第18話 ジョブの話とレベル概念の発覚
更に数日してから、その時は来た。現在地、陸自の駐屯地の客間、いや、これ、客間じゃなく、総司令官室ってやつだね?隣にはアキラ、前には佐々木さんと総司令官っぽい人が眉間を揉んでいる。つまり、分かるよね?
「ジョブが発見された。判明したのは自衛隊員からですよね、九十九総司令?」
「うむ、状況を説明しよう」
名刺によると、現在居る自衛隊駐屯地総司令官の男性、紅城 九十九さんが佐々木さんの言葉を繋いで説明してくれる。まず、発覚したのは20階層を潜っていた時、本来はボス部屋とされる場所に大きな石板があったそうだ。勿論、そこは自衛隊員。迂闊に触らず、状況を見ようと部屋に踏み込むだけだった・・・が、そこで異変は起きた。
「石板が光り、出てきたのがコレ・・・と?」
そこには、黒いカード、そして、発光しているような白い日本語の文字で名前とその下にこう書かれている。ガンナーと・・・
「名前と職業だけですね」
「うむ、我々もステータスなど示されると思ったんだが、それは無かったようだ」
「これが現れたのは間違いなく?」
「各国の現時点での20階層でだ。日本に限らず各国からも一般人はまだ誰も取れていないのは確認済みだ」
ふむ。つまり日本以外でも出たって事か。日本独自とかいう訳でもなく、ダンジョン共通という事かな?後、20階層なのは一定の実力を持って挑むボス部屋という事もあるんだろうな。つまり、一定以上の壁って事か。
「他の国も日本語で書かれている?」
「その国の言葉で書かれている。主にガンナー。稀に盾使い、シールダーだそうだ」
なるほど、その国に応じた言葉が出力される感じか。んで、ガンナーとシールダーが多いのは国の軍隊は形は違えど、銃と軍用シールドを主に使うからかな?そうなると・・・
「自ずと他のクラスの条件も分かりますね、これ」
「うむ。現在、陸自の新人に武器や魔法を中心としたパーティを組ませ、習熟が済み次第、ダンジョンに向かわせる手はずだ」
総司令官がそう答えてくれる。あ、じゃあ、条件に付いては問題ないのか。となると・・・
「なんで、僕、呼ばれたんですかね?」
「「テイマーになる条件ってどう思う?」」
九十九さんと佐々木さんの言葉にそ、そう来たか―!ってなる。色々想像出来る事はある。あるにはあるが、これ、最悪のパターンを話した方が良いかもしれない。
「まあ、常識的に考えてゲームみたいに愛を以てぶん殴るとかあり得ないと思ってるでしょうし、強引にペットに出来る存在では無いという事は承知の上と言う前提としまして・・・」
2人は勿論、アキラもうんうんと頷く。まあ、ぶん殴る、強引に絆を深めようとする相手に心開け!って無理があるわ。となると・・・
「最悪のパターンですが、聞きます?」
佐々木さん、最近常用の某マークがついた胃薬を出し、九十九さんに渡して水を飲む。アレ、効き目あるけど、匂い凄いんだよなあ。と、飲んだ所で切り出す事にする。
「20階まで戦わずにダッシュ。どんだけ理不尽な攻撃が来ても、ボス部屋も条件を満たして、入ったらおそらくはボスを討伐してなければ開かない扉が開くでしょうから・・・そのまま、20階を目指すが条件と思われます」
「「「クレイジー・・・」」」
こっち見ないで言わんでくれます?まあ、確かにクレイジーではあるが、じゃあ、それ以外に考え付くか?と言われると餌付けだが、初見は完全に敵対してる奴に出来る?である。となれば、この方法しかないだろう。クレイジーだけど、クレイジーだけど。大事な事なので二度言いました。
「将来的に階層が短くなる事もあり得るかもしれませんが・・・あ、アキラ、他人事みたいな顔してるけど、俺達、コレに挑戦するからな?」
「は?」
ちょっと?と言う顔すんな。説明するから。
「まず、恐らく普通に戦えばランサーあるいはグラップラーと言うジョブを手に入れる事が可能だろう。佐々木さん、ガンナーはどんな恩恵がありましたか?」
「そうだね、司令官と共に調査したところ、銃を構えると意識的に視界の延長、所謂ゾーンに入った状態のようになったと聞いている。他に回避が上手く出来るようになったと聞いている。総合的に見るに目の強化が大きく入ったと思われる」
なるほど、大体思った通りってとこか。尚更、ますます自分達にはテイマーのジョブが必要になるな。
「はっきり言えば、前述のジョブ2つは俺達には必要ない。ちなみに、自衛隊員は相性が良すぎるから、そのままで良いと思う」
「なるほど、武器の習熟の違いかね?」
流石は現役の自衛隊総司令官、分かってらっしゃる。
「俺達はダンジョンに潜るまで2年間、いや、もうあと1年とちょっとか・・・様々な訓練はする」
「ああ、なるほど、そういう事?」
「そういう事。2年そこそこで達人!なんてある訳がない。となると、増やすとすれば?」
「戦力あるいは攻撃手段の増加って訳か」
そう、ぶっちゃけ、長らく訓練や支援派遣などで武器を携帯する事が多い自衛隊員ならガンナーは恩恵は大きいだろう。逆に訓練が2年そこそこの自分達にはランサーやグラップラー等にあるであろう身体強化はぶっちゃけ邪魔である。訓練以上の事が出来てしまうなら、体が恐らくついて行かない。となると、魔法使いは?魔法一択ならともかく、スクロール系はほぼ売る事にしてるから無し。なら、戦力と言うか手数が単純に増えるテイマー一択と言う訳である。
「と言う訳で、事を起こす際は自衛隊に協力をお願いしたいんですが」
「ふむ。なるほど。テイマーの条件に付いてはこちらも試しても?」
「勿論。条件としてジョブ無しがパーティ組まず行う想定でしないといけないと思います」
「なるほど、後日行おう、ところで、自衛隊に興味は?」
「「国家公務員には絶対にならないと誓ってるので」」
丁寧にお断りした後、小さく舌打ちしたよ、この自衛隊司令官?!我々、貴方達が守るべき国民なんですけどぉ!
「さて、今回君達を呼んだのもこれを渡すのもあってね」
九十九さんがパンパンと手を叩くと、司令室の扉が開き、男性隊員がビニール袋に入った服を持ってくる。あ、これ、もしかして・・・
「自衛隊でも使用している防刃ジャケットとズボンだ。事前聞いているサイズで間違いないか帰宅したら試しておいてくれたまえ」
渡されたのは黒いズボンとジャケット。一応、事前聞いた話だが、これ、今のとこ世界最高峰らしい。なお、ホントに気休めとの事である。まあ、そら鉄さえ貫きかねない咬み付きとかクマー並みの爪攻撃とか、普通は想定されてる訳ないよねってなる。
「あ、そういえば、自衛隊と言えば聞きたい事一つあるんですけど、よろしいですか?」
「うん、構わないぞ。君には本当に返しきれない物があるからな」
お?無理かな?と思ってはいたが、どうやら聞けるようなので、気になる事を聞いておく。
「自衛隊は銃で戦ってると聞きます」
「うむ。主にマシンガンとマグナムだな」
まあ、流石に短銃とかスナイパーライフルは、まあ、うん・・・前者は威力不足だろうし、後者は構える、会敵中にリロードする暇ないよねとなる。で・・・
「ああ言うのって威力は単一ですよね?」
「うむ。ああ、なるほど、そういう事を聞きたいのかね?」
流石は報連相が大事な自衛隊の総司令官。こちらの意図を読んでくれたようである。
「ええ。やっぱり国はすでに把握済みと?」
「いや、驚いた。まだ学生の身でそこまで読めるとはね。うむ、君の予想通りだ」
「どういう事だ、相棒?」
ハテナ顔のアキラが聞いてきたので、簡潔に答える事にする。
「レベルは確かに存在するって事さ」
どういう事か?銃とはかなり種類があるが基本の弾は結構同じだったりする。要は、火薬が爆発する金属の塊だ。いつまでも通用するとは思えない。が、現状装備変更の噂を聞いた事が無い。つまり・・・
「国は早い内から、レベルアップの恩恵を知っていたって事ですね?」
「うち(日本)だけではないがね。世界中の政府が知っている。ただし、各国の軍隊に所属する、政治家ではダンジョンに関わる者だけだがね」
つまり、レベルアップした事で攻撃力が上がる、武器に恩恵が付く事はすでにご承知の上であったと言う事だ。気づいてる人はもう気づいてるかもしれないけどね。で、あれば、あ、うん、やっぱ話しとかないとね。
「これはあくまで予想の範囲内なので聞き流していただいても構わないんですが・・・洗浄場の増設と緊急病室の増加を申請した方が良いと思います」
「その心は?」
「血と臓物で買い取り場や受付が大惨事&レベルアップして無茶しすぎた人間が筋肉断裂とかでダンジョン内外で探索者が大量卒倒して、マスコミが自衛隊本部や探索者協会に殺到しても良ければ?」
「「すぐに手配しよう」」
こうして、また佐々木さんのお仕事が増えるのでありました。生暖かく見守ろう、な!
ついに見つかったジョブ!ここまで長かったなあと言う事と、レベルがあるなら色々準備しましょうねと言うお話




