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第1話 計画始動

「お前達もか・・・」


うちの担任である七生ななお 孔明こうめい先生は書類を預かりつつ、頭を抱える。あ~、この調子だと・・・


「16歳迎えたクラスメイトはほぼ全員来たり?」


「もっとだよ。3年生の中にすらクラス大半が居るんだとよ。中には就職の内定がほぼ決まった奴も居たらしい」


オウ、思った以上に規模がデカい。3年生の中には進学や就職が決まってる人も居るはずなんだが、そっち行った方が安全じゃない?と思いたいが、ある意味、子供の憧れに近いだろうからなあ。


「先生。俺は少し提案があります。放課後ちょっと、面談室で聞いてもらえません?」


そうして、あっという間の放課後。自分の提案を聞いた2人は目を丸くするのだった。


「「マジか」」


「はい。俺とアキラは免許が発行された後、()()()、つまり、高校卒業になる18歳になるまで、免許を()()()()()()()()があります。その為に免許を厳重に保管する場所を学校に提案してほしいんです」


しっかりと先生とアキラの目を見据えて喋る。


「ふむ。すぐに使わないようにするためか?」


「それもあります。規定を読み込みましたが、免許取得後に長期間ダンジョンに入らなかったり、ドロップ品の納品を行わない場合、免許没収の規定はありませんでした。こちらに持ってきた規定を読み込んで頂ければわかると思います」


書類を役所に受け取りに行った際、探索者規定とでも言おうか、そういうモノを貰って読み込んだから間違いないだろう。実際に、第三者、つまり親や学校の教師に見せるのはOKの規定なので、先生とアキラにもしっかり確認してもらう。二人が頷くのを確認して続ける。


()()()。ここは非常に重要な所です。体の作りがしっかりするし、他にも様々な許可が年齢で降りる歳です」


「確かに」


先生が頷き、アキラがハッとした顔になる。


「そうか!そうだ!」


「ど、どうしたんだ、竜童?」


「18歳未満だと碌な武器が無いんですよ、先生。政府が特別に譲渡の場合は許可するなどあるかもしれませんが、18歳未満は刃が付いた危険物となる物等の購入権がありません」


「あ!」


流石は親友、分かってらっしゃる。ダンジョンにはモンスターが居る。それがバットとかの打撲武器で倒せるかは分からない。切断、つまり殺生武器でないと倒せないかもしれない。だが、18歳以下は購入権がない。知り合いに譲ってもらうとかなら、もしかしたらアリかもしれないが、勿論、子供、ましてや一般家庭の出にそんな伝手がある訳がない。


「仮に許可が出たとしましょう、アキラ、使えるか?」


「無理だな」


一応、現代剣道の道場に通っているアキラが断言する。そう、使える訳がない。アニメや漫画ではないのだ。ここは現実であり現代だ。16歳の子供がいきなり真剣や打撲武器を渡されて、モンスターに対し有効な一撃を与えれるように振り回せる訳がない。


「そこで2年間はしっかりとした情報収集、身体作り、様々な技術の取得。これらを先生に報告し、レポートにも纏めたいと思っています」


「ふむ・・・・・・で、俺には何をして欲しいんだ?」


流石は教師と言う立場に居る人だ、分かってらっしゃる。引き続き、提案を続ける。学校側にする提案はここからだ。


「今後の授業はプリント形式に、成果レポートを提出する代わりに各テストの免除をお願いしたい」


うわ、マジか?と言う顔をされる、2人から、解せぬ。いや、分かるけどさ。


「ぶっちゃけですね、アキラも周りも軽く考えてると思いますが、賭けても良いですよ、これから1カ月以内に子供は勿論、大人も探索者を始めた時点で探索者以外の道が選べなくなると。そして、この提案をした自分はまだ授業と言うか義務教育をまともに受けてくれる貴重な子供であると評価されるとね」


「その心は?」


先生が真っ直ぐこちらを見て言ってくる。なんとなく察してくれてるが、言葉にして聞きたいんだろうなあ。


「上澄みの情報のみを前提に話しますが、稼げる、いや、偶然でも何でもいい。信じられないような金額を稼げてしまう探索者が現れます、絶対にね。そして、それは大々的に報道され、拡散されるでしょう」


1999年はネットが普及し始めた時期、この事が実に運が悪い。これも調べた内の情報に入っていたのだが、本当に運が悪かった。それを理解してしまった2人も顔が青ざめていく。


「そして、探索者と言う・・・人が文字通りに殺到する職が誕生する。間違いないでしょうね。興味無かった人達もいずれは門を潜るでしょうね」


「おそらく、ポーションとかもあるんだろうな。文字通り、老衰以外なら死ぬまで続けられる職の誕生って訳か」


流石は親友、分かってらっしゃる。おそらくだが、深くまで潜れば、老衰以外が治る薬とかもあるかもしれない。報酬はどんなものになるかは分からないが、ゲームのようなポーション1つでも相当稼げる、魅惑の職と言ってもいいだろう。そして・・・大規模な社会現象となるだろう。


「だから、学生時の運用の実例を作ります。いえ、自分達が 実例 になります」


「そういう事か」


これが両親と話し合った際に、妹に枷を付ける為の条件だ。自分と同じことを行う事。つまり、これが行えないなら諦めろと言う実例を作る事にしたのだ。勿論だが、ちゃんとクリアは出来るようにはする。まあ、2年間、朝から夕方までみっちりダンジョン対策の為の訓練、情報収集を行い、学校に課題プリントを提出、受け取り。更にレポート提出だからかなりハードだけどね。これぐらいしないと、学校側も妹も納得しないだろう。


「で、2年間、つまり、この提案に乗ると、卒業後は探索者一択だが、どうする、親友?」


「乗るしかないな。ちなみに、その提案受けてない連中と言うか、浮かれて登録した奴らって、どうなる?」


「断言してもいい。稼ぎが上がる度に浮かれて、探索者と言う職が定着した頃に・・・・・・日本に限らず、世界中の人間が地獄を見る」


ごくりと2人の喉が鳴る。なんとなく想像は出来てしまったのだろう。探索者免許を預かる俺達は先行、つまり、ダンジョンに潜るメンバーに色々見下される事もあるだろう、最初の内は。そう、もう一度言う、最初の内はである。


「先生、先生の方でもかなりこれから変わると思いますよ」


「なぬ?」


「今日から1~2週間の間、多数の学校、クラスでの学級閉鎖の可能性高いですし、部活の顧問やってる先生には部活動のメイン選手とか止めないと、大会辞退とかも十分あり得ます。いや、大会自体が中止になる可能性も大いにあります」


何故か?ちょっと考えれば簡単な理由だ。現に先生もそれを聞いて、すぐに部屋を出て行ったので伝わっただろう、その理由とは何か?簡単だ、まず大きな理由として怪我。まさか、武道の心得があろうとなかろうと人間が様々な形で敵対してくるモンスターが居るであろうダンジョンに突入して、無傷で生還?無いとしか言いようがない。


「絶対あるんだろうな、()()()()()()


「2年間の鍛錬期間中は俺も大会ぐらいは出れるだろうけどなあ。剣道の先生にも相談しないとな」


で、更に大きいのがコレ。ダンジョンと言う幻想が出来たのだ。並のスポーツマンすら隔絶する何かを得れてしまうだろう。まあ、モンスターを倒せなくては意味が無いからかなりの期間を要するだろうが、必ず現れるだろう、超人と言うやつが。そして、その誕生は部活や大会、あらゆるスポーツと言う競技からその人間を排するだろう。


「これから、学校、いや、教育機関に世間が騒がしくなるぞ」


その言葉に頷く親友。まあ、なんだ、それでも自分達は1~2週間はかかると見積もっていたが・・・・・・どうやら、世間はもっと欲望が強かったらしいと感想を抱くのは少し先の話である。

先ずはジャブ。現実に現れたらマジでこういう冷静に物を見れる1人が居ないと、世界は後に大荒れでしょうね。居ない場合?まあ、想像される通りのヒャッハー!な世界になるとしか・・・ね?

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