第22話 いざという時の味方
「見つかりましたかあ・・・・・・いや、あるとは思ってたけど・・・・・・見つかっちゃいましたかあ」
あれから更に時が過ぎて、2年目のゴールデンウィークが見え始めた頃、佐々木さんに呼ばれて、もう定番と化した事務所内で話し合っている。その話から出たのが・・・目の前に置かれたモノである。鑑定書に書かれている鑑定結果は・・・
【霊薬エリキシル ありとあらゆる病を治し、体力をも取り戻す薬】
コレである。お約束と言えばお約束。そして、恐らく日本政府も佐々木さんも、いや、世界中の誰もが自国では絶対に最も見つかって欲しくなかったモノであろう。
「臨検は?」
「末期のガン患者に同意書及びその家族・病院の関係者全員にこの件に関しては黙認する書類を書いて貰って試したよ。勿論結果に関しては、言うまでなし」
爆弾である。紛れもなく爆弾である。下手すれば、日本を大爆発させるクラスの核爆弾級である。幸いなのは見つけたのが自衛隊であると言う事である。更に幸いなのはまだ一般人が行けていない下層で見つかったと言う事である。しかし・・・
「見つかったのは臨検に使用した1本とコレってのもなお、タチ悪いですね。他の国では?」
「見つかったのは聞いてはいない。しかし・・・」
しかし、ダンジョンで見つかった以上はいずれはどこかの国で見つかると言う事だろう。が、同時に・・・
「もしかして、そういう事で解決方法の案が欲しいと?」
「最後の決断とも言うね」
なんか、もう、自分、外部相談役みたいになってない?いや、毎回割と高めの相談報酬貰ってるからある意味ではそうなんだろうけどさあ。
「近隣諸国は言うまでない、他の国では政争の道具や争奪で血の海もあり得る。となると、まあ、答えは佐々木さんが考えてる通りでしょうね」
「やっぱりそうなるよねえ」
「「アメリカ」」
まあ、この選択一択だろう。日本の同盟国、巨大国家、世界の警察。日本でもし超レアアイテムが管理しきれなくなったらもっとも頼る国とも言える。と言うか、安全牌はここしかない。
「まあ、アメリカも否は言わないだろうし、金額もある程度納めてもらえば体裁もつくでしょう。けど・・・」
「金額はともかく、条件の設定なんだよなあ」
「あ~、佐々木さん、大変申し上げにくいんですけど、それより厄介な事があるんですが・・・」
「言ってくれ・・・」
毎度おなじみ胃薬を飲んだのを確認してから口を開く。もう、この流れも定番だなあ。
「今から即時に且つ緊急的に滞在ビザ発給停止、入国審査の厳正化した方が良いと思いますよ?多分、全世界から探索者が大挙してくる可能性があります」
「グワーーーーーーッ!逝って来ます・・・・・・」
胃を押さえつつ、佐々木さんは部屋を出ていき、秘書の人も同じように出ていった。まあね、万能の薬が見つかったダンジョンがある。それだけでも、かなりの人間が来るだろうからなあ。人間の欲はホントに際限無いんだなと思う。ちなみに、後日、入国審査が厳しくなったとニュースで流れた時、ご苦労様ですとしか言いようがなかった。
まあ、うん、こういうの見つかった場合は同盟国にお任せ!するしかないというお話とそれについてくる対応への対策と言うお話。




