの昼飯の後で委員長に聞きたい事があったたので、この機会に聞いてみる。
「何?」
「この道場って盾の扱いもある?」
メンバー全員がは?と言う顔になる。いやいや、当初の目的は変わってないんだけどね?
「ああ、籠手とか目的は変わらないが、俺達、知らなすぎると思わないか、実際の盾」
『ああ・・・』
委員長含む全員が頷く。そらそうである。委員長はこの道場の娘ではあるが主に扱うのは武器だろうし、実際、日本の古武術に盾の扱いは結構少ない。と言うか、防壁みたいなのは使われたのはあるが、盾が使われた事例は皆無に等しい。修羅の国とか言われるはずだよ。分かりやすい事例で戦国時代の武将って、島津が一番示してるよねと言えば理解しやすいかもしれない。
「ふむ、結論から言えば、うちは教えておらんのう。いや、防壁陣なら教えてはいるが、盾自体の扱いは教えておらんと言うべきか・・・そうじゃな、実際にネットや歴史書などで情報を集め、ダンボールで作ってみるといい。それで分かるじゃろう」
道場主である猛翁に聞くとそう言われる。確かに実際作るのが早道か。早速、図書館などで調べてみよう。
『あー、なるほど』
それから数日後、所謂パイク兵のダンボール盾が完成したので、早速全員で試してみる。結果、全員から出た共通の言葉がコレと言う訳だ。
「なるほど、お祖父様が教えないというか、教えれない筈よね」
「だなあ。世界では防具の中でも盾は武器でもあると言うが、日本の武術系統でこれを専門で教えれるか?と言うとなあ」
「無理だよねえ」
「「ですね」」
上から順に委員長、アキラ、妹チームである。どういう事かと言うと・・・
「まず武器と同時に扱うの無理」
『それな(ね)』
所謂、昔のパイク兵って凄いなになるやつである。いざ、盾を構えると分かるのが視界の無さである。と言うか、敵の姿が見えなくなる、当たり前であるが敵の攻撃を受け止める訳であるから、スモールシールドサイズでもラビット等の小動物系は完全に見えなくなってしまうし、人間系の敵を仕留める為の首や心臓部分なども見えなくなる。足や手などを狙えるかもしれないが、それで、近距離まで詰めてきた人型魔物が怯むか?と言われると・・・ねえ?ミドルシールドなんて完全に急所見えなくなるし。
「で、次、武器持っては無理」
うんうんと頷くメンバー。盾で受けて、攻撃に移行が難しすぎる。え?簡単だろ?と思う人は実際に竹刀の攻撃をダンボール盾で受けてみるといい。絶対に受けた後で漫画やゲームみたく攻撃!は出来ないから。と言うか、防御したら後は防御に集中するしかない、なんでって?
「衝撃逃がせない」
『それな(ね)』
いや、まあ、盾の扱い上手い人なら、逸らしたり衝撃を少なくなるようにしたり出来るんだろうけど、何処に当たるか?がここで問題になる。盾の真ん中にゲームみたく敵の攻撃が命中!なんて幻想である。武器のブレや重さがあるしね。そうなると、結局は相手が攻撃した後に離れるまで盾を抑えるしかない。武器持って片手で支えるとか無理。
「次、盾は専属化が一番である」
うんうんと皆頷く。要はゲームとかにある武器を装備しないで生き残りに特化した盾持ちである。警察機動隊とかのシールド専門とかも分かりやすいだろうか?
「だなあ」
アキラがうんうんと頷く。で、結論。
『そら、実戦形式の道場でも教えれないわ』
なんでって、武器を持つ場合、状況のマルチタスクが前提の盾を扱いつつ、武器を扱うぐらいなら武器の扱いに専念した方が実戦で相手を屠れるからだ。と言うか、盾、邪魔と言う結論である。となるとだ・・・
「巌さんとこの籠手作りの職人さん、好景気なんだろうけど、大変になるだろうな。お高くなるけど、委員長達の分も頼んでおこうか」
「だな」
『え”?』
3人がギギギと言う感じでこっちを向く。あ、そう言えば、職人さんに実物見せて相談した結果、フルオーダーメイドで20~30万ぐらいだったか。いかん、探索者協会からの報酬で金銭感覚おかしくなってたか、いや、しかし・・・
「ああ、心配しなくても、費用は報酬から出るし大丈夫だぞ」
『いや、流石に万単位はねえ?』
まあ、学生の身から見たら万単位の物をポンと貰うのも憚れるってとこか。自分も学生だけど。いや、最近割と自信が無くなってきたけど、まだ学生だ、うん。
「大怪我して入院したり、怪我の跡を整形で直すのも万単位なんけど?」
『有難く頂きます』
多分、後者が効いたんだろうなあ。男性の身だから詳しくないけど、何かの広告で小さな傷でも消すのにかなりかかってた記憶あるし、女性ならそれ知ってるんだろうなあ。
「ところでさ?籠手で思い出したんだけど・・・」
「うん?」
自分の言葉にアキラが先を続けてと言う感じなので続ける。考えた事は簡単だ。
「猛さんの言葉、フルオーダーの籠手であの価格なんだから、盾の金額も考えてみろっていう意味合いもあったんじゃない?盾も結局フルオーダーメイドだよな?まさか博物館とかから借りる訳にもいかんし」
『あっ』
顔を見合わせて、後日、職人さんにお試しでミドルシールド1つをフルオーダーするとどうなるか見積り出して貰って、その価格に一同、目が飛び出したのは言うまでない。こういうのは社会人になってからだな!だな!いや、社会人でも厳しいかも・・・
まあ、リアルで盾扱いつつ、武器で攻撃!は難しいよなというお話。実際彼等がやってるみたいにやると分かりますよ、ホント、無理です(汗)




